｢なァ、ぱっつぁん...顔と身体がドストライクで、めちゃくちゃセックスしたいのに...中身がとんでもなく毒製造機な女ってどう思う？｣
｢...はい？｣
｢あー...悪ィな、ぱっつぁん。ぱっつぁんは童貞だもんな。...いいか？今後のお前のためにも教えてやるがァ、セックスというのは...女のマン｣
｢そっちじゃねェェェ！！大体、童貞なめんなよ！？童貞っていうのは、やけに知識だけいっぱい頭にあるけど経験がな...ど、どどど童貞ちゃうわ！！｣
いつも通りに万事屋にやって来て、いつものように朝ごはんを食べたあと...毎度の如くぐうたらと過ごす銀さん。僕もソファーに座って、お茶を啜りながらのんびり過ごしていたんだけど...急にふられた話はとんでもないものだった。あ、ちなみに神楽ちゃんは定春の散歩...、
｢つまり、銀ちゃんはその女に恋をしているアルか？好きで好きで堪らないってことアルか？｣
｢バッカ...ンなんじゃねェよ。ただ、俺はあの名前チャンとセックスしてェんだって。...あれだよあれ、オスとしての生存本能？名前チャンに俺の子を産んで欲しい的な。｣
｢なるほどアルなー。...銀ちゃんもこれでも男...男の生存本能である"生殖"に、銀ちゃんの銀ちゃんが名前とかいう女に反応して...セッむぐっ。｣
｢神楽ちゃァァァん！？女の子がそんな...セッ、...とにかく！そんなこと言ったらダメ！！｣
いつの間にか帰ってたのか...いいや、帰っていたらしく...話が分かっている神楽ちゃんが銀さんの訳の分からない話に頷いていた。定春の散歩を終えたらしく、見回したら定春がいて...目が合ったら"ワン！"と言っていた。
｢...今の反応見たァ？...やっぱり童貞ね。あの反応は童貞そのものよ。｣
｢ほんっと、あんなんだからいつまで経ってもチェリーなんだって...気が付かないのかしら。｣
｢あら、神楽...それは言い過ぎよ。新八だってあれでも地べた這いつくばって生きていんのよ。生き恥よ。｣
｢まだ16歳で童貞だのチェリーだの言わないでくださいますかァァァ！！？大体、僕は童貞じゃ、｣
｢銀時ィ！アンタに客！｣
ヒソヒソと手を前にして、女子トークのような茶番を始める2人に...ちゃんとツッコミをしようとしたところで、下の階からお登勢さんの叫ぶ声が聞こえて...それに銀さんが"うっせェ！ババァ！2階に来いって言えやボケェ！"とか言う銀さんの頭を、全力で僕と神楽ちゃんが殴った。
なにせ久しぶりのお客さんだ。こっちだっていつから給料をもらっ...あれ？むしろもらったことあった？とか思いながら、2人で階段の上から顔を出して..."ようこそ万事屋へ！"と声を合わせるも、もうそこには見知った顔しかいなかった。
｢あれ？お登勢さん、お客さんは？｣
｢外出て2階に上がるってさ。｣
"行くアルよ新八！"という神楽ちゃんの声に同意して、そのまま万事屋に戻れば...そこには銀さんの姿はなくって。廊下を抜けた玄関にその背中はあった。
｢大体、客だァ？...こっちは取り込み中だァ、また出直して｣
｢私の方こそ、出所したあなたの経過観察のために...わざわざやって来た身です。これだから逮捕とか余計な仕事は｣
女の人のこえがしたと同時に、銀さんは玄関を閉めていて。そこに"なにすんのネ銀ちゃん！折角の金ヅルネ！"と銀さんの首に跨って首を絞める神楽ちゃんを横目に...僕は玄関を開けようと力をこめるも、銀さんの閉めようとする力が強くって。
だけど、少しだけ開いているというか...彼女がねじ込んでいた靴との隙間から手が伸びてきて...玄関は開かれた。そこから中に入ってきたのは、肩まで伸びた黒髪に藍色の瞳...それと同じ色のパーカーを羽織り、黒のショートパンツに膝丈のブーツを履いた女性で。
｢会話を遮らないでいただけますか？...汚くてキモくて臭くて空っぽな頭のクソ変質者であり、クズ野郎の坂田銀時さん。｣
にこやかな顔とは裏腹に、ベラベラと溢れ出てくる毒に...僕はさっき銀さんが話していた話がフラッシュバックした。もしかして、この人...銀さんが言っていた人...？
2話 増えていくK
(もしかして銀ちゃんが言っていた女でアルか！？...銀ちゃん、前屈みになってるのは勃っ)
(勃ってねェェわ！！テメェが首を絞めてっからだろォ！？)
(経過観察で見に来たのに、まさかお亡くなりになるだなんて。こんな4Kな坂田さんが居ない世界だなんて...よほど素晴らしい世の中になりますね。嬉しいかぎりです。)
(4Kってなにィ！？もしかしてさっきの汚いとかのやつですかァァァ！？...っつーか、さっき6Kまであったでしょうがァァァ！)
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