もう桜先輩しか頼れる人はいないんです!

こうなったのは全てあの女のせいです!

委員会だって、全然来てくれません!

僕等のことなんて、きっと、どうでもいいんです!

もう、僕らを見てくれないあの六年の先輩なんて、どうでもいい!

あの女を追い出してください!

もとの忍術学園に、戻してください!

桜先輩の命令ならどんなことでもききます!









僕らをあなたの手足として、使ってください!












本当にこの下級生どもは、立派な忍になることだろう。



























ふと、委員会のことが気になった。

ここしばらく、委員会に顔を出していなかった気がする。

もうすぐ予算会議があるというのに、決算を終えていなかったはずだ。そろそろやらなくてはな。

「お、田村」
「あぁ、潮江先輩」
「委員会にいくのか」
「えぇ、そういえばしばらく出ていなかったので……すいません」
「お前もか。俺も久しく行っていなかったような、気がしてな」
「え、潮江先輩もですか?」
「まぁそんなに日はあけていないだろうし、左門がなんとかしてくれているだろう」
「そうですね」

途中の道で田村と会い、共に向かうことにした。

どうやら田村も委員会にあまり出ていなかったらしい。まぁかまわん。きっと左門がなんとかしてくれているだろう。俺も忘れていたのだ。責めることはできない。


「入るぞ」

田村と会計委員会の部屋を開ける。そこにはいつもの、左門、左吉、団蔵の姿があった。

だが、ひとつだけ、いつもと違うことがある。


なんだ、こいつらの、俺たちを恨むような視線は。


「……どうしたんだ、お前ら…?」

「何のご用ですか?」
「ていうか、今更、何をしに来たんです?」

「何…?」

左吉と団蔵は筆を止め、俺と田村を睨むようにしてそう発言した。

左門は、算盤を動かす手を止めない。


「今の発言は、一体どういう意味だ…?」


「そのまんまの意味ですよ」
「団蔵…?」

「先輩方はおらずとも、僕らだけでなんとかなりますから」
「左吉…!?どうしたというんだ!?」


「神崎先輩、保険委員会の予算、計算終わりました」
「おぉ団蔵ありがとう!」


帳簿を左門へ、団蔵が手渡した。
すると左門は

「と、言うわけです。田村先輩、潮江先輩、もう会計委員会には来なくて結構です」


やっと筆を止め、立ち上がり、俺と田村の体を押し、部屋の外へと追いやった。


そして、あろうことか、扉を閉めた。


「おい、バカ左門!!これはどういうことだ!?」
「開けろ左門!説明しろ!!」


そうして中から聞こえたのは、


「あんな女、天女サマに夢中で委員会活動をサボる先輩方なんて、……僕らをほっとく先輩方なんて、もういりません。だって…―――













その異常は、お前らの想像以上に、広がっているぞ。













「なんのつもりだ金吾、四郎兵衛、三之助…!」
「どういうつもりだ!今七松先輩に何と言った!?」

「僕ら、もう先輩方は信用できません…!」
「もう二人にはついていけないんだな…」

「委員会の花形、体育委員会に、女の尻を追っかけて委員会をサボるような先輩なんていりませんと言っているんです。帰ってください。だって…―――









お前等はその事態にどう思う










「どうしたの数馬……?左近!伏木蔵…!乱太郎…!……今、何て言ったの!?」

「伊作先輩なんて、もう不要です…」
「…僕等、もう伊作先輩のこと」
「委員長なんて、思っていませんから」

「そこは委員会の人間しか触ってはいけない棚です。先輩は触らないでください。そして、今すぐ此処から出て行ってください。だって…―――










まさか大好きな後輩たちに










「へ、平太、しんべヱ、喜三太……さ、作兵衛?…一体、これは、どういうつもりだ……?」

「食満先輩は用具倉庫から」
「出ていってくださいー!」
「食満先輩なんて…もう大嫌いです…」

「用具の管理をするのに、女に夢中で三禁を忘れるような、一年にもできる仕事を放置するような、そんな先輩はいりませんよ。だって…―――











見捨てられるだなんて











「藤内…?伝七?兵太夫?どうしたの…?」
「お前等、これは一体どういうつもりだ」

「僕と伝七で作ったんでーす!」
「関係者以外立ち入り禁止装置です」

「委員会に出ていたら、解除方法はわかるはずですがあなた方はわからないみたいですね。そりゃそうでしょう委員会に出てきていなかったんですから。もう来ないでください。だって…―――










思いもしなかっただろう













「……どうしたんだ、お前等…!」
「き、きり丸!怪士丸!きゅ、久作…!なんで図書室に入れてくれないの!?」

「もう、中在家先輩も不破先輩も、いらないッスよ」
「…図書の仕事は僕等だけで出来ます…」

「あなた方に触らせる本なんてありません。あの女の匂いを此処の本につけるつもりですか。先輩方なんて必要ない。帰ってください。だって…―――










可哀相に、我が友、我が後輩よ












「三郎次、どういうつもりだ。その手の焙烙火矢をどうするつもりだ」
「伊助くんも、い、一体どうしたの!?それ投げる気!?」

「三郎次先輩と新しく作った焙烙火矢でーす」
「タカ丸さんも久々知先輩も、来ないでください。あの女しか考えていないあなた方のような人に、火薬の管理なんて任せられない。そんな先輩方なんて必要ありません。だって…―――












お前等を慕う下級生は













「おい、どうしたんだ虎若、一平、孫次郎、三治郎!ま、孫兵…!?何故、ジュンコを俺に向けるんだ…!?」

「竹谷先輩にお世話させられる生き物なんて」
「この小屋にはいませんー…」
「みんな今はもう孫兵先輩しか信用してません」
「狼も僕等が世話をします」

「ジュンコが貴方なんていらないと怒っているんですよ。それはそうでしょう。狼たちを、虫たちを放ってあんな女の世話を焼く人なんて、生物委員会になんていりませんよ。だって…―――















この学園には


















「この委員会には、御代志桜先輩がついていますから」














誰一人としていないだろう。


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