「では、本日はここまで。明日から通常授業だからなー」
「「「ありがとうございました!」」」



夢小説にあるまじき夏休みがたったの4話(っていうかほぼ二回)で終わるという良からぬ事態ですが、奈緒は今日も元気です。

学園長先生の長い話も終え、最後校歌を歌うときに壇上でピアノ弾く久々知くんカッコよすぎクソワロタwwwwwwwwwwwwwwwwwwwまじどこの貴族だよwwwwwwwwww


始業式を終え教室に戻りHRをやって帰る。始業式の日は早く帰れて嬉しい。
が、何故始業式の次の日がもう通常授業なのか誠に解せない。もうちょっとぐらい夏休みの余韻残してくれてもいいと思う。宿題は初日に全部回収ってわけじゃなくて、学期最初の授業で集めるっていうのは非常にいい仕組みだと思います。だって宿題終わってないんですから。

終わってないでーーーーーす!!!主に数学の課題終えてないでーーーーーーす!!!描きたいものいっぱいあってハァハァしながら産出してたらこんなことになっちゃいましたーーーーーーwwwwwwwwwwww死にたい

何故計画的に終わらせなかったのか。


もしかして:元々やる気なんてない


「奈緒殿、一緒に帰りましょうぞ」
「おぉ真美帰る帰る」
「帰り駅前のメイトいかない?ちょっと新刊買いに行きたい」
「あ、行く行く私もコピック買いたい」

特に何も入っていないバッグを担ぐと後ろからあの二人に声をかけられた。

そういえばこいつらにあの日のプールの話したらskype越しに発狂してたクソワロリンヌwwwwwwwwwwww
写メくれよとか言われたけどあげませーーーーんwwwwwwwwwwドタキャンしたクソどもにあげるような写真はありませーーーーーんwwwwwwwwwww俺の待ちうけ今あのイケメンどもの集合写真ですプギャーーーーwwwwwwwwwwwwwスライドするたびに背景で動いてまーーーすwwwwwwwwwwwwwwwwww

「おっと、」
「あ、鶴谷」
「あー竹谷くん、ごめんね前見てなくて」
「いやこっちこそ。大丈夫?」
「うん、大丈夫」
「兵助いる?」
「あー、…あ、あそこ、まだいるよ」

「サンキュ!おーい兵助!帰ろうぜー!」
「あぁ、今行く」

くるりと振り向く久々知王子キラキラオーラ出すぎワロエナイ。

ヒィーーーーーーwwwwwwwwwwっていうかうっかり前見てなくて竹谷くんの鍛え上げられた胸元にぶつかってしまったでござるフォカヌポォwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

お二人はこれから一緒に帰宅しながらそのままデートなんですかデートなんですねーーーーー????????????


「な、今日も兵助んち行っていい?」
「またか、別に構わないのだ」

うおおおおおお!!!!!!!しかもお家デートDAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

ホモ祭りだーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


「…鶴谷?どうした?大丈夫か?」
「大丈夫、ちょっと興奮しただけ」
「え?」

鼻血出そうだった。


「あ、じゃぁ私帰るから。じゃぁね竹谷くん久々知くん。また明日ー」
「じゃぁな!」
「また明日」

挨拶を追えちょっと向こうでこっちを向いている二人の下へ行こうとすると、







《2年1組、鶴谷奈緒。2年1組、鶴谷奈緒。大至急五階風紀委員会室へ来い。5分以内に来なければお前の恥ずかしい過去と秘密を全てこの場で学園生徒全員にバラす》

「おんぎゃああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」






あ、悪魔が出たーーーー!!!!!!!!!!!!!新学期早々悪魔が出たーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


「京子真美ごめん今日は行けそうに無いじゃぁね竹谷くん久々知くんさようならまた明日あああああああああ!!!」

風紀委員会室五階じゃねぇかふざけんなこのやろう!!いつか絶対シメる!!!!




























―ズバンッ!


