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…ああ、やっぱ地獄だから暗い…くない!
えっ、ちょっちょっ、
眩しっ!!眩しいから!!
もう最期ぐらいゆっくりさせろやァアアアア!!!
『ん、ぎゃぎゃぎゃぁああああ!!』
…………、うん?あれ、今赤ん坊の鳴き声が聞こえたような、うん?
どちらかというと近場で、いやどちらかというと私の喉で、いやどちらかというと私の腹底から…………………………………………………………………、
うん、言ってない、言ってないよー。
こら、そこ。自己暗示とか言うなよ!
これはー、そのあれだ。自己催眠だ、うん。変わらないとかそういう質問は生憎受け付けてないよ。
と、とりあえず、もう一度喋って見れば夢か現実かわかる、…はず。…なんか分かりたくない気がしてきた。
がんばろ、私。落ち着いてー、落ち着いて。ヒッヒッフーだ、ヒッヒッフー。…て、違う、どこの出産だ。
大きく口を開いて、せーの、!
すう、
『ふぎゃぁああああ!!ぁああああ!!』
私の出産だったぁああああああ!
確かにどこの出産だよ、とはツッコミはしたがこういう返しが欲しかったわけではない。どうしよう、頭が痛い。
「ふふ、ほら目を開けてごらんなさい」
ちょ、おま。白衣の天使まじ空気読めて。むしろ私が読むべきなのか?読んで目を開けるべきなのか?
暫く(私ひとりの)葛藤が続いてると何故か周りが騒つき始めた。ちょ、なんだ、どうしたの?
「医院長!こ、この子、さっきから目を開けないんです…!も、もしかしたら、」
もしかしないから。
というか私のせいか、私のせいだったのか。いやでも誰だって直面したくない現実ってあるでしょ?私は生まれてすぐにその壁にぶち当たってるんだよ。…生まれてすぐにって言ってる時点でもう半ば認めちゃってるんだけどね。
「…先生…っ!、この子は、大丈夫なんでしょうか、……っ」
……それにこれ以上、は、母親に心配かけれないし。(母親って何か言いにくいな、だってこの人は私の母であって母ではない)いい加減現実を見ようとしよう。
重たい瞼をゆっくり、ゆっくり、
持ち上げたら、
涙を流す、綺麗な生母が居た。
生まれ変わりました
(…ちがう、この人はちゃんとした私の母親だ。)