「あれだよ木下先生、たとえばシンデレラがお義姉さまにいじめられてる日々に快感を覚えるようになったとするじゃん?」

「なるほどな。お前のことはもう知らん」
「ごめんなさい」


てっへー☆また遅刻しちゃったでござる☆


昨夜ずっとポスター案について考えてたらもう深夜の3時だったでござる!の!段!


仙蔵兄ちゃんにポスターを頼まれてから、私の頭の中はどんだけ良いポスターを提出すれば仙蔵兄ちゃんは竹久々ショットを手渡してくれるんだろうという思考でいっぱいだった。
あの悪魔のことだ。ささっと描いて出したのでは絶対に妥協してくれない。

しかし、あの写真は絶対欲しい。

どう計算してどう狙ってどうシャッターを押せばあんないいアングルからあんな写真が取れるのだろうか。浦風くん天才なんじゃないか。何の拍子にあの二人は笑顔で肩を組み合ったんだろう。どういうことなんだろう。ホモなんだろう。そうなんだろう。


前々から怪しいと思っていた文仙や伊留や長こへの生写真が手に入るだなんて。しかも同時に本命の竹久々まで手に入るだなんて。こんないい機会は滅多にない。俺歓喜。

っていうか仙蔵兄ちゃんの用意周到さハンパネェwwwwwwwwwwあんな写真を目の前に出されて食いつかないわけないですねーーーーーwwwwwww
クッソ仙蔵兄ちゃんもう完全に私の生態系を完全に網羅してやがるwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

網羅してるついでに潮江先輩と抱き合ってる写メもくれよ。文仙も好物なんだよ。性的な意味で抱き合ってる写メくれよ。売ってくれよ。言い値で買うから。


ってなわけで私はあれから家に帰ってずーっと机に向かってシャカシャカと鉛筆を走らせていた。
とりあえず下書きだけで案を何個か出してみて、仙蔵兄ちゃん及び風紀委員会兼文化祭実行委員会の皆の意見でも聞いてみようと考えた。これがいいーって言って貰えて、なおかつ私がこれでいいかと思ったらペン入れしよう。


さて木下先生に見放されたとこで、席に着くとしよう。1時間目自習だったのかよふざけんなクソッ。だったら二時間目から登校してたわ。誰かメールぐらい寄越せよ。「自習やけんゆっくり来てよかよ☆」ぐらい送れよ。

教壇を離れて席に向かう。皆笑いすぎだろやめろ。



「…ん?なんでお前私の席座ってんの?」



自分の席だと思ってたのに、其処には女友達が我が物顔で座っていた。

「あぁ、奈緒が遅刻してる間に席替えしたの」
「えー、席替えしてたのか。私の席どこ」


あっちーと指差されたのは、

窓側、一番後ろの席。


マンマミィイイヤアァァアア!!!!!!特等席やないかーい!!!!!!!!


「まじかー!私特等席じゃん!やったね!」
「あんたの席最後に残った場所だったんだけど」
「まじかよ福ありすぎじゃね?」

なるほどなるほど、自習の時間を利用して木下先生は今学期初の席替えを催したのね。GJ先生よくやったこれで授業中原稿ガサガサ描ける。

ルンルン気分で席に向かい、ふと隣の席を見た。





「お、久々知くん隣の席なんだ」

「うん。おはよう鶴谷さん」

「おはよー。よろしくね!」
「あぁ、よろしく」




ふわりと純白と表現してもいいぐらいの綺麗な笑顔で笑った隣の席は、



久々知王子DAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!!!!

久々知王子が私の隣の席DAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!


奇跡やーーーーーー!!!!王子が私の隣の席だ!!!!!


残り物には福があるとか良く言ったもんだな!!!!!!!幸福だらけやないかーーい!!!!!

お前あれやろ!!授業中机の中で竹谷くんに「今日一緒に帰れる…?////」とかメール送ってんだろ!?!?!?絶対机の中でそういうやりとりしてんだろ!?!?

私が隣の席になったということはそういう行動も見落とさないぞ!!!!幸せそうに竹久々してるとこ全部見ちゃうんだからな!!!ドゥワハハハハハ!!!


私は知ってるんだぞ!!!!お前竹谷くんと下校中に肩組んで笑い合ってたんだろ!?!?!?浦風くんが写真におさめたぞ!!!証拠はあるんだ!!!!!ホモなんだろ!!!!!!

クソが!!「俺はノンケです」みたいな涼しい顔してホモホモしやがって!!!!!どこまで私を苦しめれば気が済むんだ!?!?!?!?

殺す気なのか!?!?私の脳内の容量をオーバーさせて殺す気なのか!?!?!?!?




あれ、ちょっと待てよ。






「鶴谷さん鶴谷さん、兵助の前の席俺なんだ」
「おー、尾浜くん。よろしくよろしく」

「うん、よろしくね!」







キタ――――――┌(┌^o^)┐――――――!!!

