イタチ | ナノ




「うわーん!!」
「仕方ないだろう、」
「うわーん!!」
「父さんも母さんも急に任務が入ってしまったんだ」
「「うわーん!」」
「……はあ」

12月24日。今日はクリスマスイブ。たくさんの家の窓から温かい光と楽しそうな笑い声が漏れる中、泣き叫ぶ双子のステレオ攻撃に心底困ったように眉をハの字に下げるお兄さんの姿がありました。どうやらこの三人の兄弟のご両親は、急にお仕事が入ってしまい、クリスマスを一緒に過ごすことが出来なくなってしまったようです。突然の残念なお知らせにより、クリスマスを家族みんなで過ごすことをとても楽しみにしていた小さな姉弟はそれはもう大騒ぎ。仕方がないこととは言え、子どもの大イベントと言えるクリスマスの予定が急に変わるということはそれはもう一大事でしょう。幸い、お仕事が入ることがなかったお兄さんは、ふたりをなんとかなだめようと必死です。

「あ!ねえサンタさんは?」
「…う」
「サンタさんは来るんでしょう!?」
「…も、もしかしたら…遅くなるかもしれない…な」
「…」
「…」
「…」
「「…うわーん!!」」
「(…どうすれば)」

何よりも溺愛するふたりの幼い夢を壊すわけにはいかない、兄さんは考えました。このままではらちがあかないとちょっとトイレといいふたりのもとから離れたお兄さんは、おそらく両親がプレゼントを隠してるであろう部屋にこっそり忍び込むと、そこにはなんと赤と白の服。これはまさにサンタクロースの衣装!この家にはサンタがスタンバイしているのでしょうか、そのサンタクロースの服ををぶらんと広げ、いたたまれない気持ちになったのか、お兄さんはひそかに目頭を押さえました。そこでお兄さんは閃きました。本来サンタになるはずだった親バカな父の代わりに自分がサンタになろう、と。サンタクロースとは明るく陽気で慈愛に満ちた目で子どもたちにプレゼントを配る外国の謎の白髭のおじいさん。計画は完璧でした。

「メリークリスマス!」
「わっ!」
「だれ!」
「わしはサンタじゃよ!さあきみたちにプレゼントをあげよう!」
「兄さ」
「サンタ」
「兄さんた?」
「サンタ!」

少し怯えたように見えたのは気のせいでしょうか、ふに落ちないようなふたりはなんとかプレゼントを受け取り、サンタが何者なのかなどはすっかり忘れプレゼントに夢中。どうやらお兄さんの計画は大成功、今までわんわんと泣いていたかわいい妹と弟があまりにも天使のように笑うものだから、お兄さんは堪らなくなってふたりをぎゅうっと抱きしめました。

「兄さんた大好きっ」
「大好きっ」
「ふふ、」

雪がしんしんと降り積もる中、三人はぬくぬくと仲良く一緒に眠り、それはそれはとても幸せな夢を見ましたとさ。おしまい。


101224
ブラコンシスコン親バカなうちはでした。見所はクールの殻を破る兄さんたです。製作時間が過去最短…
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -