らしくないことは控えましょう/現パロ
それは、突然だった。誰が予測出来ただろうか。
今まで我が道を行くような人だったのは知っていたし、それを承知で付き合っていたのだから。
「オイ。」 「はい。」 で会話が成り立つの当たり前だし、無駄を嫌う人だから行動は最短かつ完璧にしなくちゃいけないし、潔癖性だからかキスはおろかそれ以上なんてもってのほか。…ようやくこの間手をつなぐ事は出来たけど、何にも言わないし険しい顔してたからちょっといや、かなり凹んだ。

そんな彼だって知ってたけど、私は開いた口が塞がらなかった。
私と彼はクラスも違ければ、部活も違う。
なのになんで、リヴァイは私のクラスの前にいるのだろうか。え…これ、期待していいの?けど、先生に用事とかありえるし…



「終わったのか。」

「う、うん。…誰かに用事?」

「んなわけねぇだろ。…帰るぞ。」

そう言って私のカバンをふんだくるようにしてずんずんあるくリヴァイに更に理解が追いつかなかった。
…え?誰?


「ちょ、リヴァイ!どうしちゃったの?」

「あ?」

すんごーく不愉快です。って顔でこちらを見たリヴァイ。うわぁお。めっちゃ恐い。
更にリヴァイは私の手をこれまた乱暴に繋いで昇降口まで行くと、靴を履く私を見下ろしながら待って、履き終わればすぐにまた手を繋いで歩き始めた。
いや、嬉しいんだけど、ちょっとリヴァイ、早い…っ!

「ま、待って!リヴァイっ!」

「あぁ?…これで不満かよ…。」

「ち、違うって!嬉しいけど、歩くの早すぎっ!」

あ、それか。と言って立ち止まるリヴァイだが、私はもう息切れで膝はガクガク。

「一体どうしちゃったの?」

「…お前、下級生から俺たちがなんて呼ばれてるか知ってるか?」

「?…さぁ?」

「……離婚間際の熟年夫婦。」

「あー…。」

心当たりは…ある。基本的に会話は無しでアレとかソレだけで会話してるのが多いし、リヴァイにお茶を持っていくタイミングもお茶菓子の好みも一応把握してる。
しかもリヴァイはさりげに茶葉にもこだわってるし、淹れ方だって当たり前。…好みの淹れ方知るまでに何度「不味い。」「茶の風味が飛んでる。」と言われた事か。
しかも茶器にまでこだわってんだ。この人。


「ほら、リヴァイってイチャイチャするタイプじゃないじゃない?…無理しなくても…。」

「俺だけならまだしもお前…理想の母親とか彼女にしたい女だとか言われてるの知ってて言ってんのか?」

「はい…?」

「しかも別れるの秒読みとか言ってるクズどもがいやがる。…ふざけんじゃねぇぞ。」

つまり…これって私の都合良く解釈していいのかな?
つまり、周りの男子に嫉妬して私のクラスの前で待ってたりとか私のカバン持ったりとか、みんなの前で手を繋いで帰るとかすっごくらしくないことしたってこと?
やだ、めっちゃ可愛い。よく見れば耳が赤くなってる。

「やだ、リヴァイ…可愛い…。」

「あぁっ?!…ミラっ、おまっ、」


もう、ここが校門前とか頭に無かった。
ただ真っ白な頭にリヴァイへの思いしかなくて、自然とリヴァイの首に腕を回して、少し背伸びをしてなんの迷いもなく唇を重ねていた。
あぁ、荷物持ってなくて良かったな、とかあ、リヴァイが荷物落としたとか頭の片隅で思っていると、軽く舌打ちをして

「舌、出せ。」

「…え?…ん、んぅっ、」

くちゅりとリヴァイが舌を絡めて来て、頭がぼうっとする。
リヴァイのこんなキス、初めてだ。
初めてかもしれない。キスで、腰砕けなんて…。

「…ぁ、っ、」

ガクンと膝から力が抜けるとリヴァイはその瞬間を見逃さず、すぐに膝裏に腕を回して私を横抱きにした。


「え…リヴァイ、これは恥ずかしいよ…。」

「あぁ?…テメェで煽ったんだ。責任とるのが当然だろ?なぁ、ミラよ。」

「……はい?」

「ついでに明日は土曜だしな。…安心しろ。時間ならたくさんある。」

「…嘘、だよ、ね?」

「月曜学校に来れるか楽しみだなぁ?ミラ?」

「…私の馬鹿ぁぁぁぁ!」

「その小せえ脳味噌でせいぜい反省しろ。」


そんでもって何プレイから始めたいか考えとけ。なんて私には悪魔の囁きにしか聞こえなかった。あぁ、私は月曜日に生きていられるのでしょうか…。












(やたやだもうやだぁぁ!)(ッチ。…テメェ、次は目隠しして口も塞ぐか?)(ひぃぃっ!も、や、あ、あぁっ、ん、)(やっぱりミラにはこっちのが躾に一番効くな。なぁ?)






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