私を受け止めてくれたのは、
会いたくて会いたくてたまらなかった、
忍たまのキャラクターだったの!
最近オタクな友人から二次元の素晴らしさをずーっと語られててついに私もアニメにはまっちゃった。これで私もオタクの仲間入り。もう私がここまで二次元にはまるだなんて思ってなかったわ。
それで、つい最近友達に勧められて見た「忍たま」にドはまりしちゃった!
どうせ子供むけのアニメだと思ってたのに、出てくるキャラは誰でもイケメンだし素敵だったわ!もう大好き!特に上級生の皆が大好き!あんな美形集団と過ごせたらどんだけ幸せかしら!
一番大好きなのは三郎よ!もちろん!きまってるじゃない!
変装名人で、誰も素顔を見たことがないなんて書いてあったけど実際の顔はどういう素顔なのかしら!きっと下もイケメンに決まってる!それに三郎は雷蔵と一緒にいるところが一番好き!私がここにきてからよく二人で歩いているところを良く見たわ!最近はあんまり二人で歩いているところを見ないけど…どうしちゃったのかしら?
私はみんなよりひとつ歳上だけど、私は別に歳なんて気にしないわ!もーみんな大好き!まじで付き合いたい!どうすれば二次元に行けるの!!
アニメだけじゃ物足りなくて、ついに夢小説まで見始めちゃった。もちろん、天女設定のヤツが一番大好き!忍たまの上級生に逆ハーされるだなんて夢見たいじゃない?まぁ、夢なんだけどねw
それで、ランキングの中に、ちょっと気になるページがあったの。
「ここは特別な世界。お好きな設定をお選びください」
開いたらそう書いてあったの。
そのままページを進めていったら、設定を選べるページに移動したの。
「甘、ほのぼの、友情、ギャグ、シリアス、トリップ、男装、年齢操作、逆ハー」とか、いーっぱい書かれていたの。だから迷わず逆ハーを押したわ!その後は「上級生or下級生」なんてボタンがあったわ。
たしかに乱太郎とかきりちゃんとかしんべえとか、下級生には可愛い子はいっぱいいるわ。でも私は上級生の皆が大好きだから、上級生を押したの。その後、次のページに進んだら「注意事項」とかが出てきて、もうそういうのは面倒だからずーっとページを下に下げて読んでないけど「同意する」って押したわ。
そしたらその時、パソコンがパッと光って、気づいたら空を落下してたの!
学校の帰りだったから制服のままだった。でも空なんて飛べないしどうしよう、私は死ぬのかしらと思ったら、下からたくさんの叫び声が聞こえて、もうすぐ地面に落ちて死ぬ、そう覚悟したの。
でも、死ななかったわ!目を開けてビックリした!私を受け止めてくれたのは、七松小平太だったの!あの、忍たまの、六年生の!小平太よ!信じられなかった!あのテレビで見ていた忍者服で、あの声で、「大丈夫か!?」って声をかけてくれたのよ!?本当に信じられなかった!
私は、あの日、忍たまの世界にトリップしたの!
それからあのおじいちゃん(笑)からここで働きなさいって言われて、もう全部思い通りだわ。六年生と五年生と四年生、みーんな私に夢中になったわ。もちろん下級生も私のところにきたの。可愛いったらないけど、もう私は上級生みんなで十分。最近は下級生の子達とも遊んでないけど。たまになら遊んであげてもいいかな!
「椿さん、先日町に行ったときの土産です。貴方に是非」
「留三郎?これ、簪!素敵ありがとう!」
「椿!一緒にいけドンマラソンに行こう!」
「小平太!もう、顔中泥だらけじゃない!」
「すまん!あ、仙蔵と文次郎と長次が町に行ってな!土産を買ってくると言っていたぞ!」
「本当?嬉しい!楽しみだわ!」
ほら、皆、
「椿さん!この平滝夜叉丸と共に町に出かけませんk」
「いえこの田村三木ェ門と共に」
「はいはい喧嘩しないで!三人で一緒に行きましょう?」
「僕もいきまーす」
「あれ、喜八郎も行くー?」
「椿ちゃんお出かけー?じゃぁ僕が髪可愛ーく結ってあげるー!」
「やった!タカ丸ありがとう!」
私に夢中になってるわ!
