「此処のお城の中?」
「…」
「…つまり、捕まってるって、こと?」
「エーフィ…」


肩に乗るとめさんは目の前のお城を見上げて唸った。どうやら本当にこのお城に、山村くんは捕らえられているらしい。


「どの当たり?」
「……」
「…地下ではない、か…」

「翔子さん!」
「あ、神崎くん!平くん!」
「翔子さん、喜三太は…」
「とめさんによれば、やっぱりお城の中から気配がすると…」
「やはり…」


町を散策中の平くん紐につながれた神崎くんとバッタリ出くわし、とめさんが山村くんの気配をこの城壁の向こうから察知したという情報を得たと伝えた。

やはり囚われているということか。これは一刻も早く助け出さなければならない。


だけど、お城の中に入れたとして、とめさんが正確な場所を知っているからいいものの、私だけではどうすることもできない。
もんじろうを使おうか。いや、もんじろうはスピードはあるが攻撃が大胆なものばかりだ。ひっそりとはいけない。いらぬ犠牲を出してしまう。せんぞうもまた叱り。ならば……いやこへいたはもっとダメだ。加減を知らない。

いさくは今善法寺さんと行動させてるし、…なによりポケモンの技を一般の人に向けるというのが危険すぎる。

うーん、あやかしまるかまごじろうでもいればちょっとは潜入できたかな…。いや、今いない仲間を思っても仕方ない。今の仲間で出来ることを探そう。

……さてさて、どうするべきか。


「翔子ちゃん」
「善法寺さん」
「喜三太はこの中?」
「やっぱりお城の中みたいです」
「そっか…」

いさくは山伏に変装した善法寺さんの着物の胸のあわせから顔をぽふっと出した。何も問題起こさなかったよ!と笑ういさくをよしよしと撫でる。
その後ただならぬ気配を辿ってきたのか、厚木先生や不破くんたちまで、全員がお城の裏へと集合した。

森の中へと入って、とめさんの情報を全て集まった方々に話す。が、お城の中となるとそう簡単に手出し出来るものではないと、先生方も顎に手を当て作戦を練り始めた。

すると、



「翔子さん!」
「ど、土井先生!?」


木が揺れ誰かが降りてきた。土井先生だ。


「な、何してるんですかこんなところで!」
「何をしているのかはこっちの台詞です!出門表を渡して何処へ行くのかと思えば、喜三太救出チームに行くだなんて!」
「だ、だって私もお力になりたかったんです!」
「危険だと言っているんです!」

「エーフィィイ!!」
「おうっ!?」
「とめさんコラァアーーー!!」

土井先生と口喧嘩まがいのことを始めると、とめさんは突然土井先生にタックルをかました。何やってんのお前は!


「エ、エーフィィイ!」
「なんだ!どうしたんだ!?」
「お、俺がいるんだから翔子が危険な目にあうわけが無いだろ!と…」

とめさんは、土井先生にすりすりと擦り寄った。
とめさんも土井先生には随分御世話になった。遊んでもらったりしていた。だからとめさんも、土井先生の役に立ちたいんだと伝えたいんだろう。

でもね、タックルはいけないよ。ただでさえ胃腸ヤバいんだから。


「……そうですね…。すいませんでした、怒鳴ったりして…」
「いえ、こちらこそ、ご心配おかけしてすいませんでした」

土井先生がとめさんを抱っこしてなでなでしてくださった。とめさん幸せそうだなぁ。

その後土井先生は忍術学園で起こったことをご報告し始めた。
一年は組が山村くん救出チームとタソガレドキ城というお城の情報を収集するチームに分かれたと。

どうやら今私たちが今いる場所はオーマガトキという場所らしく、其処とタソガレドキ城とがただいま戦の真っ最中らしい。


…戦中?これで?この呑気な雰囲気で、戦中なの?

全然そんな気しなかったけど………。



そして土井先生は山村くん救出チームとして来たが、福富くんが団子を食べ過ぎて動けなくなってしまっているので、一緒に来た猪名寺くんと加藤くん、それから皆本くんを福富くんと摂津のくんがいる場所で待機するようにと命じたらしい。

そして私もとめさんがお城の中から山村くんの気配を感じ取ったということもお伝えした。


「ふーむ…それならば、滝夜叉丸、左門、お前は此処に厚木先生と残りなさい。日向先生、先生は雷蔵と三郎と、もう少しこの町で情報収集をお願いします」
「解りました。土井先生は?」

「私は一旦、乱太郎たちを連れて山田先生の元へと向かいます。大まかなことを報告せねば。翔子さん、一旦翔子さんも一緒に行きましょう」
「解りました」
「伊作、お前も付いてきなさい」
「畏まりました」

じゃぁねと手を振ると、善法寺さんが土井先生からとめさんを受け取り、


「翔子さん、事は急ぎます。じろうは少し目立つので、我慢してくださいね」
「うぇぇ!?」


善法寺さんがとめさんを抱っこして、いさくを服に入れて、



私は土井先生に抱っこされた。






「では、行きますよ」

「ひぃいい!!土井先生やめてください重いのでやめてください!!!」
「…貴女はもう少し食べるべきです」
「重くてごめんなさい重くてごめんなさい!!」


「さくちゃんもとめさんも軽いねぇ」
「♪」
「///」














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「乱太郎たちは何処へ行ったんだーーーーー!!!!」


「と、とめさん!急いで猪名寺くんたちを探してぇえ!!」
「エ、エーフィィイ!」
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