「立花仙蔵ォオオオオオオ!!」

「来たか奈緒、早かったではないか」

「お前あのジャイアン呼び出しいい加減にしろ!!身内じゃなければてめぇのそのキンタマ蹴り飛ばしてるところだわ!!」

「その汚い言葉遣いを止めろ!お前にそんな言葉を教えた記憶はない!そして昔のように可愛い笑顔で"仙蔵お兄ちゃん"と呼べ!!」
「黙れ!とっとと文仙を寄越せ!」
「何故私が文次郎なんかに掘られねばならん!!」

「ここではお兄ちゃんなんて呼ばん!!」
「おい南天」
「ごめんなさい仙蔵お兄ちゃん!!!!!!!!!!!!!!!」


悪魔が住む場所、風紀委員会室。学園の最上階の一番端、一番日当たりの良い部屋にあたるのがこの部屋である。そしてこの風紀委員会委員長の3年1組立花仙蔵はこう呼ばれている。「大川のラスボス」と。

どうやら「大川のラスボス」と言われてそれを3年2組の七松先輩だと思い込んでいる人が多々いるようだが、それは大きな間違いだ。

七松先輩は、ポケモンで言えば四天王の最後の一人。ほら、最後の一人やっと倒したと思ったのに奥からライバルが出てきて「アッー!」てなるパターンあるじゃん。そのライバルのポジションにいるのが立花仙蔵その人である。

委員会の予算を獲得するための予算会議には手榴弾のようなものを持ち込んで潮江先輩を脅したり、何処から入手したのか解らないような情報をチラつかせこの学園を操っているという噂だ。

ここまで自由に動き回っているので、学園長先生の実の子なのではないかとかいう超面白い噂もあるが、それは違う。

立花先輩、…もとい仙蔵お兄ちゃんは私の母方の方の親戚だ。小さい頃はよく遊んでもらっていたのだが歳を重ねるごとにドSぶりはどんどんと発揮されもういやになってあんまり最近はあってない。だって気持ち悪いから。


「そうだ!!もっと上目遣いでお兄ちゃんと言え!!」
「気持ち悪い!!」


それみたことか!


「そんなことより奈緒、何故夏休みの親戚の集まりに来なかった…!久しぶりに学園外で奈緒に会えると楽しみにしていたのだぞ!」
「だから!あの日は夏コミがあるって言ったじゃん!!そっちこそ夏コミの日に態々被せてこなくてもよかったでしょう!?」
「黙れ!貴様、私とホモとどっちが大事なんだ!」
「ホモ!」
「許さん!!」


親戚のお兄ちゃんなので先輩だけどこんな言葉遣いしてもおk。それに仙蔵兄ちゃんは私が"南天"だと言う存在とか、こういう趣味を持ってるとかも知ってる。拒絶しないのは嬉しいけど、なんというか、私が好きすぎて気持ち悪い。なんでこれと血縁者なのか解らない。なんでこんな美人なのかもわからない。帰りたい。

「ねぇもう仙蔵兄ちゃんに呼ばれたから友達からの誘い断ってきたんだよ」
「なんだと、そうだったのか」
「そうだよー。用事あるならとっとと済ませてー」
「だったら電話でもすればよかったな。すまない。…いや、折り入ってお前に頼みがあってな」


肩を引かれて椅子に座らされる。

日当たりがいいこの部屋の唯一の難点は夏場は狂ったように熱いこと。だが設置されているクーラーのおかげでこの部屋はとても涼しい。お兄ちゃんいなければここで原稿やりたい。涼しい。快適。


「頼みって?」
「あぁ、新学期も始まったことだ。まず二学期にこの学園で一番最初に行われるイベントと言えば」

「んー…………、あ、大川祭?」


大川祭とは、うちの文化祭のことだ。毎年この学園の文化祭、大川祭の2日間は凄い来客がきて物凄い盛り上がる。そしてここで来年の新入生へのアピールも兼ねて、出し物や屋台やらでまだ進路を迷っている生徒の心を鷲づかみにするのだ。

