プレゼントは私



「名前、今日はクリスマスだよ」
「はいそうですね」
「えっ、それだけ?何かイベント事はやらないの?」
「そう言いながら尻撫でまわすのやめてもらえない?」

一応化け物だし、イベント事に興味はないと思っていたのだがそうでもいないらしい。でもクリスマスってキリストの誕生祭でしょ?一応仮にも伊作は悪魔の部類の物の怪なんだから参加しない方が良いのではないか?いつもと何も変わらない夕飯を食べ終わり皿を洗っていた時のこと。急にクリスマスの話題を持ち出し皿を洗っている私の尻に手をかけてきた。なんだ、伊作もクリスマスは参加したい側の者だったとは。私は皿を洗いながらこれこれこういう理由で何も用意していないというと、伊作もなぁんだと言って尻を撫でまわすのを止めた。

「僕だって吸血鬼とはいえ、中身のほとんどが普通の人間だし。イベント事には参加したいと思ってるよ」
「そうだったの?なんだ悪魔だから興味ないと思ってたよ。だからケーキも用意してないし夕飯も普通にしてたの。ごめんね聞けばよかったね」
「別に気にしなくていいよ。でも僕はちゃんとプレゼント用意してるからね」
「えっ!?本当に!?」

そう言って伊作はポケットから細長い箱を取り出した。皿を洗っていて泡だらけの私に代わって伊作が箱を空けると、その中には物凄く綺麗なネックレスが入っていた。取り出して、首につけられて、シンクの反射でそれを確認した。可愛い土星型のネックレス。

「うわ…!可愛い…!い、いいのこんな綺麗なの…!」
「いいのいいの。血分けてもらってるお礼も兼ねてるものだから」

ネックレスのチェーンはいい具合に伊作がいつも噛みつく場所の上を通っている。これがあれば少しは目立たないし、絆創膏を貼らなくても済む。伊作も私のつけている姿をみて満足したようで、頭を撫でてリビングに戻った。なんて綺麗な物を貰ってしまったんだろう。しかしネックレスは首輪の意味もあるって聞くしなぁ…。これ伊作なりの家畜用の首輪って意味じゃぁないだろうな…。

「ねぇ伊作、」
「なんだい?」

「こういうのはどうかな」

皿を荒い終え、私は伊作から貰ったネックレスが入っていた箱についていたリボンを、自分の首に巻きつけた。



「お返しのプレゼントは私ー!………な、なーんちゃって…」



恥ずかしい台詞に恥ずかしい姿。だけど伊作はそれを気に入ってくれたようで

「じゃぁ、食後のデザートに頂こうかな」
「血だけ?」
「…その先も?」
「今日ならいいよ」
「そりゃぁ豪華なプレゼントだなぁ。じゃ、遠慮なく」

いつも以上に優しく腕を引かれ、いつも以上に甘い感覚に包まれた。本当は後日ちゃんとケーキとかも用意したかったけど、まぁ、伊作が喜んでくれたのなら、これでいっか。


Merry Christmas


「あ、でも摂取量は守ってください貧血は困るので」
「たまにはお腹いっぱい飲ませて…」
<<  >>
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -