「それじゃぁ今から奈緒が持ってきてくれた衣装決めます。まだ帰らないでねー」


みんながはーいと返事をして私は持ってきた特大のキャリーバッグを、椅子、机を後ろに下げて広々とした教室のど真ん中に持ってきた。
HR終わって教室の掃除も終わった後なので汚れる心配は無い。


「うわ!凄ぇデカ!」
「こ、これ中身全部奈緒の友達のやつなのー!?」

「うん、あいつこの筋じゃめっちゃ有名な方だから」


バチンと音を立ててキャリーバッグを開けると、みんなうわぁああ!ともらした。
それはそうだ。所狭しと衣装という衣装が詰め込まれているのだから。

私だって昨日改めて紀子の家に衣装を借りに行って驚いたわ。あいつ前家に遊びに行ったときより確実に衣装増やしてやがった。


「此処にない分は使うものなの。レンタルボックスに移してあるから、此処にあるのは何でも持ってって構わないわよ」
「お前まじ金のかけ方おかしいんじゃねぇの?」

「お黙り。あんたはこれ、ランカちゃん。此れ着ないんだったら貸さないわよ」
「解ってるよ着るよ」

「あんたのとこの文化祭って開セレと一般開放と二日間あるんでしょ?一日目でいいから星間飛行の衣装も着なさい。そして証拠に写メを送りなさい」

「聞いてない!!!!」
「貸さないわよ」
「着ます!!!!!!!」


紀子様の発言には逆らえない!!!だって衣装の提供お願いしているんだもの!!!!
私は仕方なくその条件を受け入れ、紀子の特大キャリーバッグに借りたい衣装を次々と詰め込んでいった。あ、ごめんなさい紀子様ちゃんとたたんで入れます。シワつけてすいません。はい。


てなわけで、今朝は親に車で学校まで送ってもらった。だってこんなデケェキャリーバッグ持って自転車乗れねぇよ!!!!無理に決まってんだろ!!!!!!!

学校到着してすぐ土井先生に「旅に、出るのか…!?」とか聞かれたわ!!!めっちゃ恥ずかしかったわ!!!!!!


「あ、これ知ってるー!これこの間アニマックスで再放送やってたー!」
「あぁ、それ私が着なきゃいけないやつなの。悪いねそれはダメ」
「着なきゃいけない?」
「衣装提供してくれたヤツがこれを私が着ないと衣装貸さないって条件つけてきてさぁ」
「へぇ可愛いー」


娘々ランカのチャイナを受け取ってキャリーバックへ戻す。


「奈緒、これって何のアニメー?」
「これ?これは鬼徹って漫画の」

「こっちはー?」
「…これはONE PIECEだよ」

「えー!この制服可愛い!これもアニメー?」
「…それはホスト部の…」

「なぁ鶴谷これは?」
「……それは…」






…ていうかさぁ、

……お前ら、…知識、……無さ過ぎじゃないの…






「…え、ちょ、ちょっと待って。…それ、も、…知らないの?」

「えー、だってアニメとか解んないもーん」
「アニメ知らないし」

「鶴谷結構詳しいんだなー!」
「そりゃこんな友達いりゃ当たり前かー!」



…おいおい、コスプレして喫茶店やんじゃねぇのかよ…。

私はてっきりそこそこ知識があるからコスプレするのにもなんら反対の声が出なかったのかと思ってたのに………。

嘘だろ…。こんなド素人どもにあの紀子大先生の衣装貸すのかよ…。


ないとは思ってたけど、こ、これは酷すぎじゃないのか…。



「おー!これあのアニメじゃね!俺これ知ってるわ!」
「まじかよ俺知らねぇわ!お前まじオタクだわー」
「俺まじオタクだから、これ超知ってる」





…さっきからさぁ…




「この服可愛いー!これなんてキャラー?」
「えー!露出度高ーい!」
「私これ着たーい!めっちゃ可愛いー!」




…お前らさぁ……!!!!



















「じゃぁ、奈緒ありがとう。

接客担当になった人は好きな衣装試しに着てみてくださーい」


















「ファッキン!!!!!!!!!!!」
「ぐはっ!?」




殴った!!今私文化祭実行委員会の腹に一発かました!!!!

だって!!!!!だって!!!!!!めっちゃ腹立ったんだもん!!!!!!!

