- ナノ -


歪曲ドキュメント

「俺思ったんだ。名前が俺しか見えないようにしちまえばきっと名前はどこにも行かないで俺のことだけを見て俺のことだけを愛してくれるんじゃねぇかって。任務に行くのもそうだ。名前は女だから体を使った任務があるだろう?それはくのいちとして通らなきゃいけねぇ道だっていうのも解ってる。俺だってそれぐれぇ理解してる。俺は「忍」名前は「くのいち」。やれることが違ぇもんな。俺は血を浴びてお前は男に触れられる。そういうもんだってここ6年ずっと理解してた。だけどな、三禁だろうがなんだろうが俺は名前を愛してるんだ。名前以外に何もいらねぇし、名前がそばにいれくれれば他のやつらなんてどうでもいい。名前が死んだら俺も死ぬ。あたりめぇだろ?名前一人で逝かせられるわけねぇだろ。俺が死んだら名前を殺してもらうようにジュンコに頼んでおいたから安心しろよ?あぁ孫兵にも言ってあるから安心しろ。断られそうになったけど俺の名前への愛を理解してくれたから孫兵も快く了解してくれた。大丈夫。何があっても名前を独りにはさせねぇから安心しろ。ずっと名前は俺のそばにいれくて。な?頼むよ。


俺にはお前しかいねぇし、

お前にも俺しかいねぇはずなんだ。」



ギシリと腕を縛っている縄が軋んだ。


この男、やばいやばいとは思ってはいたが、

ここまで病んでいるとは予定外だった。



「…で?」

「…」

「次の忍務は、何をしに行くんだ?」

「…忍務内容を聞くのはご法度だよ作兵衛」

「…どうしてそんなこと言うんだよ……!」

「もう出なきゃいけないから。いい加減に離れてってば」

「なんで俺から離れるなんて言うんだよ!!」

「そういう意味の離れるじゃない。忍務があるってこと。貴方から離れるなんて言ってない。ちょっと出かけるだけ」

「どうせまたどっかの城に潜り込んで情報持ってくるんだろ!?それに房中術使うんだろ!?また他の男に抱かれるんだろ!?なんでお前はそんな平気な顔してられんだよ!名前は俺を愛してくれてたんじゃねぇのかよ!他の男に抱かれるのがそんなにいいのか!?俺じゃもう満足できねぇっていうのかよ!!」

「…作兵衛、」



愛してくれているのは解ってる。

だがこれは狂愛だ。


私の手に負えるものではない。



「やっぱりそうだ…!名前はもう俺に飽きたんだな…!?だから別の男でそうやって満足しようとしてやがるんだな……!?嗚呼どうすりゃいいんだよ俺には名前しかいねぇのに名前には俺の代わりがいくらでもいるって言いてぇんだなああ名前は本当に罪な女だよおめぇが綺麗だっていうのは忍術学園中が知ってるおめぇが優秀だってのも忍術学園中が知ってる名前を狙ってるヤツらも何人も要るってのも俺は知ってんだそれでも名前は俺を選んで俺だけに「愛してる」って言ってくれてるもんだとばかり思ってたでもそりゃ違ぇんだな名前は俺をそうやって騙して手の内に置いておいて他の男の所へ行くんだな嗚呼どうすりゃいいんだよどうすりゃおめぇは俺だけを見てくれるんだよ他の男を全員殺せばいいのか?そうだなだとすりゃ話は早ぇなよしすぐに藤内と数馬と三之助と左門に頼もうあいつらなら協力してくれるはずだ名前のことを狙ってるやつらは上級生だろうと下級生だろうと先生だろうと町人だろうと役人だろうと全部殺しちまえばいいんだな?だってそうしなきゃ名前はどっか遠くへいっちまうかもしれねぇんだろ?左門たちは名前のことを親友だと思ってるから殺さなくていいあいつらは信頼できるだがおめぇのいる生物委員会の後輩はどうだ姉のように慕ってるがそれがもし本当の恋慕だったらどうするおめぇは後輩が大事だもんな俺か後輩かって言われたら後輩を選ぶんだろ前の逢瀬も後輩のペットが逃げたから中止したもんな嗚呼、嗚呼、本当に名前はどんだけ俺の心をかき乱せば気が済むんだよ」


