やっと3歳になりました。
ああ、本当やっと3歳になった!みたいなかんじ。自我があっても体は思うように動かないからこの三年間毎日ぼー、としてるだけだった。
テレビはお母サンがいらない気を遣っておとうさんといっしょなんて見せてくれて、うん、本当いらない気だよ。いやおかーサン優しいし美人だし美人だから別にいいんだけどね。
まあそんなのはまだマシ、…おかーサンの乳飲むときなんて恥ずかしいのなんの。嫌がればおかーサンは悲しがるし、激しい葛藤の毎日。
おとーサンがおむつ替えようとしたときなんか羞恥は無かったけどこうイラッてきたから無邪気にお腹を蹴ってやった。
その時「み、ぞおち…はいっ…た」とか聞こえたような気がするけど、知ぃらなーい。吐いてたように見えたけど私のせいじゃないよ、うん。
―――そして、そんな私は今、その親父にテニスさせられています。
………何で?いや家に引きこもるよりはマシだけど経緯を教えてくれ。渡されたラケットのグリップを握り閉めるも小さな手ではラケットは掴めず呆気なく地面に落ちる。カラン、軽い音が響いた。
おとーサンの方を見れば爽やか笑顔で壁打ちをしており私の視線に気付けば若干どや顔で此方を見てきた。
あ、いらっときた。
『おとーサン…キライ』
ケッと悪態を吐き唾を吐き捨てながら地面を蹴る、すると蹴り放った砂が目に入ったのが痛そうに目を擦るおとーサン。っしゃあ!やーい、どや顔するから悪いんだよばーか。
今までの報復と言わんばかりに石を投げれば本気で痛そうだったから流石にやめた。
「いってて、どこでんな遊び覚えたんだか。…つーか反抗期かぁ?にしては早くね?…てか俺が何かしたかっ…?」
考え込むように眉を折りこちらを伺ってくるおとーサンを見て思わず手が出た、うん。本当思わず。
ぺちん、
「いた!…いや痛くはないが。つ、つーかぎゃぁあああああああ!反抗期いいいいいい!バイクで走りたい年頃なの!?まだハンドルも掴めねえよ?!てか三輪車越していきなりバイク!?」
…何か喚いてるけど、いいや。 放置プレイってやつだよ、うん。