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「...あら、これは別枠ですかね?...宇宙海賊春雨...第七師団副団長様ではございませんか。春雨の方がこんな所に何用ですか?」


「おいおい、なんでこんなとこに軍人様が居るんかねェ...ここは幕府黙認の場所じゃなかったのか?すっとこどっこい。...ガキを渡せ。」


「...やはり別枠のようですね。私がお護りするのは、茂々様ただおひとりなので...皆さん、自分の身は護って下さいね。」


それは突然だった。抜け道とか言っていたこの場所に...神楽と同じ日傘をさした野郎。いいや、雰囲気からしてかなりヤバい奴が向こうからやって来て。それに名前チャンが、"下からも来ますよ"と言えば...下から銃撃が襲ってきた。

晴太を護るように逃げると、見事に下から突き抜かれた傘に腹が命中する。向こうを見れば、月詠がクナイで立ち向かうも...見事に敗れていた。ちょんまげのおっさんと、ハゲみつあみのおっさん...夜兎が2人か...部が悪すぎる。


「名前さん!?月詠さんが...!」


「名前!離すね!...銀ちゃん!晴太ァァ!」


「どうせ鳳仙と殺り合う羽目になるのですから...ここは、一旦退きますよ。晴太君、私たちが到着するまで...頑張ってくださいね。」


月詠に反応する新八に、俺のことと晴太を気にする神楽...その手を名前チャンが取った。晴太はハゲみつあみにもう捕まっていて...明らかに場面は不利に変わっていて。それをいち早く察知した名前チャンがここから退こうとしていた。

...そこに気配を感じた。それは名前チャンも同じらしく、あの言葉とは裏腹に神楽たちを背中に回し...腰の刀に手を伸ばし上を見上げた。


「邪魔だ...どいてくれよ。言ったはずだ...弱い奴に用はないって。」


「これはこれは...団長まではるばる起こしくださるとは。...それに、私たち」


"初対面ですが"という言葉と同時に、上から落ちてくる包帯を巻いた男が...振り下ろした傘の衝撃波が襲った。必死に神楽と名前チャンの名前を呼ぶも...その衝撃波の威力でなにもかもかき消されて。おまけに崩れゆく地面。

月詠が崩れる中、ロープをハシゴに括りつけてくれて...それにそれぞれが連なるように手を取る。そこに上から神楽と名前チャンが落ちてきて...それを俺がキャッチすれば、重みに耐えきれず...近くの家屋の屋根の上へ落ちた。


「いててっ、皆さん大丈夫ですか?」


「神楽!しっかりしろ!!オイ!!」


声がするから新八は大丈夫なんだろう...んで、月詠もすぐ近くにいたから無事は確認できた。瓦礫の中から神楽が差し出され...その神楽は意識を失っている様子だが、身体は大丈夫そうだ。残るは彼女だが...、


「...全く、痛いの苦手なんですよね。...でもまぁ、あの状況で皆さん打撲で済んだようですし良かったですね。」


「護るのは将軍様だけじゃなかったのか?」


瓦礫の中から現れたのは名前チャンだ。神楽を護るように立ち回っていたのを知っている...それに今だって、瓦礫に押しつぶされねーように神楽を見てくれていた訳だ。...そうとなると、気になるのはさっきのセリフだ。気になったから聞いてみた。


「まずはそこはお礼を申し上げるところでは?...と言いたいところでしたが、それはお互い様なのでいいではありませんか。」


「あ?どういうことだ?」


「坂田さんが私を抱き抱えてくれたではありませんか。あれがなければ、私も神楽ちゃんも打撲では済みませんでしたよ。」


"ありがとうございます。"とニコリと微笑みながら言ってくる名前チャン...調子が狂う。いつもは毒しか吐いてこねェ女、見かけだけの女だと思っていたのに...こうもなんか...、


「でもまぁ、鳳仙と殺り合う前に戦力を失う訳にはいきませんでしたし。月詠さんと坂田さんは大丈夫だと仮定しました。あとは、神楽ちゃんは夜兎というブランド持ってますし...新八君は、はっきり存じ上げないのですが...なんかそこに居ました。」


「...え、待って。僕はそこに居ただけなんですか?...名前さん!僕はこれでも道場剣道を」


「メガネはさておき、坂田さん...神楽ちゃんのことをどれくらいご存知なのでしょうか?」


新八の言葉を遮り、"メガネって言ったなァ!?"とツッコミをする新八を他所に俺に問いかけてくる名前チャン。"どういう意味"なのか口を開こうとすれば、月詠が"とにかく間を隠せる場所に移すぞ"と...気絶する神楽が居る俺たちは、素直に応じた。





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