一章:特別ゲスト
「496、」 「「「はい!」」」
「497、」 「「「はい!」」」
「498、」 「「「はい!」」」
「499、」 「「「はい!」」」
「499、」 「「「はい!」」」
「499…」 「「「はい…!」」」
「よんひゃくきゅうじゅうきゅう!!!!!」 「「「はいぃいい!!!」」」
「500!はいお疲れさん!他の人のボトルと間違えないでね!そんじゃ六年は残りワンセットー。自分のペースで終わらせてね」
「おう!」 「もそ…」
手伝いをしてくれている一年生たちに、名前の書かれた色違いのボトルを配ってもらった。中身は私特性のドリンクだ。まぁ、早い話、マグルの世界のプロテインてやつかな。魔法薬学が得意な私にとって個人に合わせたそれを作るのは軽いもんだ。伊作の作る薬と一緒にするな!あれは完全に毒やkおっと誰か来たようだ。
三年は座り込むものの呼吸は荒く、四年は大きく深呼吸して呼吸を整え、五年は慣れた様子で身体を伸ばしながら汗を拭き、六年は残りの500回の腕立て伏せに取り掛かった。さすが六年とでも言うべきか、ヘバっているものは誰一人としておらず、むしろまだまだ余裕だという表情で汗を流していた。
「千鶴!」 「はいはい」
一人一人の体力データ表を記入していると、小平太が私に声をかけた。残り500で自分を追い込むため、毎度私を背に乗せ腕立てをするのだった。乗り物酔いはしないから私は大丈夫なのだが、重石代わりとされているのが誠に解せぬ。長次もハチに声をかけ、背に乗ってもらっていた。ハチは筋肉質だからな、中々良い重石だろ。
筋トレを終えたみんなの呼吸の荒さから、五年はこの春休みでかなり筋力、体力がついたものが大勢いるみたい。四年もなかなか。三年は、まぁこれから成長することに期待だね。うん、よきかなよきかな。今年も寮対抗クィディッチの総合優勝はろ組が貰いだな。
「千鶴先輩、あの」 「ウルフスベーンかな?」 「昨晩飲みきっちゃって、また作ってもらえますか?」 「新野先生に頼めばいいのに…、私で良いならもちろんいいよ。それにしてもハチは筋肉ついたねぇ。体重も変わってないし、体調管理ばっちりだね!」
長次の背にのるハチに、ボードにつけていたハチのデータ表をベリッと取って見せてあげると、ハチは目を輝かせてありがとうございます!と頭を下げた。ハチは今年入団した三年生からあこがれ続けていたビーターのポジションのテストに、今年見事合格したのだ。ビーターは二人なので倍率が高い、中々人気のあるポジションなので毎年戦争である。おめでとおめでと!
「ミキティは3kg落ちてるね。どしたの急に?ダイエット?」 「四年のアイドルとして、少し体重落としておこうと思いまして!」 「そか、ただでさえ平均体重下回ってるんだから気を付けてね。左門と三之助と作兵衛は逆に増えてるねぇ、特に左門が。美味しいものいっぱい食べたのかな?」 「はい!春休み中に藤内と数馬と三之助と孫兵と作兵衛で甘いものいーっぱい食べてきました!」 「ンギャワィイイイイ!!」
私ですか。今回も安心のチェイサーですが何か。
ろ組のクィディッチ選手の朝は早い。朝食時間の二時間前に、使用許可を貰ったグラウンドへ集合し体力作りというかストレッチをして、朝練を開始する。参加は自由だが、朝から課外実習などがない限り、誰も休む奴はいない。一年生は来年からのために見学したいと手伝うために早起きしているし、今年もろ組の子は優秀だし向上心に満ち溢れている。
前に行ったテストで決めた選抜選手達だけでと思っていたのだが、補欠として選ばれたやつらも一緒に朝練に参加している。やる気があっていいねぇ。
そうだ、ポジションを紹介しておこうか。
シーカーは田村三木ヱ門。ビーターに竹谷八左ヱ門と次屋三之助。キーパーに中在家長次。チェイサーに私、七松小平太と、富松作兵衛。神崎左門はチェイサーの補欠だ。何故左門が落ちたのかというと、まさかの新学期早々帳簿付けがあり二徹あけのポジションテスト。全力を発揮することが出来なかったんだそうな。悔しがってたけど、自分の実力不足ですと日々トレーニングに励んでる姿をみて……先輩は…先輩は………!
あ、そういえばクィディッチのキャプテンを小平太が突然降りた事件が発生しました。その理由は監督生とクィディッチのキャプテンしか使えぬ風呂に、長次だけ入ることが出来ないという理由でだ。 小平太が監督生になった理由は、元々は成績的に長次がなる予定だったのだが、長次はその地位に興味がなく、小平太を推薦したからだ。小平太は別に構わんと言いやることになったのだが、そういえば小平太は卒業された先輩にろ組寮のクィディッチのキャプテンも任されていたのだ。あの極上の風呂には監督生かクィディッチチームのキャプテンしか入れない。てことは、長次が入れない。一緒に入れないなんてやだ!と小平太がダダをこねたが、監督生を今更降りることはできないので、クィディッチのキャプテンを長次に譲り渡したのだ。まぁ、ほぼ主導権は小平太にあるんだろうけど。長次も納得してくれたし、優勝さえもぎ取れればなんでもいいのよなんでも!!!
「そ、…そういえば、千鶴先輩は、筋トレしないのですか?」 「いいかい平太、私がこのメニューをこなしたら死んでしまうのだよ」
「そうだ!千鶴は選手兼、トレーナーだ!」 「むしろこれはレギュラー用トレーニングだけど、出来ない者もいるということさ………!どうせ貧弱だよちくしょーめ!」 「そんなこと言ってませんんんんー……!」
小平太が腕立てをしながら問いかける平太にそう答えた。そうです。一応選手ですがこの筋トレには参加しません。トレーナーとして選手としていますが、私は別メニューでやってます。筋トレに誘うなどやめてください、死んでしまいます。 小平太が終わった!と言ったので私は小平太の背中から降りた。次いで長次も終えたらしく、ハチも背中から降りた。
それじゃぁ次はー、とペンで頭をカリカリとかくと、「千鶴!」と遠くから声が聞こえた。かなり離れたところから、喉に杖を当てる仙蔵の姿が確認できた。Sonorusを小さく唱え喉に杖を当てた。
「仙蔵おはよ!どーしたの!!」 「あぁ!練習を中断しろ!朝食の時間が一時間早まった!学園長先生の突然の思い付きの発表があるそうだ!!」
仙蔵のその声をきき、練習していた選手たちは全員ギョッとして動きを止めた。
「急げよあと53分後だ!」 「え!ありがと!……れ、練習中止!急いで寮に戻ってシャワー浴びて制服に着替えて大広間へー!!」
カルテを箱に全て詰め込み杖を振り道具を全て元あった場所へ飛ばした。箒にまたがっていたやつらは箒から飛び降り制服を持って校舎へ走って行った。あぁこういうとき動物もどきは楽でいいなぁ。作兵衛が烏に姿を変えると猫と鼬の姿になった左門と三之助をガッシリ足で掴み飛んで行った。
「小平太もう私は低血圧でダメだ寮まで乗せてって」 「おう!まかせとけ!」
低血圧?いいえ、走るのが面倒なだけです。 人一人乗れるほどの大きさの真っ白い犬に飛び乗り、風を切ってきって風をきって、ゆーくーよー。
「……千鶴、あれはなんだ?」 「え?」
横を箒で走行する長次が空を指差した。眩しい太陽の光を遮るように手で目元を覆いながら空を見上げると、太陽の中を馬車のようなものが走っていた。
「っ、小平太どうした?」
小平太(犬)は、階段を上がる途中で足を止め、海の方を見下ろしていた。波が荒れている。なんだろうと長次と海を見つめていると、ざばりと海が持ち上がり、其処から巨大な船が飛び出した。
「何でここにジャッカスバークなんか?」 「…海賊船……」 「……はい?」
嗚呼、なんだか良く解んないけど、これは絶対学園長先生の突然の思い付きが始まろうとしてる…。
「突然の思い付きにより、トライウィザードトーナメントを開催することにした!!」
えぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!!!!!
