サソリ | ナノ
かちゃかちゃ。私の視界で大好きな赤い髪が揺れてる。その瞳は私の足となるものをいじって今骨だか腱だかよくわからないものとそれをくっつけている。久しぶりに見たサソリさんの姿は相変わらずきれいできれいで素敵なものだった。久しぶりなのにちっとも私と目を合わせてくれないけれど。今日はとうとう私の腕もちょこちょこ違うものととりかえっこするらしい。これまた久しぶりに腕が指が思ったとおりに動いてくれる。もうすぐこの腕ともお別れかあ。なんの意味もなく手をぐーにしてみたりぱーにしてみたりしているとふいにサソリさんがこちらに瞳を向ける。正確には私の腕に、だけど。きれいな指が私の左腕に触れた時どきんと私の心臓がなった。つぷ、と私の肌に尖ったチャクラが刺さってそのまま下に動くとその動きに合わせて私の血が溢れ出す。痛いはずなのに痛いと感じなかった。サソリさんのお薬のおかげかな?それとも痛さに慣れただけ?そんなどうでもいい赤からもう一度サソリさんに向き直ると、いつもより近いところにサソリさんのきれいな顔があった。うっとり。きれいだなあ。なんの感動もせずに私のからだと腕を切り離す茶色の瞳がきれい。自然と頬が緩んでしまう。触れたい。そう思うと同時に私の自由な右手が動いていた。ずっと憧れていたものに手を伸ばせば触れられる。私の左腕がごと、と切り落とされると同時に私の指先はサソリさんのまぶたに触れた。予想外の行動に少し驚いたのかサソリさんは少しだけ目を見開いて私を見た。ああやっと見てくれた。今日は足も腕も失ったのに私の欲しかったもので満たされてく。幸せ。私の指先はそのままサソリさんの目玉を引っこ抜く。作り物のそれはちょっと力をいれれば思ったより簡単にとれて私の手のなかに小さくおさまった。やった。そう呟くと同時に私は台の上から落ちてごろんごろんと転がり壁にぶつかって止まった。からだのいろいろなところが欠損してる私は立ち上がることもできずにそのままうずくまる。うずくまったからだの下でそっと手のひらの中を覗くと茶色い瞳が私を見ていた。よかった、なくさなかった。ずっと欲しかったもの。ずっとすきだったもの。いつの間に近づいたのだろうサソリさんが私のからだを蹴って仰向けにさせ、そのまま踏み潰す。ごきごきとあばらの辺りで音がした。ぼやける視界でサソリさんの姿を探すと片方の瞳だけを細めてニヤニヤ笑っていた。笑ってる。サソリさんが笑ってる。私も嬉しくて笑った。返せ、というように指が私の指に近づいたから私は急いでその手のひらの中身を口の中に放り込んでごくんと一生懸命飲み下した。ずいぶん久しぶりにのどに何かが通ったから私ののどはびっくりして何度も吐き出しそうになったけどうぐうぐと必死に飲み込んだ。私のからだは幸福に包まれる。サソリさん大好きサソリさん大好きサソリさん大好きサソリさん大好きサソリさん大好きサソリさん大好きサソリさん大好きサソリさ
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