綺麗な夜景でご飯を食べるなんて初めて。勘ちゃん、頑張ってお金貯めたんだなぁと考えると、とっても嬉しい事だしありがたいことだ。

「どう?満足?」
「うん!最高に幸せ!」

「そうでなきゃ困る!だって今日は名前の誕生日だもんね!」

肘をついてにっこりと笑うのは、私を一番愛してくれている彼氏だ。今日は本当に最高の誕生日だった。デートの約束は確かにしていたけど、朝から家に突撃して来たかと思えば、前々から雑誌を見ながら欲しいと言ってた洋服一式を覚えていてくれたのか、誕生日プレゼントだよと持ってきてくれた。もうそれだけれ最高に嬉しかったのに、今日の日のために珍しくデートプランを立てていたようで必死にメモと時計を見ながら行動していた。まるでいつもの勘ちゃんじゃないみたい。

「今日のデートプランは凄かったね。朝からこんな素敵な服プレゼント届けてくれるし、映画見て水族館行って観覧車乗って…で、最後に待ってのはこの夜景でのディナー?凄すぎない?」
「いや、今日はちょっと俺も頑張りすぎたと思った」

「凄い凄い。で?誰と考えてくれたの?」
「なんで俺一人でやったんだと思ってくれないの?」

「嫌さすがにこれ一人で考えるのは無理だと思って…」

「……三郎と雷蔵と兵助と八左…」
「だと思った!」

勘ちゃんがこんな完璧なデートプランをたった一人で考えられるわけがない。助けてくれた人がいるはずだ。ちょっとつつけばすぐに出てきたので、私は思わず笑ってしまった。やっぱりあいつらは最高の友達だ。私にとっても、勘ちゃんにとっても。

「誕生日デートだって言ったら張り切って考えてくれたってわけか」
「そう。でも俺も楽しかったから満足だよ。名前も、楽しんでくれたでしょ?」
「そうね。あいつらには感謝しなきゃ」

「……え!?俺は!?」
「んー?」

意地悪く口元を拭きながら首をかしげてみると、勘ちゃんはひでぇと言いながらも笑いながらワインを飲んだ。


「でもさぁ、名前も気づいてたと思うけど、三郎も雷蔵も兵助も八左も、お前の事気に入ってたわけじゃん」
「そうだね。ありがたいことに私モテモテだったらしいね」

「はは、そうそう。そんな中で裏切って俺が名前のこと貰っちゃったわけだし、こういう日ぐらい幸せにしないとあいつらに殺されちゃうからさ」
「そうねぇー。ちょっとでも気に入らないことあったら私すぐあいつらにリークする準備できてるから」

「あはは、勘弁して」
「大丈夫大丈夫。そんなことしないから安心して。私これでもちゃんと勘ちゃんの事大好きだから」


正直、ただの友人だと思っていた勘ちゃんに付き合ってほしいと言われたときは本気で困った覚えがある。友人だと思っていたのに、今更男としてみるだなんてできないと思っていた。だから私は一度断った。だけど勘ちゃんは諦めずに何度も私に告白してきた。

『絶対に幸せにするから!』
『……ほ、本当に…?』
『!うん!絶対!絶対!約束する!』

それで、私は折れたのだった。

あんなに必死な勘ちゃん初めて見たし、それでだんだん心惹かれていくのも自分で解った。


「ありがとう、俺も名前のこと大好き」
「あはは、改めて言われるとテレちゃうね」


最高の誕生日を送ってくれた。大好き以外に出てくる言葉なんて、あるものか。


「じゃぁこれ、最後の誕生日プレゼントね」
「うん?まだなんかあるの?」
「うん、気に入ってもらえると嬉しいんだけど…」


少々緊張したような顔で、勘ちゃんが胸ポケットから取り出したのは、乙女なら一度は夢見た小さい箱。

「……う、そ、…」
「本当。嘘じゃないよ」

これから起こることは嫌だって解る。嫌なもんか。嬉しい。最高に嬉しい。こんなに、心が躍ることはない。




「あのね名前、絶対に幸せにするってあの時言った言葉、嘘じゃないよ。絶対に、名前のこと幸せにするから。だから、…これから先もずっと、俺に名前の誕生日を祝わせてください」




嗚呼、神様!

こんなに、幸せな事ってあるんでしょうか!




「か、ん」

「ちゃんと、改めて言うね!名前!」
「は、い…!」





今日だけは貴方を信じ崇めます!








俺と結婚してください!

絶対、絶対、ぜーったい幸せにするから!








「断れるわけ、ないでしょう……!」
「ほ、本当!?本当に!?俺と結婚してくれる!?」
「よろしく、お願いします…!」

「うおおおおおおやったーーーー!!もしもし兵助聞いてる!?」
《聞いてる!おめでとう勘ちゃんチクショー!!》

「生中継!?」


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