「そうだ。だがな、ここ最近は外部からの客が年々減ってきている」
「え、そうのな」

学園祭といっても、屋台やなんやらをするのは、中等部以上の催しだ。初等部の子たちはまだそんなのできないだろうし。初等部の子達は全員お客さんとして学園中をうろつく。きゃわいい。


「まぁうちは都内きってのマンモス学園だ。入学に躊躇われる気持ちもわからんではないが」
「パッと見規則厳しそうにみえるしね」
「実際そうでもないんだがな」
「うん、全然そうでもない」


だって学園長があれだから。


「そこで、お前に頼みがある」
「うん、何?」


「今年のその大川祭のポスターを、是非お前に描いて貰いたい」


「……え」


うちの大川祭の宣伝ポスターは、都内のあちこちに張られると言っても過言ではない。

だってここは都一のデカさがある大川学園。学園祭と言えば初等部からの入学を考える人や高等部や中等部からの途中入学を決める生徒以外にも、普通の一般人も来る。さっきも言ったが、かなりの量の人が。

そしてその客集めの一番大事なのが大川祭のポスターだ。

ポスターは毎回漫画研究部の部長が描く事になっているのだ。漫研は一番絵が上手いと投票された人が部長になる(らしい)。
あ、私こんな活動してるけど漫研じゃない。帰宅部。

あ、そうそう、風紀委員会は服装チェックなどの他には特に仕事が無い。だからこの季節になると文化祭実行委員も兼ねるのだ。大変だね。


「え、漫画研究部の部長は?毎年みたいに漫研の部長に描いてもらえばいいじゃん」

「…夏休みに入る前にその部長から告白をされた」
「ゑ」

「だがもちろん奈緒がいる私は色恋沙汰には興味ない。私は断ったんだ」
「前半いらなかった」

「するとどうだ、捨て台詞に"今年の大川祭のポスター絶対描いてやらないんだから!!"と言われてな…」
「うwwwわwwwwwww」

「あいつは私のクラスの人間だ。話しかけようと思ったんだが完全に避けられていて話にならない。それに私は漫画研究部の他のヤツの画力を知らん。知ったところで、お前の絵に敵うような者はいないと踏んだ。
今年は客層を増やし、前年を上回る客数にして盛大に盛り上げたい。お前の絵なら目を引かれもっと客が増えるかも知れん。

だから頼む、今年のポスターの絵を、お前に一任したい」


確かにポスターがないと学園祭のお知らせも出来ない。結構これは大事なお願い事だ。

まぁ仙蔵兄ちゃんも大変だろうし。



それに、褒められて嫌な気はしない。



「うん、別に、構わないよ」

「…本当か?」
「うん、絵柄変えて描いてみるし。まぁさすがに絵柄で私が南天だとはバレやしないと思う」


奈緒ってイラスト上手いねーぐらいの認識なら皆にもある。
なんで漫研じゃないのとか言われても"大川のラスボス"に頼まれたと言えば皆も「それなら仕方ない」とかいって納得してくれるだろ。

まぁ、いいか。


「…助かる。さすが奈緒だ」
「もちろんご褒美はあるんだろうね」

「夏休みにあいつらと海へ行ったときに撮った留三郎と伊作、小平太と長次、私と文次郎の高画質ツーショット写真でどうだ」

「やるやるやる!!!!ポスター絶対やる!!!!!完璧なの描いてくる!!!!!!任せといて任せといて!!!!!!!」

「それから、〆切を守り素晴らしいものを完成させてきた暁には、これもやろう…」
「…な、なに!?」


「竹谷と久々知の下校時のツーショットだ」

「ウオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアーーーーーーーッ!!!! !!!!!!」


「もしもこの話を断った時ように、藤内に用意させておいたのだ。用途は言ってないから安心しろ」
「ウオォオオオオオ浦風くんパネェエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!」






やらせていただきまああああああああああす!!!!!!!!!!!










こうして私は今学期、

《大川祭文化祭実行委員ポスター係》へ任命された。

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