ぎゃぱァーーーー!!
おれ…あーゆーやつ、大っ嫌いなんだもんねーーーッ!!!!





「テメェら一旦衣装全部置け!!!テメェらアニオタガチ勢をなんだと思ってやがんだこのやろォオオオ!!!」


私は我慢の限界をむかえてしまったらしく、力の限り黒板を平手で叩いた。自分でもビックリするほどの大きい音が鳴り、教室にいたクラスの全員がビックリした顔をして私のほうを見た。

聞いてて腹がたつ!!!こいつらまじ許せん!!!!!


「何が『俺まじオタク』だ!!!!テメェ如きをオタクなんて呼ぶわけねぇだろファッキンデブ!!!!」
「え、ちょ、」

「ONE PIECEとドラゴンボールかじってりゃアニオタ名乗れると思ったら大間違いなんだよ!!!」


木下先生の私物である竹刀を肩に担いで、私は文化祭実行委員会に先を向けた



「テメェ教壇から降りろ!!お前ダメ!!文化祭実行委員会クビ!!!」
「えぇ!?」


「全員注目!!!お前らがここまでアニメ及び漫画の知識がないとは思わなかったわ!!!まじでガッカリ!!!!!!

もう我慢ならん!!!今日からこのクラスの文化祭実行委員会はこの私!!このクラスの出し物はこの私が取り仕切る!!」



スパンッ!と音を立て、私は教壇を竹刀で思いっきり叩いた。

教室が一瞬静まって、視線が全部私に集中しているのが解る。なんだテメェらその目は。



「鶴谷って、……オタクなの?」



待ってましたよ其の質問!!!出て来ると思ったよ!!!!



「私がオタクでテメェに迷惑かけたかよ!!二次元好きで何が悪ィんだよ!!!アニメ好きがキモイって偏見野郎は今ここで殺す!!!図にのるんじゃあないッ!このアメ公がッ!」


ジョジョぶちこんでも誰も反応しないッッ!!

秘密にしてきましたよ!えぇ今の今まで私がこういう人間だということは秘密にしてきましたとも!!

こういう反応されると目に見えていたからね!!だから今まで黙ってきてたんだよ!!

それなのにお前らはこういう出し物をするというのに知識がなけりゃクソみてぇな発言しやがるし!!!黙って聞いてりゃ好き放題言いやがって!!!



「えー、じゃぁ鶴谷ってワンピ好き?ゾロとサンジどっち派?」

「鬼斬り!!!!」
「痛ァアア!!!」

「ONE PIECEのにわかは俺に近寄るな!!!ファッション感覚でONE PIECE読んでるやつがこの世で一番嫌いなんだよォオオオ!!!!!!ガチ勢ナメんな!!!!!」



これよくある!!!「ゾロとサンジどっち派」発言!!!絶対許せない!!!!シャンクスに決まってんじゃん!!!!!!

今の発言で怒りが頂点に来てしまい、ふざけた事を言った男子の顔面に竹刀をフルスイングした。痛いだろ。五番バッターなめんなよ。


「あー、もうだめだ。お前らに任せること出来ない。衣装は私が決める。そしてこのクラスの出し物を全て私が取り仕切る。そして私がこのクラスを優勝へ導く。文句があるヤツは帰ってよろしい!!!!」

痛がる男子をほっといて、私はキャリーバッグの所へ歩み寄った。





「誰も帰らないということは、もういいですね。引き返すことは出来ません。

なぜならお前らは今から新しい道を開こうとしているのですから!!!!」





バッと手を広げて宗教団体のような発言をすると、教室中がドッ!と沸いた。



「任せたぞ新文化祭実行委員!!」
「優勝に導いてくれよー!」
「奈緒頑張れー!!」
「応援するぞー!!!」

「黙れカスども!!!この奈緒がいる限りこのクラスに敗北という文字はないッッッ!!!」


やばいな……一般人を巻き込まないと、キッパリ言ったばかりなのに……。
スマン、ありゃウソだった。


「じゃぁ衣装は私が決める!とりあえず接客担当になった女子、適当に衣装持って立って!それから衣装トレードするから!」


おー!と返事をして、本当に適当に衣装を引っつかんで各々下げられた机の前に立った。まるでファッションショーみたい。

「あー、……あんたとあんた衣装チェンジ。あとそことそこもチェンジ。そのままあんたはこっちとチェンジ」


そっちそっちと指をさしながらクルクルと衣装を変えていく。違うお前にブルーローズは似合わない。ローズちゃんにしてはおっぱいデカい。ダメ。却下。
あー、そうねあんたはそれで似合うよ。あ、あんたはそれダメ。却下。戻して。



