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「苗字、経過観察」


「名前姐、唐揚げあげまさァ。あの店主...クマのくせしていい腕してますぜィ?めっちゃ見た目に反した味付けでさァ。」


「...苗字、経過観察」


「あ、本当だ。あんな強面なくせに、唐揚げなのに上品というか...あんまり油っぽくなくて美味しいね。...味噌煮も美味しいの。食べて食べて。」


目の前で繰り広げられているOLのランチ会。...というのもいつもと同じ流れみたいなもんだ。夜勤明けの苗字が、俺に"お昼一緒に食べましょう"と誘ってきやがって...こっちとしても、奴の経過観察の件があったため...了承の返事をした。

...で、指定された店に行けば、いつものように総悟がいて...いつものように俺の前に2人が座って、いつものように2人仲良くキャッキャッと飯を分けながら食べていて、いつものように俺を蔑ろにしている。


「だァァかァァらァァ!!なんで毎度毎度俺と飯を食うっつって、俺は総悟とのイチャコラOLランチを見せつけられる訳ェェ!?...大体、総悟!テメェは巡回があんだろ!!?」


「んなもん、名前姐の誘いを断るわけないでさァ...なにせ俺が尊敬している名前姐ですぜィ?巡回だなんて下衆の土方さんに...あれ?なんで巡回を代わってくれた土方さんがここに?...サボりですかィ?...死に方は死に方らしく、死に方として死ねやィ。...つまり、」


「なにが"つまり"だ!?最初から最後まで"死ね"っつーこーことだろッ!?...それにな!代わった覚えねェんだけど!?テメェはただのいつものサボりだろうがッ!!...この苗字とかいう、毒女尊敬する前に、まずは"下衆"じゃなくて、テメェの直属の上司である俺を敬ったらどうだァッ!?」


「誰が毒女ですか?...全く。私は正直に物事に対して物申しているだけです。...大体、サボり魔であるあなたがそんなことを言う資格なんてございません。...死に方さんは死に方さんらしく、死に方さんとして死ね。...分かりにくいですね、何が言いたいかというと、つまり...、」


「「死ね、土方。」」


...なんでテメェらは"さすが"とか"やっぱり"と言った顔をして、互いの顔を見合わせた後に、手をパンッとハイタッチしてんだ?...そんで、なんでまたOLのランチ会に戻ってんだよ。とことん腹のたった俺は...力みのあまりボキッと割り箸を折って、バンッとテーブルを叩き立ち上がった。


「なにが"正直"だァ!!?大体、サボり魔はテメェの横に座ってる総悟だからなッ!?俺がお前を飯に誘えば、必ずついてくる総悟だからなッ!?」


「当たり前です。私が総悟君を誘っているのですから...それくらい上司であるあなたが仕事を代わればいい話ではないですか。上に立つ者として、それくらい当たり前ではないですか。」


「だったら、もうテメェから飯に誘われても俺行かねェからなッ!?どうせ総悟と行くんだしィ!?ひたすら毒を浴びせられるだけなら...仕事の方がマシだっつー話だ!俺は総悟の仕事を代わりにやればいいんだろ!?」


「私は土方さんを誘っているのに、どうしてご飯に来ないのですか?私、土方さんより上官ですよ?上官の命令が聞けないだなんて、万死に値しますね。上官というよりも私の命令を聞けないだなんて...、」


「「死ね、土方。」」


...ハチャメチャ過ぎだろ。どこの世界のジャイアンだテメェは。まだあの世界のジャイアンはいい...映画になったら、手のひら返したみてェにいいジャイアンになっから。そんな様子は目の前の女から微塵も感じない。

...おまけにそれにのっかてくるのは勿論総悟だ。また2人は顔を見合わせて、ハイタッチをして...またランチ会...もう俺は疲れた。もうどうでもいいと思いながらら、俺は"はぁ"と溜息をつきながら席に座って、再び飯を再開した。


「あー...夜勤明けの経過観察とかめんどくさ...しかも相手があの坂田さんだし。以前も連絡なしに伺ったし、今回もそのつもりなんだけど...いるよね?見るからに暇そうな人だし。」


「あんなの無職と同じなんで、居るに決まってまさァ。...っにしても、名前姐大丈夫ですかィ?あの万事屋の旦那の経過観察にまた赴くって...先日、あれほどセクハラされたというのに。」


「...テメェらは一通り人を貶さないと話ができねェのか?なんで毎度俺をコテンパンにした後に...普通に本題に入るんだ?」


散々人に"死ね"だとかほざきながら...俺が最初から思っていたことについて...散々人を蔑ろにした後に始まんだよ。そういう病気か?





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