「よし、今日の遅刻の理由を話してみろ。今日は何の童話がどうなった」

「ポスター案を徹夜で描いておりましたらばまさかの六時間仮眠をしてしまい先程起きた次第にございます」

「……お、おぅ…」



本当は仮眠とってちゃんと時間通りに学校に来ようと思ってたんですよ。でもね、


昨日帰宅
 ↓
ポスター案下書きする
 ↓
終了
 ↓
興奮治まらずペン入れ
 ↓
終了
 ↓
深夜のテンションで着色
 ↓
コンビニに夜食買いに行く
 ↓
ハンズフリーでskype
 ↓
職質される
 ↓
補導される
 ↓
なんとか解放される
 ↓
作業に戻る
 ↓
完☆成
 ↓
東の空が明るくてワロタ
 ↓
AM4:00仮眠
 ↓
10時起床
 ↓
オワタ\(^0^)/ ←イマココ!


ミッションインポッシブルーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
普通にカスだったわ6時間も寝るとか我ったら不覚!!!!!!!!!!!!!!!!


丁度木下先生の授業の時に教室に入ってしまい、チョークを構えられた。でもふざけたこと言ってないので投げられずにすんだ。
今日はスタイリッシュ登校のボケとか考えてきてない。まじそんな余裕なかった。まさか平日に6時間も仮眠とるとか予想外だった。7時には起きる予定だった。あとは授業中に寝る予定だった。

つまり仮眠というか、完全に就寝してしまったわけで、それはもうスッキリ目覚めて登校しました。
潮江先輩のような隈もなく、余裕ぶっこいてうっすら化粧もしてきましたし(遅刻だからもう時間とかどうでもよくなった)、パッと見は徹夜してた雰囲気はかもし出せてない筈。セーフ。

パラリパラリと降っている雨にバッグが濡れないように大き目のビニール袋にぶち込んで、チャリで来た(ここであのポーズ)。


ぬをおおおおおトゥディは久々の雨!!!!!!!私の最も嫌いな雨なのだ!!!!!!!!!!!
雨が降ると必ず最悪なことが起きるジンクス発動する!!!!!!!
前は好きなサークルさんの本が出たと聞いてサイトに行ったらもう売り切れたし!!!その前はゲーセンでフィギュア取れなくて財布からっからになっちゃったし!!!

今日は遅刻がそうなのか!!!!おのれ雨許さん!!!!!!!!!!

水攻めじゃああああああああ!!!!!!水すなわち龍!!!!!龍をもって虎を討つ!!!!!!!!!!

おのれ董卓ーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!


っていうかついにポスターが出来上がったんです。一晩で描き上げたんです。昨日家に帰ってからずっとやってたんで10時間は机にかじりついていました。目が痛いです。

今日はなにもボケれなかったので木下先生も「は、早く座れ」としか言えない。ごめんね先生次は何か考えてくるから。


「おはよう久々知くん」
「おはよう鶴谷さん」


尾浜くん寝てる。寝顔撮りたい。

机についた瞬間二時間目授業終了のチャイムが鳴った。木下先生乙でーーーーーーーーすwwwwwwwwwwwww

ガタガタと椅子を引く音が教室中で鳴り響く中、私は溜息をついてバッグを机の上に置いた。バッグからタオルを取り出し若干雨に濡れた髪の毛をぽふぽふ叩いて乾かした。あークソ。予想以上に濡れていやがる。びしょびしょになって髪かけ上げる三成さんくださいブフォォwwwwww


ふと机の横を見ると、見慣れない可愛らしい紙袋が一つぶら下がっていた。はて、なにかしら。手にとって中身を確認すると、


中にはホモ本が!!!!!!!!!!!!!!!!!



【お約束のスマ本(R18)持って来ましたンゴwwwwwww
  奈緒の愛する天使真美ちゃんより】


真美ちゃんさんチーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッス!!!!!!!ありがとうございますありがとうございます!!!!!!!!!!!!やばいこれ前から読みたい読みたい貸せよコラって真美の肩揺すって脅してたやつだ!!!!!!!
持ってきてくれたんですかわーーーーーい!!!!!!!!!!!うおおおジャンルごちゃごちゃすぎ興奮した!!!!!!これ全部欲しい!!!!借りパクしてしまいそう!!!!!!!!!!!!!!