でも、
「雷蔵?最近三郎と一緒じゃないのね?」
「三郎ですか?…あれ、いつもなら一緒にいるのに」
「三郎なら勘ちゃんと一緒に桜先輩の所にいってるのだ」
「桜、先輩…?」
「えぇ。六年い組の、御代志桜先輩です。六年い組の学級委員長で、学級委員会委員長です」
「えっ、学級委員会に、委員長がいるの…?」
「え、えぇ、いますよ」
それから、アニメとちょっと違うと、思い始めるようになったの。
六年い組に、学級委員会委員長なんていた?いいえ、いなかったはずよね。それに御代志桜なんて、聞いたことないわ。誰かしら。あぁ、きっとモブね。それはそうよね。各クラスに学級委員はいるわよね。きっとアニメにうつっていなかっただけだわ。三郎と勘ちゃんは学級委員だもんね。委員長の側にいるに決まってるわよね。
「あ、三郎!」
「っ、」
「ね、一緒にお茶でもしない?」
「……いえ、桜先輩の元へ行くので…」
「え」
「失礼します」
誰なのよ、学級委員長って。
「勘ちゃん?一緒にお茶でもどう?」
「すいません、俺三郎と桜先輩んとこ行かないとといけないんでー」
「…」
「じゃ、また今度」
誰なのよ。その御代志桜って。
「勘ちゃん、桜先輩は?」
「最近見てないな」
「任務か?」
「さぁな…」
「何処行ったんだろ」
「…わかんね」
何で?何で私のところに来ないの?何でその意味の解らないモブのところに行くの?何で?三郎も勘ちゃんも、どうしてこっちを見てくれないのかしら?
誰なのよ、その、御代志桜って。
「あれ、あなただぁれ?」
ここへトリップしてから、何日かして、見たことない子が食堂へ来た。
「…あなたは、この学園の人間ではないですね」
やだ、良く見たら凄い綺麗!仙蔵とはまた違った美形がいる!この子モブかしら?全然見たことないわ!
「桜先輩じゃないですか。お帰りなさい」
「不破雷蔵か。今しがたな。お前こそ珍しいじゃないか。食事が終わったらすぐここを出て行くようなやつであっただろう」
「今椿さんと話をしていたんです。五年ならそこに」
あ、この人!?この人があの、御代志桜って子なの?
「三郎達は?」
「いや、私達は近況報告しなきゃいけないから」
「学級委員長委員会委員長としての仕事だ」
「真面目だねぇ」
やっぱり!この人が学級委員長なのね!凄い美形!逆ハー設定にしたんだもの!この子もきっと私の虜になるわよね!
「あ!注文なら私がとるから!」
仲良くなりたいわ!こんな綺麗な子に愛されたい!
そう思っていたのに…。
「やかましい。人が食事を取っている間ぐらい静かにできないのか貴様の食事作法のいろははどうなっているそれに話を聞けば貴様は食堂の手伝いも仕事のうちじゃないのか何故おばちゃんは忙しく皿を洗っているのにお前は五年なんかと茶を飲んでいるここはお前のようなものがいる場所でないそれなのに学園長先生の御厚意でここにおいてくださっているのだぞそれならばその身削っても働くのが普通だろうそれが出来ぬのなら今すぐここを立ち去れ邪魔になるだけだそれから鼻が曲がりそうになる得体の知れんその臭いをどうにかしろその状態で食堂に来るんじゃない貴様のせいで上手い飯も味がわからん先に言っておくが俺はお前に針先ほどの興味もないちやほやされたければ他を当たれ」
なんなのよ。
「俺が食器を運びますよ」
「すまん」
なんで三郎がこんなやつと一緒にいるのよ。
「来い勘右衛門」
「はい」
なんで勘ちゃんがこんなやつの言うこと聞いてるのよ。
どうして!?!?どうして勘ちゃんと三郎が私に目を向けてくれないの!?!?
こんなヤツのせいで、二人は私のところへ来ないの!?
なんであんなウザいやつがいるのよ!なんでこんなヤツにあの二人を取られなきゃいけないのよ!!
どうして私にあんな口聞くの?私は天女なのよ?皆に愛されるために此処に来てるの?
邪魔よ。
二人を頂戴。
「せ、仙蔵…文次郎…」
「なんだ?」
「どうした?」
「あの、二人のクラスの、学級委員長さん」
「桜…?」
「桜がどうした?」
「この間、食堂で、邪魔だって…!消えろって…!」
そう泣いてみれば
「何…?」
「桜が、そんなことを言ったのか」
みーんな心配して
「…桜か…」
「一度言わねばならんな」
「私、怖くて…!」
「大丈夫ですよ椿さん」
「私たちが守りますから」
ほら、私の思い通り。
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