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「オイ!止めろ!!そこまでしなくてもッ!!」


「...さすが土方さん、お止めになるのですね。ですが、ここは佐々木の首を撥ねる事に賛同した方がよろしいかと存じ上げます。」


「だが...、」


「私はここにいる見廻組...加えてあちらの知恵空党の奴ら、全員を殺すことが可能です。なので、佐々木が一橋派であり...徳川一派である私たちに反抗するために...これらの事を運んだという事にし、その咎を払うために佐々木の首を撥ねた事にすれば...、」


"万々歳ではありませんか。"と続ける苗字に、覚悟を決めたと言わんばかりの佐々木が目を閉じた。苗字の正体が分かり、どういった経緯でこの幕府に入ってきたのかも...あの覚悟の裏の背景が見えたこの一件。

しかも、何故あそこまで"関わりたくない"と念を押してきたのに対し...あっさりそれを認めたのかっていうと、それまた俺たちの存在があるからで。コイツは、将軍の創る未来に全てを懸け、そこに自分は居なくてもいいと考えている...そして、そこには俺たち真選組は存在必要だと思っているらしい。


「...何故首斬りを辞めた?...それほどまでにお前にとって苦痛だったってことじゃねェのか?だったら、」


「...苦痛というよりかは"好奇心"です。好奇心で首斬りをしていましたし、私は"できた人間"でも"優しい人間"でもありません。...なので、不必要なものは"処分"することに大賛成です。」


再度、刀を構えて首を撥ねようとする苗字の腕を掴み...留まるように話をするも、"ましてや貴方が恋焦がれるような人物ではないのですよ"と言いながら...俺の腕を払い除け、素早く刀を高くあげて佐々木の首へと振り下ろした...その時、


「オイオイオイ!!確かに凄ェオーラ?みてーのがあると思えば...どうやら俺たちの先輩だったらしいぜ!しかも、天下の"首斬り抜刀斎"が...こんな可愛い顔した女...って、テメェやっぱ女じゃねェかッ!!」


「大丈夫ですよー、ヘッド。私のこと"男"だと思っていた方は他にもいらっしゃるのでー。例えをあげるとー、そちらもあなた方の先輩にあたる方でーすよー。」


「あんッ!?なに小難しい言い方して...いや、アイツとつるんでいたあの男」


佐々木の首に刃が少しだけ当たったところで、ビルの屋上にいる浪士達の声が鳴り響いた。苗字は刀を突き刺したまま、顔を上げてソイツらと会話していた。...つーか、どこからやって来たんだと思えば、どうなったら浪士たちとつるむことがあんだよ。

話を聞くに、まだ浪士達の中にこちら側の誰かがいるようなことを言っていたが...それの途中に、ヘッドと呼ばれた男に駆け寄る他の浪士。その手には紙のようなものが見えて...それを俺たちに向けると、それは見覚えのあるやつだと確信した。


「鉄之助が大事そうに抱えていたそうだ!...察するにこれはてめーらの機密文書っつー奴だろ!?なにせ、わざわざ偽名なんざ使っちゃいるが...宛先住所は見廻組屯所。こんな小細工するってことは、大事なもんってことだ!」


「きゃー!さすが我らがヘッドー!...それで見廻組なんて失脚させましょー!安心してくださーい!局長の首は、このまま私が綺麗に斬り落とすのでー!」


「っつーかお前はどういう立ち位置な訳!?真選組の味方っつーことは、幕府側の人間...いや?首斬りってことは、俺たちに潜入してた訳ではなく...幕府に侵入ってことか?...あー!オイ!クソ女!よく分かりやすく俺に説明しろッ!!」


「はーい!ヘッドー!任してくださいよーッ!私は見廻組を失脚させて...あなた方ゴミクズを隈無く殺そうと企てているー...小姓組番頭の苗字名前と申しまーす!」


「何すっとぼけてんだよァ!?軍の連中は代々...小姓組を担っていた連中から選ばれるってことは俺でも知ってるぐれェ常識なんだよ!?そんな見え透いた嘘言うやつ誰が信用するかバーカッ!!...そっちがその気ならこうだ。この手紙、拡声器でご近所さんに読み聞かせてやっていいんだぜー!?」


「そんな!待ってくださいヘッド!!...ヘッドはバカなんだから、手紙なんて読める訳ありません!いいですかヘッド...手紙っていうのは、漢字というものが使われているんでっすよー!」


...オイ、コイツは女優になれんじゃねーのか?ってぐらいな先程までとは違った陽気な雰囲気。だが、"バカ"と苗字に向けて放った瞬間...にこやかな笑顔が一変。それを俺は見逃さなかったが...瞬時にこれまたにこやかな笑顔に戻った。





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