少女を連れて歓楽街を歩く。まさか、自分の下手なナンパについて来てくれるとは思わなかったので、俺は少々困惑していた。少女はふわふわとした足取りで視線をあらぬ方向へ向けていた。
 正直、どこへ行くあても決まっていなかった。彼女のあまりにもオープンで衝撃的な発言に、自分の中に燻っていた性欲も失せてしまったので、ホテルに行く事も躊躇われた。
 そんな自分の心情を知ってか知らずか、彼女がおもむろに口を開いた。

「ねえ、お兄さんの家に行こうよ」
「はっ?」
「何となくねー。それにホテル代も浮くでしょ?」
「あー…うん、いいよ、それで」
 ああ、そうか、彼女は自分と援助交際をするつもりでついて来たのだった。今、自分がもう女を抱く気分ではなくなったと言えば、彼女は帰ってしまうだろう。彼女が帰ってしまうのは構わないのだが、今は一人になりたくない気分だった。


 マンションに着いて自分の部屋に入ると、彼女はわお、と声を上げて楽しそうに笑った。

「結構綺麗な部屋に住んでんじゃん」
 部屋に入ってすぐに目につく所にあるベッドに思いっきり飛び込む。俺はその姿を見て、まるで子どもみたいだなぁと、どこか他人事のように感じていた。
 少女は手近にあったテレビのリモコンを手に取り、テレビのスイッチを入れた。深夜である為、通販番組や下ネタを連発するトーク番組があるだけだった。

「お兄さん、先にシャワー浴びる?」
「…や、言いにくいんだけどさ、俺、その気無くなっちゃったんだよね」
「…ふうん?」
 俺の予想に反して、彼女は俺の言葉を聞いても先程どさして変わらない態度だった。少女はベッドから上半身を上げると、別にいいけどその代わり、と言葉を続けた。

「ここの部屋にあたしの事置いてくれるならいいよ」

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