最強の布陣DAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!


これあれですよね!?
前の席の総攻め尾浜くんが後ろの席の久々知くんを狙って竹谷くんとわいわいやっちゃうパターンですよね!?!?!?!?

これフラグですよね!?!?完全にフラグですよね!?!?!?!?

た、たけ、竹谷くんはこの事ご存知なの!?!?
「俺の前の席、勘ちゃんになったのだ」とか竹谷くんにメール送って竹谷くんが「ひいい俺の可愛い兵助の尻が危ない」とか考えてわちゃわちゃしちゃうルートですよね!?!?!?!?!?!?!?!?

おい!!!!!!!誰だこんな席にしやがったの!!!!!!!!!!

お前かクジ入れてた箱!!!!お前確信犯だな!?!?!?箱!!!お前も腐ってやがるな!?!?!?!?
お前も実は尾浜くん総攻めの薄い本欲しいんだろ!?!?なぁ!?!?!?!?








今気付いた。私ちょっと冷静になったほうがいいのかもしれない。


え、私これからこの教室の一番特等席で尾浜くんと久々知くんのイチャイチャするとこ見ながら勉強するんですか?

普通に考えて無理ですよね?

この数学のノートがネタ帳と化しますよね?


勉強どころじゃないですよね?



っていうかまた真美と京子遠くかよふざけんなよなんだよこれ俺の前来いよ。




「とっとと席ついて自習しろよ鶴谷ー。」
「ういむっしゅー」


木下先生についに注意されちゃって、私はバッグを机の横に引っ掛け椅子に座る。
うほwwwwww特等席すぎワロタwwwwwwwwwwwwwwwwww風超くるし尾久々見れるしwwwwwwwwwwwwww

神様っているんだなー。

家康ちゃんの神様パロとかください。


自習しろとか言われてもどうせやることなんて何も無いもんねー。木下先生はどっか行っちゃったし皆普通に喋ってるし。プリントとかあるわけじゃないでしょ?
だったらポスター案考えよう。

ポスター案を描きとめとくように、家からB5のコピー用紙を何枚か持ってきた。ネタが降りてきたらとりあえず描くべし描くべし!!

あ、やべ、コンタクト忘れとるがな。仕方ない今日は授業中だけ眼鏡しよ。絵を描くなら尚更。


教室中が話し声でつつまれるなか、私は昨夜描きとめたポスター案の描いてある用紙を凝視した。
えぇい髪の毛うっとーしいわ。耳にかけちゃる。


んー、いまいちだな。これはボツ。

もっとこう、……………楽しく、なりそうな…………もの………を……。



「んーと、……どしたの?」

「あ、いや、その、」



久々知くんにすっごい見つめられてた。

なんだろ私変な顔でもしてたかな。


「そ、それ、何をしてたのかなと思って」
「あ、これ?」
「そう。自習用のプリント?」
「んなわけないじゃーん。絵を描いてただけ」

ヒラヒラと手元にある紙を揺らす。あぁ、久々知くんが見てたのはこれか。

「絵?なんの絵?」
「これ?大川祭用のポスター案」

「え、なんで鶴谷さんが?」
「んー、まぁいろいろあって。"大川のラスボス"からの司令」

「あぁなるほど。昨日の呼び出しそれの用件?」
「そうそう」


「あぁなるほど」ってwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww仙蔵兄ちゃんどんだけ権力持ってると思われてんだよwwwwwwwwwww
漫画研究部でもないこの私めにポスター案なんてなんで任したのか疑問に持たないんですかwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


「見せて…って、言ってもいい?」
「え、これ?…いやー、これはちょっと…まだ、下書き段階だから、ごちゃごちゃしてるよ?」
「でも見てみたいのだ」
「んー、こんなんでいいならいいけど。まじで汚くて見難いよ?」


下書き段階とは言っても、まじで落書き程度のものだ。
線をてきとーに描いて「ここに人」「こんなポーズ」「赤かオレンジ」とかそういうことしか描いてない。そんなもん見たって何も面白くないお。


「すごいね、よくこんなデザイン思いつくよ」
「いやぁそういうの好きだったから」

「絵とか、よく描くの?」
「えっと…あぁ、うん、気儘に?」
「へぇ、鶴谷さんの意外な一面だ」
「テレるわ」

「はい、ありがとう。出来上がりが楽しみなのだ」
「いやこっちこそ、お目汚しで。うん、じゃぁ出来たら一番に久々知くんに見せるね」
「本当か?嬉しいな」



ヒィンwwwwwww「嬉しいな」のタイミングで王子の首かしげ笑顔頂きましたーーーーーーーwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

可愛すぎワロロンwwwwwwwwwwwww









あー、眼福。

これしばらく毎日見れるの?


いやぁ幸せだぁよ。

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