送信者:鶴谷奈緒
件名 :無題
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夜分遅くに一斉送信すいません!
明日の商品の在庫があのままでは間に合わないと思うので
早めに登校出来る人は早めに家庭科室に来てください!
浅水と戸塚と私は先にいるのでいっしょに準備しよう(*^_^*)ノ

早起きがダルかったら無理しなくていいからね!

明日は頑張ろう〜〜(p_-)zZ

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メール文が可愛すぎて音速で保護した。

すぐさま勘ちゃんにメールをして明日一緒に行こうと頼んだ。多分鶴谷さんは勘ちゃんのアドレスを知ってるはずなので、このメールも見ているはずだ。
その後すぐに「そういうと思ったよ(笑)」と勘ちゃんからOKの返事が来た。さすが勘ちゃん解ってる!!!!!!!!!!

もしかしたら明日エプロン姿の鶴谷さんが見られるかもしれないということですね本当にありがとうございます。親からデジカメ借りた俺に死角などあるものか。何処からでもかかってこい。


「え!?鶴谷さんと一日デートの約束!?」

「ついに俺はやり遂げたよ勘ちゃん……!!」
「良かったな兵助ェエ!!」
「嬉しいよ勘ちゃんんんん!!!」


朝。勘ちゃんが俺の家に自転車で迎えに来た。自転車にまたがる前に、俺は昨日の放課後鶴谷さんとお茶をして一日デートの約束をした。そういえば昨日は興奮しすぎて誰にもこのこと言ってなかったのだ。
勘ちゃんは自分のことのように喜んでくれて俺にガッ!と抱き着いてきた。嬉しいよやったよ勘ちゃん!!


やったね勘ちゃん!家族が増えるよ!


_人人人人_
>増えない<
 ̄^Y^Y^Y^Y ̄



自転車に跨りグッとペダルをこぐと、勘ちゃんは俺の横を走行し始めた。



「兵助幸せそうだな〜!」
「幸せに決まってんだろ!!!付き合ってもいないのに一日デートだぞ!!!緊張で死ぬわ!!!」

テンションあがりすぎて心臓無視しそうになった。危ない危ない。

勘ちゃんは凄いいいヤツだ。俺の幸せを自分の幸せのように喜んでくれる。すげぇいいヤツ。チャラいけど。


「で?何処行くんだ?」
「んー、まだそれは決めてないのだ」
「なんだそっか。まぁまだ日にちあるしな」
「うん、これから決めるのだ」

「あ、あと、これはまだタイミング決めてないんだけど、告白の予定も立てた」

「……なん、…だと…!?」

「文化祭終わったら、聞いてほしい話があるって言ったのだ」


信号が青に変わり、俺は再び自転車をこぎ始めた。勘ちゃんは俺の発言にびっくりしたのか、ちょっと発進が遅れた。


「そ、それ、なんかバレてそうじゃねぇか?」
「多分バレてないと思う。めっちゃ気になるみたいなことは言ってたけど」

「そ、そうか…。それならいいけど…」


まぁ別に、どうせこれから伝えるんだし。バレていたってどうってことない。ちょっと伝えるのが早まったってことで。ね。

文化祭が終わったらとは言ったけど、いつ伝えようかな。二人で出かけた日かな。それか打ち上げがあるのなら打ち上げで?

もうなんでもいいや早く文化祭終わってくれ。そしてこのもやもやを早くすっきりさせたい!!!!!


「なんか、兵助変わったな」

「そう?」

「前なんて話すことすらダメだったのに、今じゃデートの誘いか?すげぇなぁ」

「やめろ勘ちゃん!!」

「いやぁ、俺は関心してんだよ。こんなに兵助が積極的に成長して、嬉しいねぇ」

「なんだよ俺の親父みたいな言い方して」

「長い間付き合ってんだから、そうもなるだろ」

「……」


まぁ確かに、勘ちゃんもだけど、三郎も雷蔵も八左ヱ門も、俺の相談かなりのってくれてるし、前の俺も知ってるわけだし、そう考えるとかなり長い間俺…片想いしてんだよなぁ……。

でもまぁ結果はどうであれもう少ししたら片想い全部終わるわけだし!!!!!!!!もう少しだ俺!!!!!!!!!!!!気合入れて文化祭楽しめ!!!!!!!!!!!!!!!!



