紫路様
キリ番ヒット記念リクエスト作品
「悪鬼首無輪舞曲if…御代志さんが卒業するときのお話が読みたいです」






































「鉢屋三郎、お前に、学級委員長委員会委員長の座を引き継ぐ。全ての生徒の上に立ち、この忍術学園を守ることを命ずる」
「謹んで、お受け致します」

「尾浜勘右衛門、学級委員会副委員長を命ずる。鉢屋三郎と共に、この学園を支えろ」
「謹んで、御受けいたします」

「黒木庄左ヱ門、お前に、学級委員会書記を命ずる。全てを記し、次の代へと伝えろ」
「謹んで、御受けいたします」

「今福彦四郎、お前に、学級委員会会計を命ずる。…今までのような無駄な出費を削減してくれ…。」
「つ、謹んで、御受けいたします」


「…三郎、勘右衛門、長い間、よくこんな俺についてきてくれた。
庄左ヱ門、彦四郎、だらしないヤツらだが、これからもこいつらを信じついていってくれ。

本当に、今までありがとう。


…以上で、引継ぎの儀を終え、学級委員長委員会を、………解散とする」




こうして、桜先輩は、

学級委員長委員会委員長を、引退した。

























校門前で、袴姿の先輩たちが涙を流す後輩たちに囲まれていた。
花束を持った後輩たちが、いつもと違った格好でたたずむ先輩たちに飛びついていく。


「今までありがとうございました」
「先輩の事は絶対に忘れません」
「今まで御世話になりました」


今日は、六年生の卒業式の日だった。
あの先輩たちがこの学園を巣立ち、ようやく雛となる日がついに来てしまった。この日をどれほど、待ち望んでいなかったことか。

先輩方からすれば、ようやく今からがスタートだというのに、私たちはそれが、寂しくて、悲しくて。

私たちはそれを見守っていた。私たちは何度も経験したこの空気。次は私たちの順番なのか。
これが最後なのだと思うと、とても、悲しかった。


「鉢屋」

ポスリと頭を叩いたのは、潮江先輩だった。

「潮江先輩…」
「お前らしくないな。尾浜も。そんな落ち込んだ顔をしているだなんて」
「ははは、そりゃ今日ぐらいこんな顔もしますよ」
「……ご卒業誠におめでとうございます」


学級委員会一同で、深々と頭を下げた。


「…ところで、あの、桜先輩は今、どちらに居るのでしょうか」


そうなのだ。式を終えてからというもの、桜先輩の姿を全く見ていない。

別れの言葉も、祝いの言葉も言っていないのに。


「あぁ、桜からの最後の伝言を伝えに来た」























式が終わったら、全員私の部屋に来い。



























「桜先輩!!」


その言葉を聞いて、私たちは弾かれたように走り出し、桜先輩の部屋へと向かった。

だが、部屋の扉を開けても、桜先輩の姿は無かった。


「ハァ……桜、先輩…?」



「お、尾浜先輩、これ」



部屋の真ん中に、手紙が並んでいた。




























1年い組 今福彦四郎へ


誰よりも上を目指す勤勉家なお前に、俺の六年間の相棒"忍たまの友"を譲り渡す。

お前が一年い組の誰よりも勉学に励んでいたことを俺はよく知っている。
毎日のように俺のところへ来ては、その日に理解できなかった授業の内容を俺たちに質問していたな。
そして、テストの点が他のやつらより悪かったと、いつも嘆いていたな。
しかし、お前は確実に成長している。お前が成長しているのと同時に、クラスのやつらも成長しているという証拠だ。
そこで、俺が使っていたこの"忍たま"の友をお前に譲る。
この"忍たまの友"は、俺特製の教科書だ。
全ての忍術、兵法、作法、何もかもに豆知識及び裏技のようなものを先生方に聞き、記し続けてきたものだ。
これであいつらに差をつけてやれ。
卑怯な手だとは言うなよ?忍者とは何もかもを利用してこそだ。
お前はまだまだ成長する。これが何かの力になってくれるとありがたい。

努力を忘れぬ彦四郎の姿が、私は大好きだよ。



御代志桜





「……桜せんぱぁい…っ!!」
















一年は組 黒木庄左ヱ門へ


仲間を守る強き心を持つお前に、俺の脇差を譲り渡す。

お前が何よりも、一年は組の良い子達や、友達、先輩を愛しているのを俺は知っている。
己を身を省みず敵に立ち向かっていく勇ましき姿や、俺の無理な命令をも必死でこなそうとするその姿に、俺も五年も驚いた。

