なんかとめが人気で嬉しいです。
とめの番外編です。

とめ視点です。





















今日翔子は一日事務の仕事とやらであのドジな小松田秀作という男と一緒にいなければならないらしい。書類整理なんだそうだ。だから今から食満のところに行くらしい。

あの仕事をしているときは翔子はぼくの頭を撫でてくれないし構ってるもくれない。つまんない。

仕事の邪魔をしちゃいけないっていうのはわかってるけど、ここは別の世界なんでしょ?だったらもっとよくみて回りたい!外に遊びに行きたい!


「食満さん、今日もとめさんお願いしてもいいですか?」
「えぇ、構いませんよ。もう今日の授業はないですから」


うおー!食満だ!食満遊んで!食満!ぼくだよ!早く遊んで!


「お!とめは今日も元気だな!遊ぶか!」


そうだよ元気だよ!だから遊んで!翔子は仕事なんだ!遊べ!


「あんまり迷惑かけちゃだめだよー。じゃ、宜しくお願いしますね!」
「はい、お預かりいたします」


ぼくはボールの中が嫌いだ。あの中はひとりぼっちだし、…あの施設を思い出すから、あの中に入るのは好きじゃない。だからいつも翔子の肩の上か足にくっついてる。

翔子が仕事のときは肩にも乗れないし、座ってるから足にも絡めない。だから食満と遊ぶ。


「あ、そうだった…。とめ、俺は今日買い物に行かなきゃならないんだが…」


買い物!?ってことは外に行くの!?行く!連れてって!


「行くか?」
「エーフィ!」
「おぶッ!?」

行くに決まってんだろー!と腹にタックルを食らわす。おかしいな、ぼくすてみタックルなんて覚えてないのに最近これ強くなってきてるぞ。

「いでで…。じゃぁ行くか。今日は伊作も一緒なんだ」
「エーフィ!」
「とりあえず伊作のところに行くか。あいつもう委員会終わってるんだろうな…」

食満とはまだ会話できない。多分ぼくの言ってることは理解できていない。でもなんか、なんとなく、ぼくの言ってることは理解できてると思う。腕を伸ばしてくれるから了解のしるしに肩の飛び乗ると、なでなでしてくれる。

ぼくはこの食満の手が大好き。いつも「にんじゃの仕事」っていうので怪我してボロボロだけど、大好き。あったかいから大好き。


「おい伊作、もう町へ行けるのか?」
「ごめんね留さん、ちょっと薬作ってたら遅くなっちゃって。すぐ着替えるから門の前で待ってて!」
「解った」

「エーフィ!」
「あ、今日はとめも一緒なんだね?よろしく!」

善法寺の手も好き。ちょっと薬臭いけど優しく撫でてくれるから好き。


ちょっとして善法寺が走ってきて、落とし穴に落ちるといういつも通りの不運を発揮して、ぼくと食満と善法寺は町へ出かけた。

ぼくはこの世界の"猫"という生き物に似ているらしいから、何の違和感もなく連れて歩けるらしい。でも尻尾が二股になってるのは"妖怪"というものに分類されちゃうらしい。だから尻尾にはぼくと同じ色の布を巻いて一本に見せる。これは食満が染めた布らしい。尻尾あったかい。



町に行くと凄い賑わっていた。何処見ても人、人、人。でも目が合ってもバトルを挑まれることは無い。ここは平和なんだなー。

今日食満は「筆」を買いに来たらしい。折れちゃったんだって。でも筆屋の主人さんは気難しい人だから動物は連れて歩けないんだって。だからぼくは善法寺の肩へと飛び移って、一度食満と別れた。

食満が筆屋に行っている間に、善法寺はお団子屋さんへ足を進めた。あ、いい匂い!腹減った!


「留さんには内緒だよ。一足早くお茶にしようか」
「エーフィ?」
「お腹減ったっ!ってとめの顔に書いているよ。お団子とお煎餅どっちがいい?」
「エーフィ!」
「んー!解んない!両方にしようか!すいませーん!」


やっぱり善法寺にも通じなかった。そりゃそうだよな。

立花ともう会話してるせんぞうに「どうやったの?」って聞いたら「良く覚えておらん」て言われちゃった。ぼくも食満とか善法寺とかとお喋りいっぱいできるようになるかな。

お団子もお煎餅もきて、座った善法寺の横へ移動した。

「どっちから先に食べる?」

ぼくは迷わず煎餅に口を近づけた。

「ちょっと待ってね、小さくしてあげるから」

善法寺はちっちゃく砕いて膝の上にひいた紙の上に置いてくれた。ここの煎餅美味い!
善法寺超優しい。こいついいやつ。でもぼく両手使って食べる技習得したからその必要は無いよ。言わないけどね。

煎餅を持って食べてると「可愛いー!」と言って町行く人がこっちを見る。恥ずかしい。テレるからやめろ。


「とめは人気者だね!」


やめろってば!


「あ!お前ら、俺が買い物している間に!」
「やぁ留さん、お先に休憩してるよ」
「あのなぁ伊作…」

「エーフィ!」
「…なんだ?俺にくれるのか?」

善法寺の膝の上にある砕かれた煎餅の中から一番でかいやつを食満にあげた。そしたら食満はニッコリ笑って「ありがとな」って煎餅を食べてくれた。そんで、またなでなでしてくれた。へへ、これやって欲しくてあげたんだ。


「伊作と違ってとめは優しいなぁ」
「エーフィ!」
「酷いよ留さん!」
「冗談だよ!」

無事に筆を買ったのか荷物がちょっと大きくなってた。

一息ついて町をぐるっと案内してくれて、色んなところで遊んで、山にも行って、善法寺が薬草とってたりして、そしたらいつの間にか日が傾いてて、ちょっと眠くなってきた。

んー、食満の肩で寝ちゃいそう…。


いい天気だなー…。



















「あ、食満さん。善法寺さん」

「翔子さん、今戻りました」
「ただいま翔子ちゃん」

「お帰りなs…あ、とめさんまで連れて行ってくれたんですか」
「すいません、買い物に行くの忘れてて」

「いえいえ、重かったでしょう抱っこしてもらっちゃって。ね、寝ちゃったんですか」
「随分とはしゃいでいたんで。楽しんでもらえてたらいいんですけど…」
「ありがとうございます!きっと、とめも楽しかったと思います!」

















…あれ、いつの間に部屋に帰ってきたんだ?

「あ、とめさん起きた?」

あれ!翔子だ!いつの間に仕事終わったの?なでなでして!

「はいはいなでなで。ちょっと前にね。寝ちゃったからって、食満さんから預かったんだよ」

そっかぼく寝ちゃったのか。運んでくれたの?

「食満さんと善法寺さんがね。あとでお礼言いに行きなよ?」

うん、絶対行く!っていうか今行く!連れてって!

「え、もう?気が早いなぁ」

あいつら大好き!今日もお煎餅買ってくれてね!それでねそれでね……―――






















とめさぶろうの一日




-------------------------------------------------




「食満さん善法寺さん起きてますか…?」
「翔子さん?どうしました?」
「翔子ちゃん?」

「とめさんが、食満さんと善法寺さんと寝たいって言ってるんですけど…」
「エーフィ…」

「いいですよ。よし、とめ!お泊り会だ!」
「!エーフィ!」

ヒュンッ!

「ぶはっ!」
「い、伊作ぅう!?」

「と、とめー!枕投げはやらないでー!!」

やらないの!?お泊り会なのに!?ぼくのサイコキネシスの有効活用なのに!?

「こんなとこで使うんじゃなーい!」
prev next
×
- ナノ -