「今日は名前先輩に、僕のプレゼンをしにきました」

「庄ちゃんのプレゼン?」
「はい!」
「うんうん、聞かせて聞かせて!」

失礼します!と学級委員長委員会会議室に入ってきた可愛い可愛い私の恋人。5つ年が離れているとはいえ立派な私の恋仲である子だ。今年入学してきた子に一目惚れされ猛アタック。生まれてこの方恋人というものがいなかった私は歳の差など気にせずに即了承し晴れて恋仲に。そんな彼が、委員会が無い日だというのにもかかわらず、会議室に来てほしいという伝言をくノ一の後輩にしてきた。何かな何かなとそわそわしながら茶を飲んでいると、ようやく現れた可愛い影。

庄ちゃんは今日、自分のプレゼンをにやってきたのだと言った。正直言っている意味が解らなかったのだが、可愛い笑顔でそんなこと言われて「え?どういう意味?」なんて聞き返す方がやぼってもんだ。来たばかりだからとりあえず飲みなさいと庄ちゃんの分のお茶を渡すと、行儀よくいただきますと一言言って口を付けた。

「ごちそうさまでした!えっと、いいですか?」
「うん、いいよ。どういうお話?」

委員会の事か、それとも勉強の事か。言いたいこと?聞きたいこと?庄ちゃんは一体何のために私を呼び出したのかしら。


「僕は、今年一年間で忍術の勉強をたくさんします!」
「うんうん」
「成績で優秀ない組にも負けずに座学も勉強して、総合的な知識を身に着けようと思っています!」
「うんうん」

「来年、二年生に上がったら、名前先輩がご卒業されても心を折らずに、名前先輩の様な立派な忍になるために一年生の時の勉強を忘れず、新しい知識もどんどん身に付けます!」
「うんうん」

「それで三年生に上がったら、僕は一度ここでの勉強は必要最低限とし、実家の炭屋の仕事を覚えます!」
「そうね、御実家は炭屋だったものね」
「はい!僕は卒業したら忍のお仕事をしつつ、実家も継ごうと考えているからです!」
「それは良い事ね!」

「ありがとうございます!そして四年生になったら上級生の仲間入りです。辛い授業も沢山増えると聞きますが、でも僕はこの一年間でもっと力を付けていきたいです!」
「うんうん」

「五年生になったら、授業もそうですけど、この学年で沢山みんなとの思い出を作りたいと思っています」
「そうね、とても良い考えだわ」

「六年生になったらみんな就職活動とかで忙しくなるでしょうし、今の先輩方を見て、一番楽しそうな雰囲気が感じられるからです」
「確かに私たちの今の学年は今とても忙しいわ。就職先が決まっていたり御実家が仕事をやっている場所ならいいでしょうけど、友達と思い出を作るならここが一番いい時期ね」
「はい!僕もそう思います!」
「そうね。さ、続けて?」

「はい!それで六年生になったら、っていうか、この学年まで今の一年は組から誰一人として脱落者を出さないことが最大の目標です!同じ学び舎で育った友達、一人として退学者を出さないというのが、学級委員長としての務めだと思っているからです!」
「素敵よ庄ちゃん!!」


「座学も実技も一番の成績をおさめ、そして立派に黒木屋の暖簾を受け継ぐのが、僕の夢なんです!」


にっこりと微笑んだのは、目の前にいる菩薩。このような天使が私の恋人だなんて信じられない。私はあまりの可愛さにうがあああと奇声を発しながら目頭を押さえた。齢十にしてこのような立派な考えを持ちそして先を読み、未来に向かって確実に一歩ずつ進んでいる可愛い可愛い私の庄ちゃん。こんないい子を受け持っているだなんて、土井先生はなんて幸せ者なのかしら。

「うん…!うん…!応援するよ庄ちゃん……!」
「はい!ありがとうございます!………それでですね、このお話にはまだ続きがあって」
「…続き?」

はい!と背筋を伸ばした庄ちゃんはどこか照れくさそうな顔でもじもじと手を動かした。続きということは、卒業後ということでしょうか。


「僕、名前先輩に黒木屋のお嫁さんとして来ていただきたいんです」


「……………嫁…?」
「は、はい…。ぼ、僕、此の学園で立派な忍者になります!今はまだまだですけど、い、いつか必ず名前先輩を守れるような立派な男になって、立派な忍者になって!そ、それで!あの黒木屋を継いで、名前先輩とその先もずっと一緒に居たいです!」


「庄ちゃん…!」

「今はまだ頼りない子供です。こんなお言葉、信じてもらえないかもしれないですけど…!名前先輩!僕、あなたを一生かけて幸せにします!だから、」









僕と結婚してください!

必ず、幸せにしてみせますから!








「黒木名前…黒木、名前かぁ……」
「…名前、先輩……?」

「六年後、私は黒木名前になるわけか…」
「!じゃ、じゃぁ」

「不束者ですが、何卒宜しくお願い致します!」
「…や、やったー!やりましたよ鉢屋先輩!尾浜先輩!彦四郎!!」

「あ!?」


「庄ちゃんがプロポーズに成功したぞー!!」
「おめでとう庄左ヱ門んんん!!」
「僕土井先生に知らせてくるね!」
「いつから天井裏に!?」
「最初からです!」


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