「何調子のってんのアンタ」


ヒロイン視点開始一行目からいきなり喧嘩の売買が始まりました本当にありがとうございました。


「いや、その、ちょっと、状況がよく…」

「あんたがうちのクラスの仙蔵と付き合ってるってマジなの」

「……はい?」
「聞こえてんだろ。仙蔵と付き合ってんのかって聞いてんだよ」


開セレ前にトイレに行こうと思い廊下に出たとたん「あんたが鶴谷奈緒?」と声をかけられ三人ほど美しい先輩に腕を引かれて何処かへ連れて行かれた。今私は屋上へ通ずる階段の折り返し地点の場所で美しい先輩に壁ドンされてます。
なんだ貧乳の先輩か…。この人が巨乳だったら多分今私のおっぱいにぶつかってたはずだわ。私のほうがデカい。勝ったな。ごめんなさい。

……ん?っていうかこの先輩よく見たら、去年のミスコンでまだ二年なのに仙蔵兄ちゃんと一緒に三年の先輩おさえた人じゃね???去年のミスコン一位の先輩じゃね??????絶対そうだよねこの美しい人。
近くで見るとめっちゃ綺麗だなこりゃ仙蔵兄ちゃんと並んでても違和感ないレベルには綺麗だわ。おみ足ペロペロさせていただきたいですね。

しかしなんで私そんな人に絡まれてるんです????????


「聞いてんのかよ」
「ごめんなさい」

グイと肩を押されて現実世界に戻された。卑猥なこと考えててごめんなさい。


「あんたがこの間仙蔵と手つないで帰ってるとこ見たってやつがいるんだけど」
「いえ、それはですね」

「そのままあんたんち行ったんだって?」
「いえですからね、」

「あんたみたいなブスが仙蔵と付き合ってるとかまじでウケるんですけど」
「仙蔵があんたみたいなの相手にするわけなくね?遊ばれてんでしょ?」
「っていうかこの服何?コスプレ?キモいんですけど」

今私の頭のどこかでカチン、て音が鳴った。ブスだと?ランカの衣装に身を包む私をブスだと?私のことはなんと言っても構わんがランカの勝負衣装をキモいだと?絶対に許さん。

…しかし腐ってもこの方々は先輩。神経逆撫でしないほうがいいだろう。

つまりこの人たちは仙蔵兄ちゃんのファンか。それで私がこの間仙蔵兄ちゃんのと手をつないで帰ってたところを目撃したんだな。付き合ってねぇよ親戚だよ。あんなんと付き合うぐらいならノロウイルスにでもかかったほうがましだわ。


「いえ、ですから…」
「あのさぁ、あんたなんかが仙蔵とつりあうわけないじゃん。解んないの?」
「あのですね、」

「別れろよブス。あんたみたいなのに付き合ってあげてる仙蔵が可哀想」


バーーーーーーーーカ!!!!!!!!!!!!

好き勝手言いやがってこの美女どもめ!!!!!!!あの仙蔵兄ちゃんに付き合ってやってるのはこの私だコンチクショーーーーーーーーーーーー!!!!!!俺が可哀想じゃハゲコラーーーーーーッッッ!!!!!!!
どうせお前らの前じゃあのアホたれカッコつけてやがるだろうがな!!!!!この間うちの家に来たとき大変だったんだぞ!!!!!!!!!

タオル巻かないで風呂進入してくるわ風呂上りで濡れてる髪の私に息荒くするわ寝てたら布団に進入してくるわ!!!あれはイケメンの仮面被ったド変態だわ!!!!!!

びびびびび美人だからってなぁ!!!!調子のってんじゃねぇよーーーーーー!!!!!!!!!!!!


「聞いてんのかよブス」
「申し訳ありません」

肩をグググと押されてどうしようもない。だから私はアレの親戚だと言いたいのに聞かないのはそっちじゃないか…。












「誰がブスだって?」

「いたッッ!?」












急に肩を押す手が離れたと思ったら、腕を変な方向に曲げている美女の先輩。なんだなんだと視線を向けると美女の先輩の背後には

ぼぼぼぼぼおぼぼbbbっぼぼっぼぼおっぼおぼぼ暴君七松小平太様があああああああ!!!!!!


