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「あんのクソ女ァッ!っとにいい性格してんのなッ!?...俺が間違ってなかったら...っつーか、あの言い方だと100%アイツだ!」


"...初恋、実るといいですね。"


病院でのあれは...アイツ自身は俺が昔会ったことのある奴だときちんと理解していて。俺自身は忘れていた...というか、実際は覚えていた。ソイツが名前チャンだったっていうことが...沖田君の写真を見て結びついた。

それは胸元下まで伸びた髪で、何故か土方を踏みつけにしながら...カメラにピースをする名前チャンの写真だった。その姿を見て、かつて出会っていたというものが一致した。


「"会ったことがある"じゃなくて、あれはどう考えても"目が合った"だけだろーがッ!人をどこまでおちょくるんだあの女ッ!」


かつての記憶と今までの記憶を結びつけながら、俺は名前チャンのいる城へと走っていた。簡単に言えば、俺の初恋が名前チャンであって...あの時の"セックス"発言から始まった俺たちの話は、本当に"初恋"だった訳だ。


「あら、銀さん、お仕事お疲れ様です。...ってあれ?どこに向かっているのですか?お家とは真反対ですよね?」


「っせェな!このゴリラ女!...今、俺はそれどころじゃねーんだよ!俺と名前チャンぶべらッ!?」


「誰がゴリラ女だ?誰が。...この私が挨拶しているのに、"それどころ"じゃないってどういう了見だ?あ?」


一刻も早く名前チャンに確認をしたいと思い、アイツのいる城に向かって走っていたはずが...どこぞのメガネの姉上に声をかけられた。まさに"それどころ"じゃなかった俺は、そのまま突き進もうと思ったが...足をひっかけられてそのまま地面へダイブした。

しまいにお妙に頭を踏みつけられる始末に...なんだかデジャブを感じたが、俺は勢いよく立ち上がって"はいはい、こんにちは!まな板女!"と丁寧に挨拶してやれば...顔面を殴られた。あぁ、そうだな...コイツの暴力的なところは名前チャンそっくり...そうだよ、んなことしてる場合じゃねェ!


「もう挨拶したからいいだろッ!?俺は名前チャンに大事な用があっから...じゃあな!」


「名前さん?そしたら方向がおかしくありませんか?だって、名前さんは新ちゃんたちとお昼を食べるって。しかも手料理」


「あ!?なんもおかしくねェだろうが...アイツ、番頭っつーことは...城に住み込み...え、手料理?それを新八たちってことは、神楽もか?...あェ!?なんか情報多くねッ!?」


ただでさえ、一致した記憶で俺の頭の中がてんやわんやしているというのに...恋人の手料理というパワーワードでそれが霞みそうになって、しまいにそれを新八だけではなく...全て食してしまいそうな神楽...いや!そんなことより俺は、アイツの...、


「名前さんはなんか急にお休みになったみたいですよ?それで最初は沖田さんとお茶しようと思ったみたいですけど..."休日くらいは恋人と過したらどうですかィ?"と言われたみたいで、仕方なく銀さんに会いに来たって仰ってました。」


「だァァァッ!!ただでさえ情報量多いのに、んな情報で俺のちっさい脳みそ圧迫しないでくれるゥ!?...ヤバい、涙でてきた。...本当になんなのあの女。男だと思ってたら、アイツだし。」


「"男だと思ってた"?...あー、確かに名前さん、昔"男と名乗っていた"って。九ちゃんは周りの環境がそうしていたんでしょうけど...名前さんはどうして...って、あれ?銀さん?」


なんか悲しい現実が聞こえたのもつかの間...お妙が言ったことに、確信が確信となって。俺は城への方向から家への方へ足を向けて再び走り出した。...やっぱりそうだ、あの時男の格好をしていた...あの時俺と出会った...あの時目が合ったのは、名前チャンだ。

街中を駆けていくと、ようやく我が家が見えて。そこには離れた名前チャンに手を振る新八と神楽がいて。ソイツらが俺の名前を呼ぶ中...俺は真っ直ぐに名前チャンの元に走っていく。


「ちょ、...待っ...!!」


ざわめく街の中、相変わらず真っ直ぐな背筋をしたまま...曲がり角に差しかかる名前チャン。そんな時、後ろ手にポニーテールの姉ちゃん。名前チャンの胸元に通りすがりの誰かが渡って...完全に最初に出会った人物が目の前に現れて。

その人物の名前を..."名前!!"と叫び呼べば、あの頃と変わった髪に胸の。すると、名前チャンは声のする...そう、ようやく手が届いた俺の方へ振り向いた。


「お前...、あの時のアイツは...名前チャンだったんだよなァッ!?」


6話 ついでとついでにしてはいけない。


(おー...休みになるなんざ、ラッキーじゃないですかィ。)
(休みを代わっただけどね。だから、どこかお茶でも行かない?あ、時間的にランチもいいね。)
(あり?いいですかィ?...こういう時って、恋人を誘うっていうのがセオリーな気がするんですけどねィ?)
(...、...、...あ、坂田さんのこと?...なるほど、なるほど。なにせ恋人というものが久しぶりすぎて...確かにそうだね。ちょっと連絡してみる。)
(...最初の間はなんですかィ?)






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