大広間中に響き渡る大きな叫び声に、私の眠気により吹っ飛びそうになった意識は覚醒された。え、何?トライウィザードトーナメントをやるって?ん?まじか?お?
「……えっ!?」 「千鶴先輩反応遅いです!」
横に座る三郎に言われ、私はようやく事の重大さに気が付いた。 トライウィザードトーナメントとは、別名"三大魔法学校対抗試合"。七百年前に始まった他校との親善試合だ。賞金も出る素敵なイベント。だがここ数百年死亡事故などが相次いでいたため開催されていなかったものだ。伝説とさえ言われた行事を、まさか学園長先生の思い付きなんかで開催することになってしまうとは。
「まじか…、こいつは驚いたな」 「僕らでも聞いたことある程度だったのにねぇ」
「ほう、これは運が良いな文次郎」 「お前が楽しそうでなによりだよ…」
「いい思い出になるな!私も参加したいぞ!」 「…私は、見ているだけでいい……」 「はは、長次ならそう言うと思ってたよ」
事故が多発したイベントに、イベント好きな連中は興味津々だった。
「此処はお主たちの家でもあるわけじゃが、トライウィザードトーナメントを開催するにあたってゲストを招く事にした!」
学園長先生が扉に向かって指を一本折り曲げると、重々しく音が鳴り、大広間の扉は左右に大きく開かれた。突然のゲストの話に、大広間は騒然となった。次々と事は勝手に進行していき、私でさえ頭の整理が全く追いついていないのだ。ゲストということは他校の生徒ということだろう。
ギギィと重々しく鳴り開いた扉の向こうから現れたのは、
「まず北から、『兵庫第三魔法魔術学校』から、兵庫第三魔法魔術学校の生徒と、校長兵庫第三協栄丸じゃ!」
磯の香りが大広間中に広がり、まるで海中に飛び込んでしまったような空気になった。タンクトップにニッカボッカ、そして魔法使いというより海賊というほうがぴったりな姿。顔に傷があったり眼帯をしていた……り…うわぁぁぁ教師陣まで顔怖ぇえええええええ!!!!!!!!!
ガツガツなる靴音。強面の生徒さん方が私たちのテーブルの間を通り抜けていくと、ふと、一人の生徒さんが私の横で立ち止まってすっと膝をついた。えっえっ、と私が混乱していると、スッ…と私の手をとり
手 の 甲 に キ ス を 落 と し た 。
「ファッ!?!?!?!?」 「初めまして美しい御嬢さん、こんな綺麗な人に出会えるなんて俺はなんて幸せもんなんだ」
「ギャハハハハ!!おい義丸のナンパがもう始まったぞ!!」 「笑い事じゃねぇですよ蜉蝣のアニキ!」 「落ち着け白南風丸、いつものことなんだからよ。こらこら義丸、さっそく生徒さんに手ェ出すんじゃねぇ、印象悪くなるだろ」 「言うなって鬼蜘蛛のアニキ、こりゃ運命の出会いですよ」
「んなnnなあなnなnnっなナメクジくr」 「おおおおお落ち着いてくだせぇ御嬢さん!!」
懐から取り出した杖を謎のふわふわ茶髪野郎に向けた瞬間、私の体は銀髪で傷んだ髪の毛の筋肉質なお兄さんにがっしりと抑え込まれてしまった。羞恥で顔が真っ赤。なんだいまの他の学校はこれが普通の挨拶なの!?違うよね?!ありえないよね!!!このナンパ野郎ゥウウウ!!!