「んー、こんな感じかなぁ。うん。女子はこれで決定で。」


決定!と手を叩いて接客担当になった女子は手元にある衣装をまじまじとみてきゃー!と声を上げたが黙れ煩い早うそれ着てこい。
とりあえずそれ持って隣の教室でサイズも確認したいから試着してきてーと言って女子を全員教室から出した。



10分もしないうちに女子が全員教室に戻ってきたが、



これwwwwwwwwwwwwwwまじかお前らwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

俺の選択が上手かったのかお前らめっちゃ似合うわwwwwwwwwwwwwwwww意味解らんwwwwwwwwwwwwwwwwww
これメイクしたらwwwwwwwwwwwwwww完璧ですよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


「まじかお前らwwwwww似合いすぎクソワロタwwwwwwwwwwwwww」

「ほ、本当?奈緒、これ、大丈夫?」
「わ、私もこれ大丈夫!?似合ってる!?」

「私天才過ぎwwwwwwお前ら可愛すぎwwwwwwwっうぇwwwwwwwwwwwwこれ優勝間違いなしですわwwwwwwwwwwwwwww」


ぶひぶひと笑いながら、露出度の高い衣装やらなんやらに鼻の下を伸ばす男子に


「ブッ壊すほど…………シュートッ!」
「痛ァア!!」


竹刀制裁を加えた。


ほら次は男子だよ、と好きな衣装を持たせて立たせた。うんうんとうなっていると、着替え終わった女子が全員戻ってきて、男子が持っている衣装を見てきゃいきゃいと騒ぎ始めた。黙れ。喧しい。

うんうん、うちのクラス女子も男子も顔面偏差値高いなぁ。何着せても似合うかもしれん…。此れ本当に外部からの客のオタクどもでいっぱいになりそうだなぁ。


「なぁ鶴谷?」
「あ?」
「俺のこれって何?マントみたいなのあるしマスクもあるけど」

「…お前まじで言ってんの…?なんで…?タイバニも知らないの?」
「知らねぇよそんなの…」


そんなの?今そんなのって言った?


まじガッカリだわ…と頭を抱えて教壇の机に腰掛けてうなだれた。

もー…いい加減にしてくれたまえよ…。





「……刮目して己の全てを顧みろ」




これあれだわ、こいつら全員にタナトスの声聞かせるべきだわ。



「え、え?鶴谷?」

「真の罪人を裁きの標に導く事こそ私の正義。翻って今貴様が偽りの正義の手に委ねられる事、それを看過するのは私の信条に反する…!」


ポツリポツリとつぶやきながら、私は竹刀を握る手に力を込めた。
お前さっきまじオタクだわとかほざいてたクセに…!!よくもまぁそんな質問してきやがったなこのやろう……!!!

思いっきりしないでひっぱたいてやろうかと思った。






その時、



















「鏑木虎徹、貴様の正義とはこんな所で潰えてしまうものなのか」























私の竹刀が、


久々知くんに奪われた。




「く、久々知くん…!?」


「否。私はタナトスの声に、従うまで」




久々知くんはルナティックの台詞の続きを口にしながらスッ…と竹刀を構えて、




「タナトスの声を聞けッッッ!!!!!」

「イッテェェエエエエ!?!?!?」



私が殴ろうとしていた男子の腹に、思いっきり竹刀をフルスイングした。





え、くくく、久々知くん!?!?!?!?






「お前らまじで使えねぇな!!コスプレ喫茶に賛成したから少しでも同士増えると思ってた俺がバカみてぇじゃねぇか!!!見事に期待裏切ってくれやがって!!!にわかと一般人は引っ込んでろ!!

