aph(希…風)



(風化風葬:デフォルトはリナリア)


 思うに、彼女はその琥珀色の眸に遠い昔の彼女自身と、映した、映していた人たちを塗り込めてしまったしまったのではないだろうか。樹液が太古の生命の欠片を閉じ込めたように。そして、宝石へと変えてしまったのだ。内包した思い出を後生大事に抱えて、今も眸に映し出している。そこに自分が含まれていることを嬉しく思うと同時に、彼女にとっての自分がいつまでも子供であることがたまらなくもどかしい、きっと、自分がそんなことを考えているだなんて彼女…リナリアは、想像だにしないのだ。かといって、その宝石へと昇華された思い出を無残に砕くこともできない、抜け出せない。「ギリシャ、」ふわ、と俺を呼んで笑う眸に映る自身の姿に眉を寄せる。爪弾きにされた想いは彼女にとって異物でしか有り得ない。


琥珀の中で蹲る蛹(固まった樹液から羽化できないまま、)



2012/06/17 12:01






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