いつも冷静沈着で物事を瞬時に判断し、仲間を導くその小さいながらも逞しい背中で、次代の卵達を引っ張っていってくれ。
そんなお前に、俺の脇差を譲り渡す。
お前は忍術、兵法には詳しいが、武器の扱いとなると少しばかり苦しい顔をしていたな。
いつも俺に特訓を申し込んできていた日々が懐かしい。
特に一番苦手だと言っていたのが剣術だったな。是非これを使ってやってくれ。
これは俺が剣術が苦手だったときに随分と世話になったものだ。振りやすく斬り易い。
お前の剣術の腕が上がり、いつか俺と手合わせを出来るようになるのを楽しみにしているよ。
苦手だからと後回しにするな。お前はこれからもっと強く、賢くなれる。

仲間を愛し守る庄左ヱ門の姿が、私は大好きだよ。



御代志桜




「う、うわぁあぁぁぁあああ!!!」











後輩二人が、桜先輩からの手紙と桜先輩からの思いも寄らぬプレゼントを抱きしめ、その場で泣き崩れた。







五年い組 尾浜勘右衛門
五年ろ組 鉢屋三郎


お前らにやるものなど何も無い。精々あと一年頑張って卒業するんだな。





「えー!?」
「何でー!?」



まさかのオチに、私も勘右衛門も手紙を見て声を上げた。
思わずグシャリと手紙を丸めてしまったのだが、よく見ると、二枚綴りになっていた。あわてて手紙を広げると

「冗談だ。部屋の正面にある箪笥を押せ。
右が尾浜勘右衛門。左が鉢屋三郎だ。」

と書いてあった。

やられた!と少し溜息を吐き出し、私と勘ちゃんは恐る恐る目の前にある箪笥に手をかけ、グッと押した。
カラクリ屋敷の定番、仕掛け扉のように箪笥はクルリと周り、その後ろから大きな箱が出てきた。

箱の上には、手紙が一通、ポツリとおいてあった。









五年い組 尾浜勘右衛門へ
五年ろ組 鉢屋三郎へ


お前らからは数え切れないほどの思い出を貰った。
未だに俺は覚えているぞ。真新しい制服を着た狐の仮面を被った子が、飴をくわえた子と手を繋ぎ学級委員長委員会室に入ってきたときのことを。
今年はとんでもない下級生が委員会に入ってきたなと大変驚かれていたのをお前らは知らないだろう。
私も最初はお前らに期待などしていなかった。
勘右衛門は委員会中に甘えてくるわ菓子を食うわ。
三郎に至っては最初は全く私たちに心を開かなかったしな。
それがどうだ、五年も立ってみろ。問題児だった二人が学年の先頭に立ち生徒を友を引っ張り、生徒の手本たる姿をしているではないか。
座学の成績も実技の成績も群を抜いて良い。こんな後輩に成長するだなんて誰が想像できただろうか。
だがお前らはいつになっても初心を忘るることなく、日々努力、日々鍛練を怠らない姿、俺は知っているよ。

三郎、お前の変装の腕には六年になっても敵わなかったよ。よくそこまで上手くなったもんだな。
勘右衛門、お前の万力鎖の腕にはただただ驚いた。こんなことになるなら使い方なんて教えなきゃよかったな。いや、冗談だよ。

そしてお前らが"第一次天女事件"と名づけたあの日々も記憶に新しいな。
本当にあの時はよく俺の命令全てをこなしてくれた。感謝してもしつくせない。
お前らがいなければこの学園はどうなっていたか解ったもんじゃない。ありがとう。本当に、ありがとう。

嗚呼、俺はなんという素晴らしい後輩に恵まれたのだろうか。
そしてこんな素晴らしい後輩が、委員会引継ぎで俺のために涙を流してくれた。こんなに幸せなことは無い。

俺は一足早く雛へと孵る。お前らはあと一年、この忍術学園でしっかりと学び、鍛え、まだまだ成長しろ。

そしてこれは俺からお前らへのプレゼントだ。
お前らが来年の同じ季節に卵から雛と成る準備を、少し早いかもしれないが俺が全てさせてもらった。
箱の中にはお前らのサイズに繕った忍び装束、暗器、武器、薬等等の全てを入れておいた。もしよかったらこれを使って欲しい。
俺がお前らに送れる、最後の贈り物だ。是非受け取ってもらいたい。