だからってお前雨の日に持ってこなくてもよかっただろう…。濡れたらどうすんだ…。

可愛い紙袋はショッピングモールで手に入る知る人ぞ知る下着屋の紙袋だった。何に入れてきてんだお前はwwwwwwwwwwwwww
机の中で「あざーーーーーッスwwwwwwwww」とLINEを送信して、紙袋を机の横に戻した。ヒュフッて口笛の音聞こえたぞマナーモードにしとけよks。


雨でなんかヤなことありそうだなーとかいつもみたいに考えてたけど、そうでもなかったわ。いいことあったわ。超あったわ。ラリホー。



あ、そうだそうだ


「久々知くん久々知くん」
「ん?」

うおおおおおおおおおおおおおおお久々知くんの授業だけ眼鏡ってやっぱりいつ見てもヤバイですね!!!!!!!!!!!破壊力抜群ですね!!!!!!!!!!!あとで写メらせてください!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

声をかけたと同時に眼鏡外す久々知くんイケメンすぎワロリンヌ。


「ポスター、出来上がったよ」
「!」


授業に集中していたからか眉間にしわが寄っていたが、パッと顔を輝かせて「見せて」といってくる久々知くん可愛すぎワロタ…。竹谷くん可愛い子飼ってるのね……。

あ、久々竹騒動あったけど私は断固竹久々でいきますから。えぇ、えぇ、譲りませんとも。


プラスチックのバッグにコピーしておいたものを入れてきた。カチリと音を立て開き、クリアファイルから今朝コピーしたばっかりの物を久々知くんに差し出した。

いや一応「一番最初に見せる」と約束しましたし、モデルにもなってくれたし、ちゃんと見せておかないといけないですし。

でもまだ仙蔵兄ちゃんのOKサイン出てないし採用されるかわかんないので他の人には見せることは出来ない。手招きして窓に背を向ける形になってもらい見てもらった。
あれ、久々知くんこんなに身長高かったっけ。横に並ぶと私チビすぎワロタ…。

一応ボーカルでしたし、センターというか、一番目立つポジションに尾浜くん描かせてもらいました……。ど、どうでっしゃろか…。


すると王子は

「え、す、凄いね…!?何これ!?」

と仰ってくださいました!!!


「き、気に入っていただけましたでしょうか…!」
「いやいやいや、鶴谷さん絵上手すぎじゃないの…!?」


そんなにまじまじと見られるとテレるでごんすーーーーーーーーーwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
こんなものしか取り得ないんですはいお恥ずかしい限りですーーーーwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


「……や、ヤバイね」
「ほ、本当?大丈夫?ダメなとことかない?」
「そっくり、とか、そういうレベルじゃない」
「え!」
「…ははは、この俺、さすがに美化しすぎじゃないの?」


はにかみながらコピー用紙を指差す久々知くんの笑顔脳に焼き付けた。

「いやいやいや、久々知くんはとても美形でございますともそれがこれに表現しきれているのかどうかが問題でございます」
「…!て、テレるからやめて」
「いや本当まじで。でも一応まだOK出てないので、これは私と久々知くんの秘密ね」
「うん解った。秘密ね」


最初は人間描くつもりはなかった。なんかアニマル的なキャラでポスター描こうと思ってた。いやなんか、南天風味出たら嫌だったし。この学園にも腐女子いるだろうし。こんなですがそこそこ私はこっちの世界で名の売れているキチガイだってことは自負してます…。バレたら面倒なので…。
でもあの写真でもう決めました。あのイケメン集団を描かせていただきます。と。

一応昨日神棚に「イケメン軍団を描かせていただく許可を!」って手を合わせといたから大丈夫だと思う。秀吉さまの許可もらえなかったけど大丈夫だと思う。いやこんなことしても何の意味もないけど。




「………」

すると久々知くんは、コピー用紙をじっと眺めて真顔になっていらっしゃった。

「…な、なにか不適切な表現でも」
「あ、いや、別に、」


何かあった絶対何かあった。何その眼!!!怖いよ久々知くん怖いよ!!!!!