文化祭実行委員は俺と鶴谷さんが仕切る!!お前らみたいなにわかに解るほど浅い世界じゃねぇんだよ!!」



久々知くんの目は、マジでした。



「へ、兵助…!?」
「お前もオタクだったのか!?」

「うるせぇな俺もオタクだよ見てわかんだろ。ガチ勢が一番嫌いなのは愛してる作品をにわかごときに語られることなんだよ。俺の前でタイバニ、ワンピ、BASARAを中途半端に語ったやつもしくはdisったヤツは容赦なく鉄拳制裁食らわす」



こんな久々知くん、見たことねぇ!!!
(CV:渡辺さん)



「いいよね鶴谷さん?」
「もちろんだとも!!このクラスは私と久々知くんで取り仕切る!!」


久々知くんがオタクだということを、クラスにカミングアウトしたところで、教室は更に勢いを増して盛り上がった。

それから、ちょっとガッカリしてる女子が視界に入った。あれだろ、お前ら久々知くん好きなんだろ。でアニオタだったってことがあってガッカリしてんだろ。
残念だけど久々知くんはお前らみたいなケバい女子好きになんないよ。好きなタイプはビビだって言ってたし。


あとね!!!!!!久々知くんにはね!!!!!!!!!
竹谷くんていう素敵な彼氏がいるの!!!!!!!!ホモなの!!!!!!!禁断の世界の住人なの!!!!!!!!!!

邪魔しないであげて!!!!!!!!お前ら如き久々知くんが振り向くと思ったら大間違いなんだよね!?!?!?!?
自惚れんなよ!?!?!?!もう素敵な素敵な恋人いんだからな!?!?!?!?


まさかここで久々知くんが参戦してくるとは思いもしなかった。でもなんか、嬉しいでござる。こんな仲間と一緒に何か出来るということがね!!!

男子の衣装も決まりました。もちろん久々知くんと尾浜くんの衣装も決めました。でもぶっちゃけ決まりませんでした。だから当日は何着か着まわして貰います。何故って私が写真取りたいからです。ホモホモしてもらいらたいからです。当日写真取りまくります。ツラいです。


「てなわけでー、喫茶店に一番重要なのは食い物のメニューです。誰か何か案ない?」

と、聞いても、誰も何も発しない。


そういえば3年2組も喫茶店だと言ってた。中在家先輩が調理担当とか、ヤバい。あれに勝てるものはない。

だからこっちは普通の料理でもコスしたキャラに合う物を出す。それで稼ぐ。そうだ、それが一番いい。


「……誰も何もねぇのかよ!!」

バン!と教壇を叩くとうーん…とうなだれるみんな。クソどもめマジで使えねぇ。



「真美、京子、なんかない?」


「"坊ちゃんの好きなガトーショコラ"」
「"葬儀屋の骨クッキー"」
「"こてっチャーハン"」
「"先生のための毛ーキ"」
「"阿弥陀丸にお供えしたカキ氷"」
「"ホラー梨のタルト"」
「"ナミさんのためのマチェドニア"」
「"ハッちんのたこ焼き"」
「"国境を越えながら食べるヴルスト"」
「"コナッシュ"」
「"アバ茶"」
「"伊右衛門様の好きな南瓜の味噌汁"」
「"ポクテの丸焼き"」
「"真骨頂"」
「"めんま特性蒸しパン"」

「歩く知恵袋さんチッス。久々知くん書記よろしく」
「ぬかりなく」
「イケメンすぎワロタwwwwwwwww」

めっちゃ綺麗な字で黒板に次々と書かれていく、一般人からしてみればなんかの呪文の羅列のような文字。
突然の戸塚と浅水の突入に驚くが、ぶっちゃけみんなこいつらも頭ヤベェこと理解できてただろ。オタクです話しかけないでくださいオーラ満々だったもの。

確実に無理なメニューはその場で切捨て、なんとか用意できそうなものはそのまま採用。
ガトーショコラとか前もって作ってくればなんとかなるし、蒸しパンとかたこ焼きもできるし。マチェドニアとかふざけんな帰れ。


「さて、メニューも決まったところで、調理担当はこれ全部メモとっといてね」
「あ、俺からもいい?」
「どうぞ久々知くん」

「せっかくコスプレするんだから、各々各衣装の台詞を最低一つは覚えておいて欲しいんだけど」
「台詞とかわかんねぇよ!」
「ggrks」

「それは我らにお任せあれ。明日までには各キャラの名台詞ピックアップするでござる」
「俺のバイオが火を吹くときが来た」

「お前らキモすぎワロタwwwwwじゃぁ台詞は京子と真美に聞いてねー」


「はーい!俺からも俺からも!」
「勘ちゃん?」

「とりあえず、俺はかまわないから提案するけど、特に問題がなければ写真撮影も可をしたほうがいいと思う!もちろん有料でね!一回100円くらいならみんな惜しみなく使って来ると思う!」