勘右衛門、三郎、こんな私を心から愛してくれてありがとう。
私も、いつも真っ直ぐな気持ちを聞かせてくれる二人を、いつまでも心の底から愛すことを誓おう。



いつか必ず俺を越えてみせろ。

これが先輩である俺からの最後の命令だ。



御代志桜






































「…本当はな、手紙を置いて黙ってこの学園を去ろうと思っていたんだ」



「!」


涙を流す私たちの背後から、声が聞こえた。
勢い良く後ろを向くと、扉のところに影が一つ伸びていた。


桜先輩が、そこにいる。



「湿っぽいのは嫌いだし、お前らとの別れは引継ぎのときに全て済ませたからな」

「皆との思い出を語るのに、その紙はあまりにも小さすぎた」

「まだまだ言いたいことは山ほどあったんだ」

「だが要約してしまったらそれっぽっちになってしまった」

「どうしても最後に、お前らの顔を見ておきたくなってしまった………」

「…いままで本当に世話になった」

「ありがとう」

「ありがとう」

「…ありがとう、」

「……あり……、ありがとう…!」


声が震えて聞こえる。

少しでも、ほんの少しでも、私たちと離れるということを寂しいと思ってくださっている。


なんて嬉しいことだろう。

なんて、愛らしいのだろう。


影が動いて、古い廊下がギシリと鳴り、足音がゆっくりと響いた。
袴の姿の桜先輩が、目を腫らして手を広げた。






「俺の可愛い後輩ども!全員まとめて飛び込んで来い!!」







私たちは涙を流して畳を蹴り上げ、手を広げる桜先輩の胸へと飛び込んだ。

勢いのあまり庭へ飛び出し、桜先輩を押し倒して泣いた。


「うわあぁぁああ!!桜先輩!!桜先輩!!…に、忍たまの友を、ありがとうございます!僕絶対!絶対先輩のくださったこれで、学園1位になってみせます!!」
「そうだ!向上心を忘れるな!彦四郎なら絶対に1位になれる!頑張れ!」

「桜先輩!脇差をありがとうございます!僕、いつか必ず桜先輩と手合わせできるぐらいまで成長してみせます!」
「あぁ期待している!皆本にも戸部先生にも負けんほどの剣豪になってしまえ!」

桜先輩の上で、庄左ヱ門と彦四郎が声を上げて泣いた。先輩がグシャグシャと頭を撫で回し、今までに無いほどに楽しそうな声で二人に声をかけた。



止めてください。止めてください。

先輩が卒業なんて、絶対に嫌です!




「桜先輩!桜先輩!!嫌です!先輩が卒業なんて嫌です!ずっと、ずっと私たちの側にいてください!」
「桜先輩と離れるなんて嫌です!俺ら、俺らのこと嫌いになってもいいです!遠くになんて行かないでください!」




最後の最後までダメな後輩でごめんなさい。

最後の最後まで、大好きな先輩を困らせてごめんなさい。




「お願いしますッ!おね、お願いします…!」
「俺らを、置いていかないでください…!」


だけど、これが本音なんです。


先輩の胸に涙でグシャグシャになった顔をうずめ、本音を全てぶちまけた。
あんなものいりません。先輩が遠くに行ってしまうかわりになんて、私たちはいりません。

こんな言葉を吐いて、叱られる。

そう思ったのだが、










「…止めてくれッ…!……止めて、くれ…!」




先輩はさっきまで庄左衛門と彦四郎を撫でていた手を自分の顔に当て、

大きく肩を揺らした。




「頼む…っ!そんな、そんな優しい言葉、かけないでくれ……!!

俺だって、俺だってお前らと離れることが、こんなにもツラい事だとは思わなかったんだ…!!」




先輩の目から、綺麗な涙が流れて、地へと落ちた。

桜先輩の涙なんて、あの天女がいた時にしか見たことが無い。



「情けないな…!これから、プロになるというのに……!

後輩が、お、お前らが、こんなに、愛しくて、愛しくて、たまらないなんて…!

この俺が、学園を離れたくないなんて思うとは…!本当に、後輩に示しがつかないな……ッ!」



肩を揺らし、地はますます涙でぬれていった。

桜先輩、お願いします。どうか、どうか、泣かないで。

俺らのために、涙なんて、流さないでください。


ガバリと勢い良く飛び起き、桜先輩は私たちを力いっぱい抱きしめた。





「本当に、今まで世話になった!!お前らのような良い後輩を持てた事がどれほど幸せだったことか!!


…さぁ可愛い私の後輩達!この私の門出よ!そんな涙をふいて、可愛い笑顔で見送ってちょうだい!!」





































僕らの愛する桜先輩!!

ご卒業おめでとうございます!!


































その日、桜は、満開に輝いていた。























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紫路 様に捧ぐ


キリ番ヒットおめっとーーーございまーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーす!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

そして素敵なリクエストもありがたうごぜええええええええええまああああああああああああああああああああああああああああああす!!!!!!!!!!!!!!!!!!

書いてて楽しかったです!!!!凄く楽しかったです!!!!


三郎「と、いう夢をみたんです」
桜「なんてリアルな夢見てんだお前は」



とかいうオチでもよかったんですけどね!!!!!!!!!!!!!!
やめました!!!!!!!!!!綺麗にシメさせていただきますた!!!!!!!!!!!!

あと学級委員会の涙鼻水がついた桜先輩の袴は私がいただまsうわなにする桜さんやめ



リクエストありがとうございました!!!!!!
満足していただけると嬉しいでええええええええええええええす!!!!!!!!!!!!!!!!


伊呂波

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