「作兵衛、ちょっと落ち着きな」


「もうあいつらも上級生に上がったもうそろそろ汚ェ授業が増えてくる。もし、もし房中術の相手にお前が選ばれたりしたら…!授業とはいえ名前に触れたやつは俺は許せねぇかもしれねぇ殺しちまうかもしれねぇな…!委員会の花形用具委員長がこんなザマじゃ先代の委員長達に顔向けできねぇ。だがもう限界だ。限界がきた。どうすりゃいいって考えた。で答えが出たんだ。つまり名前を閉じ込めちまえば話は早ぇってことだ。名前はずっと俺のそばにいればいい。汚ぇ忍務なんて他のくのいちにやらしときゃいい。名前には赤がよく似合う返り血を浴びてるときのおめぇが一番美しく見えるだから俺は真っ赤な着物や真っ赤な簪を毎回贈ってるだろ?名前に房中術なんてやらせねぇ絶対にだ。もしそれで間違って子供出来ちまったら俺はもう何をしでかすかわかんねぇぞ父親の疑惑がかかったやつを全員殺すかもしれねぇもう15だ最上級生だおめぇにもその可能性がないわけじゃねぇって解ってんだろ?なぁ、もう俺のそばから離れなくていい忍務なんて殺し以外はやらなくていい卒業したら俺とずっと一緒に暮らそうそしたら名前はもう汚れなくて済むんだその時期がちょっと早まっただけだと思ってくれりゃいい。行くな。今夜の忍務には絶対行くな。頼む。行かないでくれ俺から離れないでくれ頼むよ名前しかいねぇんだもう誰にも触れさせたくねえんだ頼むよ頼むから頼む頼む頼む離れないでくれ頼む」




妄想もここまで拍車がかかるとどうすりゃいいんだ。



もう月があんなに高く上っている。

嗚呼、忍び込むには最悪の時間になってしまったじゃないか。


「作兵衛」

「…」

「何度も言うけど、私は本当にあんたを愛してるんだって。それを信用してくれないっていうの?」

「信じられねぇよ。こうやって縛っておかねぇと名前はすぐにどっかいっちまう」

「忍務だって言ってるじゃない。それから……体は使う任務じゃない」

「…内容によっちゃ行かせるわけにはいかねぇ」

「ハァ、落ち着きなさいよ。なんで今日に限ってそんなに酷い思考回路になってるのよ」

「名前から死臭がするのは構わねぇ。だが他の男の臭いがすんのはもっと許せねぇ」

「作兵衛」

「行くなよ」

「……」





さて、これは困った。

今日の任務は遂行せねば相手方の次の戦に支障が出るかもしれないというのに。


依頼先の城は私が就職希望をしていた城だ。

ここで顔を覚えておいてもらわねば、来年にも支障が出る。



嗚呼、忍務に行ってくると作兵衛に挨拶に来るんじゃなかった。

いつ帰れるかわかんないからという甘い思考できたのが間違いだった。


そうだったそうだったこの男はこういうやつだった。











……仕方ない。この手だけは作兵衛にも迷惑がかかるから使いたくはなかったんだけど…。



ここは将来の就職のため、作兵衛には犠牲になってもらおう。





私は抱きしめられ首に顔を埋める作兵衛から視線をはずして衝立へと視線を移し

喉仏の位置を変えて、大きく息を吸った。



















『今日はいけいけどんどんで裏裏裏山までいけどん電車ごっこだぁああ!!!!』






「うわぁああああああ!?!?!?!ななななんあなああんあっなn七松先輩ィイイイ!?!?!?」


『三之助ぇえ!眠っている場合ではない!!金吾と四郎兵衛と滝夜叉丸を起こしてこーーい!!!』

「は、はいいいぃいい!??!!!!!」


「なっ!おい三之助!?」





三之助の人生最大のトラウマを呼び出すかのごとく声真似をして叫ぶと、

三之助は寝ぼけたまま寝巻きで部屋を飛び出した。




もういっちょ!






『起きんかバカタレェェエエエ!!!左門!!!帳簿付けを終えるまで眠るなと言ったはずだぁあああああ!!!』


「うわぁわあっぁああ!!!ぼぼぼおっぼ僕は寝てません!!!!」

『嘘をつくな!!眠気が覚めるまで裏裏裏山まで算盤持ってランニングしてこぉおおい!!!』

「は、はいいぃ!?!!!」



「おいまて左門!!やめろ!!お前らだけで出歩くな!!」



左門のトラウマも呼び起こすことに成功し、

枕元に置いてあった先代の委員長特性20kg算盤を抱えて左門は部屋を飛び出した。



一瞬の出来事に作兵衛は顔を真っ青にして

むなしく開かれた扉をただみつめていた。




「私は忍務が終わればちゃぁんと帰ってくる。約束するよ。

でもあいつらは、作兵衛が捕まえないと帰ってこないねぇ。困った困った。


ほら、とっとと捕獲用のこの縄解いてあの二人捕まえにいかないと、何処に行っちゃうか解んないんじゃないの?」


「ひ、卑怯だぞ名前!」

「どっちが。あのバカ犬どもと違って私はちゃんと帰ってくるっつってんでしょ。信じなさい」

「……ッ!」


作兵衛は私の縄を解いて部屋を飛び出した。









…勝った。
























歪曲ドキュメント


ほらちゃんと帰ってきたでs……二人は…?

部屋につないである。おめぇも腕出せ。

いやいやいやいや。







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作兵衛まじ縛るの好きそう。

首輪とかつけるの好きそう。


第8位、私の可愛い作兵衛たんでしtうわなにするペド野郎やめ
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