『ふっは、疲れたー…』


机にうつ伏せになり息を吐く空夜、それに緩く口角をあげている前橋。


「まああんだけはしゃいでれば疲れるだろうな」


そう、あの後空夜はらしくはなく本当の子供のようにはしゃいでいた。いつも無駄に冷めているのに、これには前橋も少しばかり驚いていた。

はしゃぎすぎ疲れたのか今はお店の近くのパラソルで休憩をとっている。

その時、


ぐうぅ、


小さな唸るような音が二人の間に響いた。うつ伏せているために顔は見えないが耳が赤いのは分かる。

それにくすりと小さく笑う前橋、ガタリと椅子を引く音に不思議そうに目だけを前橋に向ける。



「買いに行ってくるな」


わしゃりと撫でられた頭と共に告げられた言葉に気恥ずかしくなり空夜は消え入りそうな声でお礼を言った。


『……あざっす』











「(意外に空いてたな)」


前橋の手には袋、その中にはニパックの焼きそばがある。
意外に空いてたな、等と言っているが実際は結構並んでいたが前橋の「どくよな…?」オーラに皆が譲っただけだ。だが前橋にしてみたら【空いていた】ことになるのだ。とんだ暴君だ、よい子は真似しないで欲しい。



『……いや無理ス』


ふいに聞こえた声、それは前橋が愛して止まない声。そちらに目を向ければチャラチャラした三人組が空夜を囲んでいた。それだけでも前橋の沸点を押すのに、男たちは――




「つれねーとこも中々そそるぜ」


触れたのだ、空夜に。

ぶわ、り、前橋からただならぬオーラが洩れる。近くを通りかかった男は「ひいっ!」と何とも情けない声を出した。



「…テメェ、これ持っとけ」

「え、?」

あ゙?


即座に土下座をするその人、その人の反応は正しかった。見知らぬ男にいきなり袋を渡されても戸惑うしかない、が、前橋にとったらしったこっちゃない。むしろ「俺が言った事に即座にはい、て言えばいいんだよカスが」的な思考、なんとも理不尽な。



そして前橋は得意技の飛び蹴りを繰り出した。




Summer Summer
(男たちがどうなったかは言うまでもない)


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引っ張りだしもの、


 


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