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あれから何分、何時間たったんだろうか。分からない。ただ、私の体力はもう尽きかけいるのだけは分かった。
「貴様、思ったよりやる、なァッ!」
『これで私の入部も決まったと同然だ…ねッ、!』
「ぬかせっ!!!」
喋りながらもラリーを続けているが、正直いって気を緩めたら足が笑いそうで倒れそう。
『ッ、ア、ンタ、息、切れてるよ!』
「き、さまもなっ!」
互いに息が切れひゅうひゅう、とどちらかは分からない、もしかしたら互いにかも知れない乾いた息が静寂したコートには響いた。ギャラリーは増える一方だけど、応援なんてしていない。ごくり、と生唾を呑む音は聞こえるけど、ね。
――この真田 弦一郎、やっぱり3強、そして皇帝と呼ばれる強さがある。
だけど、この試合
『勝たせてもらうよ!!』
今はタイブレークのアドバンテージ。後1ポイント取れば私の勝ち。すう、と精神統一のように息を吸いゆっくり吐き捨てくっ、と前を見据え――!
ガッ、と飛んできたボールを容赦なくフレームに当てる、勿論その時に縦回転をかけるのを忘れない。
これは、越前リョーマの技ではない、――私自身の技。
「なっ…!」
「何だあの数っ!」
「ボールが…!!」
所々で驚愕の声が上がるのを耳にしながら私はボールを見続ける、
.......
分裂したボールを。
そのボールは私が放った瞬間、いくつものに分裂したかのようにコートに広がった。しかし流石皇帝、真田弦一郎どれが本物のボールが見切ったように他のボールに見向きもせず一点に向かっていくが、
『ちがう』
それは本物じゃない。
「何ッ!?」
真田 弦一郎が追い掛けていたボールは真田弦一郎がラケットを振り翳す瞬間消えた、それを見てそのボールが本物ではないと分かった真田 弦一郎は慌てて横を見るとそこには一つのボール。分裂したかのように広がっていたボールはまとまったかのように戻ったかのように一つになっていた。
「ッ届かんかぁああああ!」
素晴らしい反射神経で右腕を左に持っていきそのボールを打とうとする、
「っしゃあ!真田副部長っ!これならいけ――!?」
が、そのボールは嘲笑うかのように忽然と消えた。私はすっと腕を伸ばし真田 弦一郎を、否、正しくは真田 弦一郎の後ろを指差した。
『流星、』
ぽとり、と静かにそれは真田 弦一郎の後ろに落ちた。
驚愕一色という奴らに私は勝ち誇ったようににんまりと笑った。
『私の、勝ちっス、ね…!』