今日は初めて仙蔵先輩のお部屋に遊びに来ました。

お借りしたい本があるとお話をしたら

ならば今日は私の家でのんびりするかと

学校からそのまま仙蔵先輩のお宅にお邪魔しました。


そして茶を淹れてくると仙蔵先輩はお部屋から出ていかれた。




なんというか、さすが仙蔵先輩のお部屋。

無駄なものが何一つとしてない。



部屋はモノクロで統一されていて、

黒いベッドに黒い布団黒い枕。

デスクもブラックで椅子も黒。

部屋の真ん中にあるテーブルが白でカーペットも白。

箪笥も傷も汚れもない真っ白。



さすがだわ。さすが仙蔵先輩だわ。

ここまで美しいと何も言葉が出てこない。


私の部屋なんて服も雑誌もメイク道具も

全部バラバラと散らばっている。

ちょっとこれは見習った方が良い。うん。



怒られない程度にちょっとお部屋を探ってみようと思って

すっと箪笥を引っ張ってみた。


うおおお、洋服がスゲェ綺麗に畳まれてる…!

本棚も作者のあいうえお順に並ばれてる!

なんだこの空間、凄すぎる…!!


すげぇすげぇと感心しながら、

ベッドの下にある引き出しもなんとなく引っ張ってみた。



このなんとなくがいけなかった。




引き出しを引いて、

綺麗に整頓されているなぁと関心すると、

奥になにやら大きいな箱が。


なんだろこれとパカッとオープンしたところ、






「アッー!」




ア、アカーン!!!!

これめちゃめちゃアカンやつやー!!!


仙蔵先輩は前々から変態だと思い込んでいたがこれで確定したわ!!!

仙蔵先輩やっぱりマニアックなプレイ好きなんだ!!!



「こ、これアカンやつや…!」



なんとベッド下の引き出しから

とんでもない縛り方をされているお姉さんが表紙を飾る本が!!!


い、いわゆるエロ本が!!!!



「こ、これをやられる……!?!?」


一緒に閉まってある鞭のようなものは何!?!?

こ、これなんの薬なんです!?!?


せ、仙蔵先輩私にこれを試そうとしている!?!?!?




"私の中の何かが確実に減るセンサー"がガンガンに警報を鳴らし始め

私はコートを羽織って部屋を飛び出した。




「ん?…おい名前?」

「せ、仙蔵先輩いい!!」

「どうした、帰るのか?」

「すいません急に電話が入って今すぐ帰って来いと母親から連絡がきましてすいませんすいませんこの埋め合わせは必ず致しますので!!!」



仙蔵先輩の目を一回も見ずに

私は一段飛ばしで階段を駆け下りて靴をはいた。



まずいまずい、これは死んでしまう。

とっととこの悪魔の住む家から脱出せねば私は死ぬ!!!




と、とりあえずどうしよう!!

き、喜八郎の家にでも駆け込んで相談するべきなのだろうか!!!




バッグに手を突っ込んで自転車の鍵を探す。




が、何処にもない。







嫌な予感がする。





もしやこれは、









− ジリリリリン




黒電話の音に着信音を設定しているのは、私のケータイだ。

反対側の制服に手を突っ込み、

ディスプレイを確認すると


『仙蔵先輩』の文字。





「……も、し、もし…」











《 なにを見た 》




「…ッ!!」








怖すぎだろ!!!!

一発目の台詞がこれかよ!!!!



「…いや、あの、」


《 お前の家まで、此処から自転車で1時間だったな 》


「…は、い…」


《 歩いて帰る気か? 》




ゆっくり、ゆっくり、振り返り、

三階の仙蔵先輩のお部屋がある場所を見上げる。




窓には、私の自転車の鍵を振りながら

100万$の笑顔で私を見下ろしている

立花仙蔵様の御姿が。








《 名前、私を怒らせたくはないだろう? 》



「………嘘をついて、大変申し訳ありませんでした…」








母から連絡とか、ありませんでした。








《 名前、帰る前に、私と話をせねばならぬことがあるな? 》



「…は、はい…」











《 今すぐに、私の部屋に戻って来い 》



「……御意に…」






















こうして私は世界に別れを告げた。



















すぐにその場を離れましょう






ただし逃げられる相手かどうか判断しましょう

選択をミスすると取り返しの付かないことになります
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