「こ、こへ兄!?」

「お前、今私の可愛い奈緒にブスと言ったか」
「やっ!痛い!やめてよ小平太!何すんのよ!!」
「よくも私の可愛い奈緒を侮辱したな。殺すぞ」

「こここおこおkっこkっここここへ兄やめて超やめて!!!!!」

「よぉ奈緒!!可愛い服だな!いや奈緒が可愛いな!誰だっけそれロビンだっけ!!」
「無知にも程があるよこへ兄!」

やめてやめてと突然現れたこへ兄は、先輩の胸倉を掴みDQNもビックリするガン飛ばしで先輩を引き寄せた。あ、これ先輩殺されると瞬時に判断した私はそのこへ兄の腕に飛びつくが、そのままガバッと抱きつかれたグェェエエエエ苦しい苦しい死ぬ。


「ちょっ、小平太!?小平太それと付き合っt痛ッ!!」
「奈緒を"それ"だと…?本気で殺されたいのかお前」

一言言うのも許さないというスピードでこへ兄は美女の先輩に腹パンを食らわせた。


「私そのこへ兄のすぐ暴力で解決しようとするクセよくないと思うなーーッッ!!」
「そうだな!私もエビフライの尻尾は食わない派だぞ!」
「誰と会話してんだテメェ!」


信じられんこの男。昔から無茶なことしかしないのでバケモンだこりゃwwwwwとか思ってたけど女子にも容赦ないバケモンだ血も涙もない。怖すぎる。


「あんたまじでなんなわけ!?小平太と付き合ってたの!?」
「いやですからね!」

「ふざけんなよ!!絶対あんたに恥かかすから!覚えておきなさいよ!」


「おい」
「こへ兄真顔らめぇええ!!」


腕を変な方向に持っていかれた美女とその後ろにいた美女2人は行くよと声をかけられその場を凄い顔をして去られた。一体なんだったというのだろうか。ランカちゃん美女に絡まれるの巻きだったわ。そして今はランカちゃん暴君に絞め殺されるの巻きだわ。
久しく逢っていなかったからか久しぶりだなー!とギュウギュウと抱きしめられ、抱きしめ返したいのだが、いかんせん目の前に三途の川が広がっているので私の腕は簡単に持ち上がってくれない。

「おい長次!奈緒こっちにいたぞ!」
「え?長次さん?」

「…もそ……」


私を絞め殺そうとするこへ兄は腕の力を緩め、階段のほうに向かって叫んだ。のそりと階段の下から顔を出したのは何かの本を持った長次兄だった。

え??????何???????公式長こへ???????見せつけにきたの???????????今ケータイもデジカメも持ってないけど?????????????

やぁやぁと手を振ると絞め殺さんとしていた腕が離れ、こへ兄は「先に行ってるぞ!」とその場を離れて階段を下った。そして長次さんは私が「長次さん」と呼んだのが気に食わなかったのか「フヘヘ」と小さく笑った。笑顔怖すぎワロタwwwwwwwwwww


「長次兄ちゃん?私に何か用?」
「…お前に、これを…」
「なぁn……ハァ!?!?!?!」


長次兄ちゃんが手にしていたのは、私が先日欲しいと言っていたあの本だった。何故、何故長次兄ちゃんが此れを持っている!?!?!?!?

「ど、どうしたのこれ!!!」
「…先日、図書室の倉庫を掃除していたら、…見つけてな…。貸し出しカードも、3年前の名前が一つあるだけで…それ以降、貸し出された形跡が無かった…」

つまり、処分する本を整理していたら此れが埃を被って出てきたのだという。長次兄ちゃんは其れが私の欲しがっていた本の表紙だということを覚えていてくれたらしく、それを図書委員担当の松千代先生に相談すると、捨てるぐらいならあげちゃってもいいよとおっしゃったらしい。そして私のために図書のバーコードを綺麗に剥がして最高の状態で、今、プレゼントしてくれたという。


「…少々、傷等はあるが……中身は全く問題はない…」

「長次兄ちゃん……!!」


私は感動してその本をぎゅぎゅぎゅっと抱きしめた。はぁぁああああああん長次兄ちゃんイケメンすぎてツラァァアアアアアアアア私結婚するなら長次兄ちゃんみてぇな人がいいです!!!!!!!!!!!!不和くんとこへ兄がいなきゃ私猛アタックしてたかもね!!!!!!!!!!!!!!!
いや譲るよ!!!!ホモの邪魔はしねぇよ!!!!!!!!!!なんでこへ兄どっか行っちゃったの!!!!!!!!