「あ、あのさ、これってコピーでもいいから貰うこと出来ないかな」
「あ、まだ風紀委員からGOサイン出てないからまだちょっと…」

「そっか…。じゃぁポスターになったら一枚譲ってもらおうかな」
「いやいや、こんなもんいらないでしょう」
「いや、本当に欲しいよ。鶴谷さんが描いたんだから」


なんだよもう久々知くんったらお世辞上手!!!!!!!!!
惚れてまうやろーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!





































「ほぅ、かなりいいではないか。気に入った。採用としよう」

「ほ、本当!?」
「もしやあの二年どもがモデルか?」
「そう!よく解ったね」

「奈緒先輩こんにちはー」
「はいこんnドゥッ!」

放課後、風紀委員会室に出来上がった物を持っていき、既に部屋にいた仙蔵兄ちゃんに手渡した。
と同時に何処にいたのか後ろから綾部に抱きつかれて「ドゥッ!」とか変な声でた。ウルージさんかっつーの。


なんと言う悲運…!前方に「立花仙蔵」…後方に「綾部喜八郎」…!!ここまでか……!?

\お前にはまだ死相が見えない/


フゥー☆ ホーキンス船長フゥーッ☆

ホーキンス船長の髪の毛三つ網にして一日を終えたい。

相変わらず綾部くん腕の力強いね。まだ穴掘り♂とかいう特殊な趣味してんの?うっかり死ぬとこだったわ。いやうっかり殺されてたまるか。


「おやまぁ、奈緒先輩はとっても絵がお上手なんですねぇ」
「ありがとう綾部くん。今日も髪ふわふわで可愛いねぇ」

「奈緒先輩もとても可愛いですよー」
「そういうことを抱きつきながら言うと私じゃなければ勘違いするからやめなね??」

「勘違いしてください?」
「本ッッッッ当に綾部くんは可愛いね!!一日中愛でていたいね!!!」

「やめろ喜八郎!!私の奈緒から離れろ!!!」


私に抱きついたことが気に入らないのか仙蔵兄ちゃんは綾部くんの首根っこをぐいと引っ張りべりっと私からはがした。何すんだ折角の綾部くんの抱擁を。仙綾か。おい。仙綾かコラ。けしからんもっとやれ。

しかしたった今、笹山くんに抱きつかれて背中は埋まったんですけどね。


「笹山くん、なんか、大きくなったね…」
「なんですか奈緒先輩、親戚の人みたいな言い方して」
「いやいや、最近あってなかったからねぇ」


久しぶりーとぎゅっと抱きしめると笹山くんも抱きしめ返してくれる。ああ可愛い弟みたい弟欲しい笹山くん欲しい。でもそろそろ身長抜かされそうで怖い。まじ怖い。
中等部の子とはこういうイベントごとがないとあんまり逢えないのがツラい。

ぎゅーってしてくる笹山くん可愛すぎツラァ。今日は加藤くん一緒じゃないの????????ねぇ一緒じゃないの?????団兵は???????????


「あ、立花せんぱーい、伝七と浦風先輩はちょっと遅れるみたいですー」
「解った。丁度今奈緒からポスター案を受け取ったところだ。先に業者へ発注に入るぞ」
「えー!ポスター出来たんですか!?見せてください見せてください!」


ポスターなどをコピーしてくれる格安会社のリストを作ってきたらしく、綾部くんがバッグから取り出した資料を仙蔵にいちゃんは一枚ずつ丁寧に見ていった。うん、仕事しているところはカッコイイんだけどね。


「今私をカッコイイと思っただろう?」
「あ、こっち向かない方がいい」
「奈緒!!」


とりあえずこの業者に何日で出来上がるか連絡してみろと仙蔵兄ちゃんが言うと綾部くんはケータイを取り出し、いつもののんびりした口調とは違ってハキハキと「もしもし、私は大川学園の高等部一年一組、文化祭実行委員会の綾部喜八郎と申しますが」と喋りだした。かっこよ。

