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「レギュラー以外は各自の練習に戻れ」
真田さんがそう言うとレギュラー以外は散るように去っていった。
そして私はため息を隠すことなく吐き出した。敵視するのは一方に構わないけどもうちょっと隠したらどうなんだろうねえ。大体私は実力でテニス部入部の許可と(不本意ながらも)レギュラーの座を奪いとったんだから恨まれる義理はない。
『…お門違いもいいところだっつーの』
「そう言ってやるな。あいつらも急なことにまだ受け入れられないだけだろう」
どこぞの自称二年生エースを含めてな。誰かに聞かせるわけもなく呟いた言葉が拾われた。まさか拾われるとは思ってもおらず少し驚く。
『…あ、さっきの人』
「柳 蓮二だ」
横をみれば私より30cm以上あるだろう人。首が痛い、縮め、もしくは縮め。
私の思いが伝わったのかは知らないけど屈んでくれた、…それはそれで屈辱感がある。
「ふむ、ざっと見たところ身長は149、9」
『150です』
「いや、149、きゅ」
『じゅう、です』
「……………………」
『…なんスか、その哀れんだ目は』
確かこの人普段開眼しない人だよね?え、わざわざ私をそんな目で見るために開眼したの?目潰しするぞこの野郎。
「お前、ちっせぇな」
どすん、と頭に来た重み。眉を顰めながら目を上に向ける、微妙に目に悪い色が見える。というか誰がちびだ、誰が。
「…こいつもお前には言われたくないだろうな」
「なっ!どういう意味だよぃ!」
『当たり前じゃないですか、ちびにちびなんて言われたくないス』
本音を隠すということを知ってるようで知らない私は私の頭に腕を乗せてくる人を見上げながら紡いだ。ついでに重い、と。
するとその人はひくりと頬を引き攣らしていた。
「…あ、赤也以来の生意気な奴だな」
「…ああ、なんか苦労する予感がする」
生意気、誰のことを言っているのかは皆目見当がつかない。まず私じゃないのは確かだろう、私はこれ以上ないぐらい素直で(自分に)従順だ。…おい、何だその目は。とりあえず何かをメモる柳先輩は無視しよう。
「ま、俺は丸井ブン太。仲良くしてやるよ、」
『別にいいです』
「おい、ジャッカル訂正だわ。赤也より生意気、そしてとてつもなくねじまがってやがる」
『やだなあ、褒めないでくださいよ』
「落ち着けって!ブン太!その物騒に上げられた手を下ろせ!!」
顔に影を落とし片腕を上げ今にも襲いかかってきそうなま、丸い豚…?っていう見事に容姿に当て嵌まる名前の人を羽交い締めにする煮卵とぱちりと目があった。
『えっと、煮卵さん。あざっす』
「お前本当に失礼だな」
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