すると私のこの溢れそうなのにどう表現していいか解らないという感動が伝わったのか、長次兄ちゃんは スッ…… と両腕を広げた(変態である)。でも私はこれがあまりにも嬉しくて、遠慮なく身長差がかなりある長次兄ちゃんの首に抱きついた。

「ありがとう長次兄ちゃん!!!まじで大好き!!!!」
「私と付き合うか」
「それはない!!」

















「…鶴谷、さん?」








ん!?この声はうちのクラスのバニーちゃん!?


「あれ久々知くん!?どしたの!?まだ残ってたの!?」
「いや、その、姿が見えなかったから…じゃ、邪魔だった?」
「いやそんなことない!じゃああとでね!お店遊びに行くからね!」
「…もそ……」

床に下ろしてもらい、長次兄ちゃんにヒラヒラと手を振るとスッと手を上げて長次兄ちゃんも階段を下り始めた。

「久々知くん私ちょっと教室よるから先行ってていいよ?」
「いや、どうせだから一緒に行こうよ。もうみんな行っちゃったのだ」
「あ、そっかごめんねわざわざー」

途中で長次兄ちゃんと別れて教室に向かい、私は自分のロッカーへと向かった。ガチャリと開けて制服を奥にグイグイと押し込みその上にさっき長次兄ちゃんから受け取った本を置いた。
あ、そうだケータイ持って行かないと。制服のポケット入れっぱなしだったな。


「…あ、あのさぁ、鶴谷さん」
「んー?」

制服のポケットに入れていたケータイを探していると、横で久々知くんが口を開いた。


「…鶴谷さんてさぁ、…た、立花先輩と付き合ってたんじゃないの…?」
「それ何処情報なんです?」

「…こ、この間八左ヱ門が、鶴谷さんが…立花先輩と一緒に帰ってたとこ、見たって……」


手が硬いものに当たり其れをグイと引っ張ると、ピカピカと点滅するケータイが見つかった。シュッとスライドすると着信履歴が。あ、真美からだ。
っていうか噂広がるの遅すぎだろ。あれから何週間たってると思ってんだ。1,2週間はとっくに過ぎてるぞ。久々知くんにまでこんなアホみたいな噂が届いていたとは…。


「あーそれね、違う違う。私と仙蔵兄ちゃんただの親戚だから」
「そうなんd…へ!?」
「母方の親戚が仙蔵兄ちゃんなの。私の母の旧姓立花。今の鶴谷は父方の苗字だから」

「じゃ、じゃぁさっき、中在家先輩に、」
「抱きついてたのは、私が欲しいって言ってた本を長次兄ちゃんが譲ってくれたの。あ、長次兄ちゃんは仙蔵兄ちゃんの友達で、昔は仙蔵兄ちゃんにずっとくっついてたから仲良いんだ。それで長次兄ちゃん呼びなの。別に付き合ってたりとかそういうんじゃないよ」


今から行くから黙ってろksと真美にLINEを飛ばし、私はケータイをバッグにしまった。時計を良く見るとあと五分で開セレが始まる。ギャボボオオ結局トイレ行けなかったンゴwwwwwwwwwwwwwwまぁ別に漏らすレベルじゃないから大丈夫だけどとんだロスタイムだ。

バッグを担いで久々知くんの腕を掴んで体育館に猛ダッシュするともうその体育館近くは異様な雰囲気に!!!