笹山くんはポスターを貼り付けるための許可を取った場所をピックアップして、地図にまとめてきたらしい。そしてそれを見ながら仙蔵兄ちゃんと話を進めた。


「鶴谷先輩、こんにちは」
「こ、こんにちは!」

「おー浦風くん黒門くん、久しぶり!」


おいで!と手を広げてもこの二人は顔を赤くするだけで抱きついてきてくれない。可愛いけど残念でsあ、いや、仙蔵兄ちゃんはこっち来なくていいですジリジリ寄ってこないでください


「藤内、伝七、兵太夫の話を聞いておけ。少々奈緒と話があるため席を外す」
「「はい!」」


二人が教室に入ってくると、仙蔵兄ちゃんは私の肩を抱いて教室を出た。そして胸ポケットから白い封筒を出し、「約束の物だ」と差し出した。


き、キターーーーーーー┌(┌^o^)┐ーーーーーーーーーー!!!!
三年イケメン特集海でドキッ☆〜ホモの夏休み〜写真と、

たたたたたた竹谷くんと久々知くんのミラクル写真だーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお私はこれのためだけに頑張ってきたんだーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


「ッッシャアアアアアア!!!ありがとう!!!!!!」

写真ゲットだぜ!!!


「感謝の意を身体で表現して抱きついてきてもいいんだぞ!」
「じゃ、先に帰るね!」
「奈緒ーーーー!!!」


写真を封筒におさめて制服の内ポケットにしまい、私は風紀委員会室を後にした。嘆いている仙蔵兄ちゃんとか知らんわ。なんだアイツ。

思わずスキップで廊下を走ってしまう。
嗚呼、なんだか土砂降りになってきたなぁ。大事なものはさっき渡したし、濡れて困るのは教室にあるホモ本とケータイぐらいかな。とっとと帰って写真かざってニヤニヤしよう。うん、今日はニヤニヤして早く寝よう。



ガラリと教室のドアを開けると、真っ暗で何も見えないってぐらいには暗かった。



「お、久々知くんまだ残ってたの」
「……鶴谷、さん…」


机の横で立ちすくんでおられる王子発見☆

あれーーーーー???????????????もしかして竹谷くん待ってる系ですかーーーーーーーー????????????今日バンドの練習とかじゃないんですか?????????????????


あまりに暗いので教室の明かりをつけると、久々知くんの顔は、ま、真っ赤でした。え、どうしたの。


「く、久々知くんどうしたの、顔、まっ…………」


風邪でも引いたのだろうか。そりゃアカン。久々知くんここまで自転車?電車だっけ?駅まで送ろうか?

急いで久々知くんの側に駆け寄ると、



突然遠くで雷の音が聞こえて、





そこには信じられない光景が。

















「ご、ごめん、に、…荷物……ぶつかって、その、ひ、ひっくり返しちゃって………」





















どうりで雨の日なのに何も起こらないわけだ。























「こ、これ、…………鶴谷、さん、の……?」























今日何も起こらなかったのはこれのためか。



















私の机の横に散らばる、

真美から渡された、

ホモ本の数々(R-18)。









ついに、隠し通してきた私の正体がバレてしまった。

なるほど正体がバレるとこんな気持ちになるのか。

おじさんとかツラかっただろうな娘さんにバレて。

私今凄く校舎から飛び降りたい気分。

配管工おじさんのごとくイヤッフゥ!とか言って飛び降りたい気分。









まさか

よりによって






この久々知くんにバレるだなんて。







今日私の命日でしたっけ?






























「い、…い…、イヤァアアァァァアアアアアアアアアアアアアアアアァァァアアァァア!!!!!!!!!」
































【久々知と竹谷と、ときどき私】御愛読ありがとうございました。
この中編小説はヒロインの死亡をもって打ち切りとさせていただきます。

また何処かでお逢いしましょう。

奈緒より愛を込めて。

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