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「お嬢さん、申し訳ないが...俺は積極的な女子よりかは、儚げで今にも崩れ落ちそうな未亡人の方がタイプなんだ。だから、こういうのは遠慮願い」


「...そうですか、それは大変失礼致しました。それでは、するつもりはなかったのですがこうしましょうか。...午前11時32分。攘夷派過激浪士...桂小太郎。小姓組番頭、苗字名前の名の下、逮捕します。」


「え。」


またあの銀時の馬鹿がチャンバラをしたらしく、絶賛入院中だとか。そういうのもあって、見舞いに病院に訪れると...急に腕を捕まれ、人気のない通路の中に入れられた。

しまいには、整った顔をした女子に流行りの"壁ドン"というものをしてやられ..."俺も罪な男だな"と思っている最中に、"ガシャン"と手錠をかけられる始末。


「オイ、娘...今、小姓組の"番頭"と言ったか?...おかしい。番頭は確か...ハゲのおっさんだったは...貴様!まさか!カツラか!?俺は騙せても他は騙せんぞ!...はーっはっは!"カツラ晒しの小太郎君"とは俺の事...、」


「はいはい、"桂"は貴方ですよー。ちなみにそのハゲおっさんは"先代"にあたりますし...もう引退されました。なので、私が"現役"の番頭ですよ。」


苗字名前と名乗った娘は、右腕にギプスをはめているというのに...器用に俺に手錠をかけた後に、そのままズンズンとそれを引っ張りながら...入って来させられた方向とは逆方向に引っ張っている。


「何ィ!?...いや、でも確かそんなことを言っていた奴が居たような...オイ、エリザベス!お前、なんか覚えて...なんでそんなに遠い所にいるんだ!エリザベス!こっちに来い!いつもの看板も何書いてあるのか分からんぞ!?」


「あの謎の生命体は"エリザベス"と仰るのですね。貴方を追いかけてきたはいいものの...ここは細い通路ですから、そのまま挟まってしまったようですね。あ、看板には"あばよ、桂"って書いてありますよ。」


「嘘をつくな小娘!俺のエリザベスがそんな薄情な奴ではない!!...って、あれ?エリザベス?どこへ行くんだエリザベス!?置いていくな!エリザベスゥゥゥ!!」


「あらあら、そのままバックして帰られましたね。捨てられた看板には、"今日までの給料はちゃんと振り込めよな。"って書いてあります。ペットかと思ったのですが...雇用関係だったのですね。」


「だから嘘をつくなと言ってるだろ!?...俺のエリザベスはそんな事を言わん!何故なら、俺に従順に躾てあるからな!今はそう...作戦だ!お前から俺を解放するためになんらかの作戦の途中なんだ!...ちょっと待ってみろ!」


引っ張られる手をなんとか逆の方向に向けて、小娘を立ち止まらせた。"はいはい、少しだけですよ。"と言って、俺の指示に従う小娘...腕時計を眺めながら待つことしばし。

うむ...この娘が番頭となったのか。どこかの家元か?...いいや、そんな情報一切なかった気がする。大体、そんな情報を得ていたら忘れるわけがなかろう...というぐらい、綺麗であり可憐でもある顔立ちをしている。...あれだな、銀時がいかにも好きそうな顔立ち...、


「はい、3分ほど経ちましたが動きがないようなので...そのまま連行しますね。」


再びグイッと引っ張られ、足が自然と動いてしまう。"待て"と言っても、"先程充分待ちましたよー"と言いながら突き進む小娘...だが、それは病院の出口でもなければ通用口でもない。あからさまに病室に向かっていて。

"坂田銀時"やら、銀時と共に過ごす仲間たちの名前が書かれた病室の前で...小娘は俺を手錠から解放した。意味がわからずにそのまま手首を奴に差し出したままのポーズで固まっていると...再び手錠を俺に向けようとするものだから、バンザイと言わんばかりに手をあげた。


「貴様!どういうつもりだ!?...我らは敵同士であろが!?なんの情けのつもりだ!?...はっ!まさか貴様の狙いはエリザベスか!?エリザベスが俺に刃向かっているのは、貴様のせいだな!?」


「あなたのペットの粗相を私のせいにしないでいただけますか?それに狙いがあの生物ってどういうことなのでしょうか...今の私が、あのとんでもなくこの世に"不必要"なあの生物が、"必要である"と見えるのでしょうか...あれですね、坂田さんに"ヤらせろ"と言われるぐらい腹ただしいですね。」


「オイ、待て。エリザベスについてなんて言った?..."不必要"?"必要"?...ん?..."坂田さん"...貴様、銀時と知り合いか?」


ペラペラと溢れ出てくるものに、脳内の処理が追いつかずにいたものの...知っている名前だけははっきり聞こえ、それについて問ただそうとしたが...もうそこには小娘の姿はいなかった。

今までのやりとりは"なんだったのだろうか"と思いながら、銀時の病室に入ろうとすれば...さっきまでいた小娘が中から出てきて、"お見舞いの際はこちはの通路を使用してください。あちらは幕府の者たちが彷徨いていますよ"と言って、"それでは"と言って去っていった。


3話 何曜日のエリザベス?


(あの小娘はなんだったのだろうか...オイ、銀時見舞いに...なんで病院に居て、そんなに負傷しているんだ?顔、へこんでいるぞ?)
(...たった今、どっかの毒女に殴られたからだよ。...っとになんなのあの女ァ!いきなり"あなたの事を思い出したので"とか...めっちゃ"きゅん"ってきたのに、きたの"ボカッ"なんだけど!?)
(やはりあの小娘と知り合いだったのか。しかも"きゅん"だと?...銀時、お前...、)
(ち、ちちちちっげェし!!た、たた確かに?ちょっと?"いい女"って?思ってるけど?...べ、べべへ別にそ、そそそんな風に)
(心臓も悪いのか!!?確かに俺たちはおっさんだが、まだそんな歳では)
(悪いのはお前の頭だろうがッ!!)





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