「あ!奈緒先輩と久々知先輩!」
「よう摂津のくん!……何売ってんの?」

「ペンライトッスよ!今回の有志団体がかなり盛り上がるグループばっかりだって聞いたんで!めっちゃ売れてますよ!奈緒先輩もどッスか!」
「この商売上手め!!よーしその作戦に乗ってやろう!!三本くれ!!!ゾロごっこするわ!!!!久々知くんも買う!?」
「買う!きり丸俺にも三本くれ!!」

「あざーーッス!!!」


「あ、摂津のくん、ルフィの物まねやって」
「海賊王に!俺はなる!」
「ヴァwwwwwwwwww似過ぎクソワロリンヌwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」


バッグから財布を取り出しお金を渡してペンライトを受け取った。あと物まね料金も追加で払った。


「これ久々知くんのバンドのとき振りまくっていいですか!?」
「いいよ!ありがたい!もうそれだけで鶴谷さんだってすぐわかるわ!じゃぁ俺が出てるとき此れ渡すから奥州筆頭ごっこしてて!」
「どっちにしろ中井さぁぁああーーーーーん!!!!!!」


ガガガと体育館のドアを開けると其処はライブ会場の様な異様な盛り上がりになっていた。あっちこっちで摂津のくんから買ったであろうペンライトがゆらゆらと揺れて、デカすぎる体育館は完全に東京ドームのようになっていた。去年もだったけど相変わらずすごいなぁー。

イベントみたいで楽しすぎワロタwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


久々知くんに手伝ってもらいペンライトをバキバキと折光らせて、私達は自分達のクラスの椅子が設置されている場所に向かって走った。

途中で「ランカちゃんだ!」とか「バニーちゃんのコスしてるー!!」という声が聞こえたのでいい宣伝になっているしめしめとか思ってた私はクズ。バニーちゃんに手ぇ出すなよ他クラスに彼氏いるし今回はクラス内におじさんもいんだホモしてんだ。







『黙れ愚民ども。私の声が聞こえないのか』






壇上の上を照らすスポットライトがパッとついた。其処には壇上に足を組み女王のように座る仙蔵兄ちゃんがいた。麗しい仙蔵兄ちゃんの声がマイクを通ると、ジャ忍ズのコンサートのようにキャアアアアアと黄色い歓声が体育館に響き渡った。
仙蔵兄ちゃんの人気に嫉妬wwwwwwwwwwwwこれはヒドイwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww






『貴様らがこの日をどれほど待ちわびたか私にもよーく解る。この学園の人間のほとんどはこの日のためだけに生きているといっても過言ではないだろうからな』






たちばなせんぱーい!とペンライトを振る観客席。観w客w席wwwwwっていうか生徒の席。それに手を振る仙蔵兄ちゃん。それに興奮する観客席。
いやこれもうコンサートですよね仙蔵兄ちゃんの単独コンサートですよね。







『今日、そして明日は思いっきり羽目を外して暴れてくれて構わない。此れは風紀委員長である私が直々に許可をしてやろう』






ワッ!と会場が盛り上がり先生たちも待っていたと言わんばかりにニコニコと笑顔を浮かべていた。
椅子に座ると二年生の座席は体育館の中央らへんであったため、舞台からは近すぎず遠すぎず。空いている席は綺麗に二つ並んでおり、私はバッグを椅子の下において久々知くんと急いで座った。







そして仙蔵兄ちゃんは大きく息を吸い、マイクを置いて、









「…これより!第四十五回大川学園文化祭"大川祭"を開催することを!!此処に宣言する!!盛り上がれない者は直ちにこの体育館から立ち去れ!!」








そう、お叫びあそばれた。

私も久々知くんもクラスメイトも他のクラスも学園中が立ち上がり、手を天井へ突き上げてイェーーーーイ!!と大きく叫んだ。












「お、」

ケータイがブルブルと振動して、シュッとスライドすると少し遠くに座っている真美からLINEがきていた。















《 さっき尾浜くんと久々知くんがお手を繋いでトイレから出てきた 》













「ギャアァアアアアアアアアア」
「鶴谷さん!?」



こうして、一年に一度の大規模祭り、"大川祭"が開催された。

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