まだ時間には少々早かったのか、門はあいていたが人の気配はあんまりしなかった。俺のクラスの駐輪場へ行っても、自転車はまだ3つしかない。鶴谷さんと戸塚さんと浅水さんもう来てるんだ。早いな。

玄関をくぐり上履きに履き替え、一度バッグを置くために教室に行った。やっぱり誰もいなかった。

勘ちゃんは便所行ってから行くねとバッグを置いてトイレの方に消えて行った。俺はとりあえず出るもんもないので、勘ちゃんを置いて一人で家庭科室へと向かう階段を上がった。

足をすすめると、ほのかに香る甘いいい匂い。もう何かできてるのか。美味しそうな匂いなのだ。


階段を上がり終えると、トイレに駆け込む二つの影。多分あの髪の長さは戸塚さんと浅水さんだったかもしれない。ってことは家庭科室には鶴谷さんがいるのかな。


開いている扉からひょっこり顔を出すと、鶴谷さんの後ろ姿が目に入った。鶴谷さんはくるりと振り返りしゃがみこんで、オーブンをパカッと開けていた。

そのオーブンの正面に立ち、声をかけようとしたのだが、




「でーきたっ!」




鶴谷さんが とびだした !▼

どうする ? ▼

→あいさつ
 にげる
 どうぐ
 ホモォ




「おはよう鶴谷さん」

「ウオワァァアア!!!!」


急に声をかけてしまったからか、鶴谷さんはビックリして大きく声をだし大きく肩を揺らした。ごめん。


っていうかアァァアアアアアーーーーッッッ!!!!!鶴谷さんエプロンだーーーーー!!!!!!!!エプロン姿の鶴谷さんいただきましたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!!!!!!!



「おはおはおはよう久々知くんいいいいいつ来たの!?!?」

「おはよう。たった今。他の人は?」

「ま、まだ来てないみたい」

「そっか。俺も手伝うよ」

「ありがとう!」


鶴谷さんすげぇ噛みまくってる…。どんだけビビらせてしまったんだろう…。ごめんなさい…。

でもエプロン姿可愛い…。なにこれまじ天使すぎだろ……。結婚してください…。毎朝その格好でご飯作ってください……ねぇってば…。


台の上に置いてあったまだ誰も使っていないであろうエプロンを手に取り、俺も調理を手伝うことにした。鶴谷さんはやっぱりビビらせてしまっていたのかギュッと心臓を押さえて手のしていた台を置いた。ごめん。

鉄板の上には、骨型のクッキーが何枚も置いてあった。さっきの甘いにおいはこれか。めっちゃおいしそう。

鶴谷さんは楽しそうにこれは真骨頂だと言った。クシナダちゃんペロンヌ。


「綺麗に焼けたでしょ!あ、久々知くん胃に余裕あったら味見する?」

「本当?もらっていいの?」

「是非!味見オナシャス!」


普通のと抹茶とチョコどれがいい?と鶴谷さんは三つを指差した。うわどれもおいしそう。っていうか鶴谷さん本当に料理上手だなぁ。まじで結婚してほしい。
鶴谷さんが作ったものならぶっちゃけどれでもいいのだが、俺は一番おいしそうにこんがり焼けていたチョコを指差した。

すると鶴谷さんは、「はい!」とクッキーを手にして、俺に差し出してきたのだが、





え?????????なにこれ?????????あーんしてくれてるの??????????????

あーんですか????それとも手渡しですか??????????どっちですか?????????????????


この高さに差し出されたクッキー!!!!!!!!そしてさっきの「はい!」という掛け声!!!!!!!!!!!!!!!!

これはそのまま食べて良し!ということですよね!?!?!?!?!?はい!!!!!いただきます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!





「ん、美味しい!さすが鶴谷さん!」

「本当?良かったー」




ウオオワァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

本ッッッッッッ当に鶴谷さん可愛ェェェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

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