「で、結局お前は何が言いたいんだ?」


……分かってるくせに聞くとか結構な性格してるね。口元の笑みが隠れてないよ、ま、隠すつもりもないんだろうけどさ。



『私、部員として男子テニス部に入りたいんだけど』


苛立ちから低くなった声でそう言えば柳蓮二以外の目が大きく開かれた。柳 蓮二は予想通りだとでも言いたげな表情。私は然程気にせず前を見据える。



「…貴様、何を言ってるのか理解しているのか」


…何かこの人の言い方には苛立つものがある。というかさっきから苛立ってばっかだし私。これでもあんたたちより10云年生きてるから頭は――…良くはないけど!常識はあるんだから。




『先輩も知ってるっしょ?ライセンスの話し、』

「…ほう、お前さんはあのライセンスを取得したちゅーんか?」

『まあ、』


今まで傍観していた仁王 雅治だっけ?(10云年も立ってるから主要人物以外あまり覚えてないんだよなぁ)とりあえず仁王 雅治が、確か柳生 比呂士の肩に腕を乗せ意味深げに笑みを彫った。


女子の中には実力が男子にも勝らず劣らずの選手が少なからずいる。そのまま女子の中にいたら才能が埋もれてしまう、力を持て余してしまう。故に中高公式テニス会で作られた【ライセンス】。勿論誰でも取得できるわけでもない。受ける事さえ招待状を貰わなければできないのだから。ライセンスを取得した人も定期的に受け直さないといけない、無論実力落ちたならライセンスは剥奪。厳しいかもしれないが男子の中で戦うなら当然かもしれない。そんなライセンスを私は取得している。


取り出した(カード式の)ライセンスを口元に置いてにい、と笑みを描けば真田 弦一郎は顔を顰めた。私はそれに表情を落とす。



『…その顔、認めれないって感じだね』

「わかっているなら去れ」


前から思ってたんだけど笑えないのかな。…ま、笑ったら笑ったで気持ち悪そうだけど。こう皺がくしゃって寄って。


つーか誰が帰るかよ。私はあんな恥ずかしい学校が優勝なんて嫌だからね。



そんな事かよ、と思う人は思うかもしれないけど私的には結構重要な事。だってさ、賞状とか授与する40、50のオッサンが「優勝校…青春学園」とか言うんだよ!?

可哀想じゃね?青春なんて頭の髪と同時に去りました。みたいな人が青春学園だよ?!
聞いてられないよ!…笑えて。


(私だけ)話しが逸れてしまったので仕切りなおすようにコホン、と小さく咳き込んだ。


『じゃあ、テニスで決めようよ』

訝しげに眉を寄せる真田 弦一郎に構わずテニスバックから取り出したラケットの先をすっと真田 弦一郎の顔面に向ける。


『アンタが勝ったらテニス部入るの諦めるよ。だけど私が勝ったら』



ぎゅ、とグリップを持つ力が強まるのを意識しながら私は、


『――…認めてもらうよ』




口元を三日月に歪めた。
それに驚いたように目を張ったがそれは一瞬で真田 弦一郎は直ぐにふと口角を上げた。



「…いいだろう、その勝負挑んだ事後悔するんだな」



…笑えるんじゃん。



入学しました
(ま、勝つのは私だけど?)






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