長次にふへへ落ち着けと襟を引かれ椅子に戻り、向こうの校長先生と学園長が挨拶を握手を交わすと、兵庫第三魔法魔術学校の方々はい組寮の席の空いている場所へ座った。なるほど、前の方がいあいていたのはこのためだったのか。
「そして東からは、『風魔流魔法魔術学園』から、風魔流魔法魔術学園教師代表の山野金太先生と、その生徒たちじゃ!」
そしてついで入ってきたのは風魔の生徒。真っ白いマントをなびかせながら、磯の香りをふわりとふく風で全てが消え去った。
「嘘…!"風の悪魔"、ほ、本物だ……!」
ミキティがガタンと立ち上がり歩いてくる生徒を信じられないといった目で見つめた。私もその言葉に驚き思わず視線をそちらに向けた。
錫高野与四郎。通称、"風の悪魔"。それは彼の異名で、彼は世界最速のシーカーとして魔法界では知らぬものは誰もいないと言っても過言ではない、クィディッチの選手だ。同い年とは聞いていたけど、まさかこの学園で出会うことがあるなんて。し、信じられない!でも顔が誰かに似てるな!誰だろ!見たことある顔だ!誰だ!思い出せん!
ミキティの声に気付いたのか錫高野与四郎はこっちを振りむきにこりと微笑み手を振った。うおおおおお兵庫第三とは違ってイケメンだぁぁああああああ!!
「あー!与四郎せんぱーい!」
「!喜三太ァーー!!!元気にしとったべかーーー!!」 「お久ぶりですぅー!」
…ん?
「なんだべおめぇ大川の制服に着飾っちまってそげに風魔の学校で授業受けるのやだったっぺか!?おらがどんだけおめぇがいなぐなったの寂しかったと思っとったか!!なして風魔うっちゃったぁよ!」 「与四郎先輩鼻水出てますぅ!」 「ほんと久しぶりだべ喜三太!ほれおめぇに土産だ!これっくそでけぇめんめんくじらずっと前から欲しいいっとたべ!」 「はにゃぁ!山なめくじぃ!!」
………イケメンとは一体……。
は組寮の喜三太は確か風魔からの転校生だったな。あぁなるほど、風の悪魔とも知り合いでもおかしくはないな。抱き合って再会を喜ぶのは結構だけど、今"風の悪魔"に対する印象がガタ落ちした…。 他の寮の生徒たちもその光景に目を奪われていたが、特に女子は兵庫第三にも、風魔にも、イケメンぞろいでみんな心と目を奪われていた。わ、私は騙されないぞ!イケメンの皮をかぶった変態達だってことを今この身をもって知ったぞ!!い、イケメンっていうのはなぁ!長次だけで十分なんだよぉおお!!
「兵庫第三にはい組寮に、風魔にはは組寮で生活してもらう!部屋は増やしてある!監督生は各生徒さん方のお世話をするのじゃ!ではこの話はここまで……、では、トライウィザードトーナメントのルールを説明する!」
学園長先生の横に風魔と兵庫第三の先生方が立ち、ルールが説明された。 正式のルールとは異なる点がある。まずうちの学園からは、い組寮、ろ組寮、は組寮、の三寮から代表が各一人ずつ選ばれる。他校は一人ずつ。そして行う競技は全部で三つ。代表はペアを一人指名し、競技は二人で挑む。代表に選ばれた生徒の途中棄権は、認められない。 代表に立候補するものは、今大広間に運ばれてきた、炎のゴブレットに名前を書いた羊皮紙を入れる。ただそれだけ。だが、それだけで、命をかけることになる。
うちの寮、他の寮は誰が選ばれるかなー。楽しみだー!
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アンケートに制服描いて!ってコメント貰ったから描いたよ!! 悪ふざけもいいとこだよ!!
興味ない人は戻ってね!!!
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しらちゃんの杖かくの忘れたwwwwww
大川の制服は待ってね!
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