「尾浜くん思考エゲつない!」
「いやぁ、きり丸直伝だよ。稼げるところでは稼いでおかないとね」


「あ!そういえば鶴谷さん、私の家におにいちゃんのだけど、ゲームのサウンドトラックとかあったとおもう」
「まじか!それ最高!持ってきて!店内BGMにする!」

「俺もアニメのベストアルバムとか家にあったと思う」
「採用!お前もそれもってこい!あと誰かコンポ家から持って来い!出来れば音質いいやつな!」


「兵助ー!教室の内装どうすんの?」
「食満先輩に聞いてみて、テーブルクロスとかが余っているようなら借りよう。普通に机並べるだけじゃつまらないから」

「あ!じゃぁ新入生が来たら、学園のこと説明してあげるっていうのは?」
「それはいい考えなのだ。じゃぁ学園のパンフレットも教室に設置しよう」

「お金はどうするの?」
「お金は注文と同時に貰えばいいと思うけど…」
「注文書いてメモして、食い物運ばれてきたら受け取るって感じでいいと思う」


この教室は、このクラスは、一体何処へ向かっているのだろうか。

だんだんクラスが力をあわせて意見を出し合ってくるようになったので、話は前の実行委員より確実に早く決まっていく。あいつまじ使えんわ。
各々今日決まったことを頭に叩き込むかノートにメモるかして、当日は此れで行きます、と久々知くんが黒板を叩いて、今日のHRは終了となった。気づいたらもう18時を回っていて、職員室の前を通って帰ると今から帰るのか!?とビックリした木下先生に遭遇した。文化祭にこんなにアツくなっているとは予想外だったみたいで、「先生もなんでも手伝うぞ!」と強く肩を叩かれた。


「奈緒、丁度良いところに。これからポスターを貼りに行くんだ。手伝ってくれないか?」
「うん、いいよ。じゃ、私はこれで!京子真美バイバイ!」

立花先輩やー!!と叫びながら京子と真美は姿を消した。

近くの駅構内と、張ることを許可された場所へあっちこっちに移動して、大川祭のポスターを張り終えることが出来た。うわ、こうしてみると恥ずかしいな。


「急にすまなかったな。あの時間に業者が届けにきて、文次郎に手伝いを要求したのだが予算を寄越せといろんなクラスから交渉がきていてそれどころではないらしくてな…」
「別にいいよ。気にしないで!」
「このままお前の家に厄介になってもいいか?もう家に帰るのも面倒だ。お前の家のほうが近い」
「うんうん、お母さんにメールしとくわ」
「今夜は久しぶりに一緒にn」
「寝ない」
「奈緒!」

さりげなく手をつないできたが、メールを打っているので総シカト。仙蔵兄ちゃん手ぇ冷たい。触んな。


「あ!竹谷くんだ!おーい竹谷くん!」
「?お、鶴谷か?た、立花先輩も、こんちは」
「よう竹谷。遅い帰りだな」
「ちょ、ちょっと本屋に用事が…」

「竹谷くん丁度良かった!ねぇ、この間言ってた豆腐の本!うちにあったよ!」
「な、何ィ!?」
「新品じゃなくて、お古のお古なんだけど…保存状態はめっちゃ良かった!もしよかったらあれ譲ろうか!」
「ま、マジか!良いのか!?是非頼む!」
「じゃぁおまけにラッピングしてあげるから!文化祭終わったら渡すね!」
「おう!まじでありがとう!あ、金は、」
「今度31でトリプル奢ってくれたらいいよ!」
「お前まじ良いやつだな!!!」


じゃぁね!と手を振り、私は帰り道を急いだ。



「何の話だ?」
「秘密ー!」
「この私に秘密を作るとは……奈緒は罪な女d」
「今夜はカレーだって!」
「何故私の言葉を遮る!!あと奈緒、お前なんのコスプレするんだ」
「ひ、秘密です…」
「そうか。有志団体で星間飛行は歌うんだろうな?」
「なんでコスするキャラ知ってんだよ!歌わねぇよ!」

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