「ダァー!まじかよー!」

「はい八左ヱ門これ僕の分のお金。いろはすのみかんと桃天よろしく」
「俺はバンホーテンと苺オレね!」
「俺matchと水よろしく」
「私はいろはすのりんごとみかん買ってきて」

「待て待て待て!!今メモ取るから待て!!」


一時間ぐらい演奏し続けたかな。各々がやりたい曲を上げていって一回弾いてみて勘ちゃんが歌ってみる。適当にだけど家でピアノ出して弾いてみたし、感覚戻ってきたかもしれない。

一旦休憩しようぜと三郎が言って、じゃんけんで負けた人が食堂前の自販機で全員分の飲み物を買ってくることを八左ヱ門が提案して、案の定八左ヱ門が負けた。乙。
全員分の金を受け取って八左ヱ門が視聴覚室を出て行き、俺は大きく溜息を吐いた。


「どうした兵助、そういえば今日元気ねぇな」


ギュンとギターを鳴らして三郎がそう聞いてきた。八左ヱ門いないし、ちょっと聞いてもらいたいことがあると俺は椅子に腰掛けた。





「…多分だけど、もしかしたら、鶴谷さん、………八左ヱ門のこと好きなのかもしれない……」




シン、と教室が静まる。

カランと小さい音が聞こえたのは、多分三郎か雷蔵がピックでも落とした音だろう。俺ははぁぁぁぁと深く溜息を吐いて項垂れた。


「へ、兵助、そ、そ、それは何処から情報の…」
「…鶴谷さんが顔赤くしてた…」

「kwsk」
「久々知くんて竹谷くんと仲良いよねって聞いてきて…」
「ksk」
「…幼馴染だからって言って」
「ksk」
「…なんでそんなこと聞くのって聞いたら……変なこと聞いてごめんねって…顔、赤くしてた………」


うわ…と小さく声を漏らしたのは多分勘ちゃん。いや俺がうわって言いてぇよ。


「この事、八左ヱ門は…?」
「知るわけないだろ…」


HRの話し合いしているときこそ普通に鶴谷さんと会話出来ていたけど、今冷静に考えるとあの時よく平然を保てて鶴谷さんと会話出来ていたなと自分自身感心してしまう。
あの休み時間以降俺の頭の中はどう八左ヱ門を抹殺するべきなのかでいっぱいだった。半分嘘。半分。

まさか親友である八左ヱ門を鶴谷さんが好いていたとか信じられない。本人の口から直接聞いていないとはいえもうあれは確実だと言ってもいいだろ。態度に出すぎててもう逆に違うだろとかいえなくなってきたわ。
やっと隣の席という美味しいポジションに座ることが出来たというのにこれはあんまりではないだろうか。ツラすぎる。

っていうか八左ヱ門の何処に惚れたんだろう。イカつい外見の癖に生物委員会とかやってるから?不良が捨て猫拾っちゃうのにトゥクン…///とかしちゃうタイプなの鶴谷さんて。可愛い。そんな鶴谷さん可愛い。


あの後どんだけ授業中に支部あさって心落ち着かせたと思ってんだよ。どんだけ蒼紅あさったと思ってんだよ。
この夢小説の作者王道CP好きすぎだろとか思ってんだろ違うんだって王道こそはまると凄いぬけにくいんだって。いやもちろんマイナーカプも俺好きだよでもあいつらが幸せに暮らしてたらたぶん天下安定してたよ。ホモだらけで安定してたよ。トリップしたい。ツラい。でも実は松慶とか好物だよ。うめぇよ。

あとフラロビやばい。フランキーとロビン姐さん仲良くしてたらグランドラインがやばい。まじ懸賞金跳ね上がると思う。あの二人セットでDead or Aliveして欲しい。俺にください。ドレホもください。ホーキンス船長が甘えてるとこください。

あ?NLもうめぇよ。俺雑食だよ言わなかったっけ?



「でも、鶴谷さんが直接言ってたわけじゃないんでしょ?ハチのこと好きなんだって」
「いや言ってないけど、あれはなんかもう確実というか」

「なんだよ兵助、お前は大好きな大好きな鶴谷さんをハチなんかに譲るのか?」
「譲るわけねぇだろ!!!!!!!!!!!」

「だったら諦めるなんてらしくねーぞ!!俺らついてんだから!!いざとなったらハチぐらいボコボコにしてやるから!!」
「勘ちゃんが言うと冗談に聞こえないからやめて!!!」


諦めるつもりなんて毛頭ない。っていうかあるわけがない。

どんだけ鶴谷さんのこと好きだと思ってんだ。っていうか八左ヱ門も俺が鶴谷さんのこと好きって知ってるはずだ。…万が一にも八左ヱ門が鶴谷さんを好きになることは………

いやわからんぞ鶴谷さんめちゃめちゃ可愛いから誰でも魅了してしまうかもしれない怖いどうしよう八左ヱ門が鶴谷さんのこと好きになったら終わりですよね詰みますよね


じゃぁ解決ということで、と雷蔵が手を叩き、八左ヱ門が戻るまで各々の楽器をいじり始めた。あー、アニソンやりたい。







ガンッ!!!





諦めんぞぉおおと意気込んだとき、部屋のドアが強く叩かれた。あ、八左ヱ門が戻ってきたかな。
兵助あけてーと勘ちゃんに言われ、俺は走ってドアのほうへと向かった。



「八左ヱ門お帰りー……あ、れ、鶴谷さんも一緒…?」


「お前らが何本も頼むから持てなくてな」
「その場に偶然居合わせたから手伝っただけー」



この話の流れ、こういう展開って普通あります???????ありませんよね?????????????どういうことなんです??????????????????????????

え、なんで二人でいるの。っていうかなんで鶴谷さん顔真っ赤なの。なんなの緊張なの。どういうことなの。

後ろから小さく「アチャー…」という声がしたのは多分三郎だと思う。本当だよ本当にアチャーだよ。なんだよこれ。ふざけんなよ。


鶴谷さんが抱えていた飲み物を机に置いて、俺は頼んでいたmatchと水を手にした。




「あ、兵助match一口くれ」
「ん」



黙れお前ふざけんなよコラ人の気も知らないでコラ。



「なんで鶴谷さんてよく解んないタイミングで写メ撮るの?」
「気にしなくていいよ?」
「すごい気になるよ?」


………鶴谷さんがよく解らないタイミングで写メとったりしてるのって、もしかして八左ヱ門目当て?

…えっ!まじで!?もしかしてそういうこと!?どういうことだったの!?!?プールで逢った時も突然写メ撮り始めたのってそういうことだったのか!!!!







「……これいいな」



ポツリと、鶴谷さんがケータイを見つめてそう呟いた。




「鶴谷さん?」
「これいいな!!!!」
「どうしたの!?」








「ねぇみんなにお願いがあるんだけど!大川祭のポスターのモデルになってくれない!?」










解んないよもう。

鶴谷さんの考えてること微塵も解んない。



どうすりゃいいんだよ。








「まじで!全然構わないよ!」
「凄いね鶴谷さんポスター描いてんの?私も構わないよ」
「僕も!出来上がったら見せてね!」
「俺もいいよー!!」



「ありがとう!!!……く、久々知くんは…?」













「喜んで!!!!!!!!!!!」





なんかもう全然展開解んねぇよ。


俺こっからどうすればいいんだろう。

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