「ねぇ、なんなのこれ」

「…すまん」

「違う、謝罪の仕方聞いてるんじゃない。これはなんなのって聞いてるの」

「……すm」

「その言葉は聞き飽きたっつってんのが聞こえねぇのか隈野郎!!!」

「……」


今私の前で正座をしているのは、ついさっきまで愛していた彼、潮江文次郎その人だ。

そして私の横にある硝子のオシャレな机の上に置いてあるのは、何処からどう見てもエロ本だった。

私は今此れをバンバンと叩きながら文次郎を問い詰めている。

何故、何故こんなものが文次郎の部屋にあるのかということをだ。



「なんでエロ本なんて持ってるの?」

「…そ、それは……」

「私と言うものがいながら?こんなもん隠してたわけ?」

「そ……その…」

「私じゃ満足できないって?」

「ち、違う!」

「じゃぁ何。どうしてこんなもの持ってるの」

「……その…、そ、それは……」

「もじもじしてんじゃねぇ…よッ!!」

「ガッ…!?」



〜文次郎の文次郎終了のお知らせ〜

いつもはハキハキと喋る文次郎が

正座して下を向いてもごもごと喋るもんだから

イライラしてつい文次郎の文次郎に蹴りを入れてしまった。


いやー、足滑ったわー。まじ滑ったわー。

胡坐かいてたのに足滑って文次郎の文次郎蹴り飛ばしちゃったわー。



「〜〜ッ!名前…!」

「その耳飾りじゃないんだろ。だったらとっとと私の質問に答えろ。何故、こんなものを、持っているのか」

「…ッ!」



股間を押さえて蹲る文次郎可愛い。

私の愛歪んでるなぁ。



「隠す場所おかしいよね?ベッドの下とか百発百中見つかるよね?」



涙目の文次郎まじ可愛い。


写メとっといて仙蔵に見せてやろう。

可愛らしいシャッター音が鳴って私はケータイを投げ捨てた。



「解るよ。どうせただの好奇心で買ったんでしょ。それで私がこうして家に遊びに来るから隠しておいたんでしょ。

無難にベッドの下に。バレないと思ってたんでしょ。何故バレたんだろうと思ってるんでしょ。

残念だけど落っこちてたよ。もっと奥に突っ込めばよかったのにね。手前に置いておくからこういうことになったんだよ文次郎。もう少し考えてしまうべきだったね。」


私は文次郎の制服のネクタイを掴んで上を向かせた。

その顔ヤバいですよ文次郎さん。

ますますいじめたくなりますよ文次郎さん。



「それから私は文次郎がこういうものを持っていても別に興味はない。

年頃だしこういうのを持っていても仕方ないとは思っている。それぐらいの理解はある。


ただ、それは以前の私だったらの話し。『友人』だった頃の私ならば年頃なのだから仕方ないと目を瞑ったよ?

でも今は『潮江文次郎の彼女』という立場なの。

だから文次郎とはキスもしたしセックスもした。


なのに文次郎はこんなものを持っている。

それは『名前では満足できないから』という風に捉えてしまってもおかしくはないよね?


解るよね私のこの気持ち?私は文次郎を愛してたし文次郎とのセックスも好きだったよ?

でも此れは何?裏切り?私なんて所詮身体だけの関係だったってわけ?」


「ち、違う!」

「違う、便利な言葉だね。言葉ならなんとでも言えるよね」


私の中の何かが目覚めてしまいそうです文次郎さん。

もうちょっと。もうちょっとでいいんで眉間の皴増やしてもらえませんか。



「文次郎、今日は少し反省してもらうから」

「名前…?」

「今日はお預けです。はい腕出して、ベッドに寝て」



主導権は私が握る。

今日あんたには何もさせない。



制服のネクタイをしゅるりと奪い取りそのまま文次郎の逞しい腕を縛り付ける。

下から見上げる文次郎可愛すぎ。

上から見下ろすとこんなに可愛いのね文次郎。

いつもの鬼のギンギンは何処へいったの。



写メとっとこ。



「おい!なにしてんだ!離さんかバカタレ!!」

「黙れ唐変木。二度とこんなくだらないものに手を出させないように私がしっかり躾てやる」



今日はキスもしてやんない。


そっちがその気なら

愛のない行為もたまにはいいんじゃないの。





























問い詰めてやりましょう


ただし躾が必要ならしっかり躾ましょう

二度と同じ過ちを繰り返さないために
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