それは一撃必殺
よく晴れた八月。私達は会社の同僚達で慰安旅行という名目で海に来ていた。
ペトラを始め、オルオさんやエレン君アルミン、ミカサ、もちろんエルヴィンさんやグンタさん達も沢山いる。こんなに人がいたらリヴァイさんは嫌がるかとも思ったが、なんとリヴァイさんも来てくれました!
付き合って初めての海です!同僚もいるけど、来たってだけで嬉しい!



「じゃ、私達着替えて来ますね〜。」


ペトラがそう言って女子三人は仲良く更衣室へ。それを複雑な表情をして見る者。顔を赤らめて見る者。そんな奴に睨みを効かせる者。様々だった。



「ねぇ、ペトラ…これやっぱり肌見え過ぎじゃない?」

「ええー!折角の水着なんだからこのくらい出さなきゃ!」

「ねえ…ミカサ…ってミカサぁ?!」

振り向いた先には綺麗にビキニを着こなしたミカサ。けど、そのお腹はそれまた綺麗に六つに割れていた。


「嘘…私たぷんたぷんだわ…。」

「ミラ…私も…。」

「二人ともそれでいいと思うけど…。」


「ええー!だってなんか私筋肉とか無いし…。」

「だって、抱き心地がいいもの。」


ほら、と言ってミカサは私を抱き締めた。
うわあ!うわあ!ミカサなんか逞しい!

「それに、そんなに胸が大きくて羨ましい。」

「え?そう?」

そう言って自分の水着を見た。
ペトラと選んだ(というかペトラが選んだ)水着はちょっと頑張ったデザインだ。白ビキニで紐は首の後ろで結ぶタイプ。
カップ部分はそれなりに面積はあるけど、これは胸の谷間を強調するタイプの水着だ。
しかも下も際どい。
こんな水着初めてだし、なにより似合ってないような気がするし…。

「あんたの彼氏の顔が楽しみだわー!」

そう、買った時からペトラはしきりにリヴァイさんの反応を楽しみにしていた。きっと鼻で笑って終わりだと思うけどなぁ。









「お待たせしましたー!」

「遅いぞ!ミカサ!」

「ごめん、ミラが可愛くて…」

「はぁ?……ごふぅっ!」


待ちきれなかったらしいエレンはミカサの後ろから歩いて来たミラを見て飲んでいたラムネを盛大に噴き出した。

白ビキニに強調された豊満な胸元。髪はアップにされていて、普段お目にかかれない白い項が艶めかしい。


「…きったねえなエレ…ぶふぅっ!」

エレンの後ろに居たコニーとジャンがエレンにそう言うとエレンに続き二人まで飲み物を噴き出した。
コニーに至っては鼻血まで垂れている。


「コニー君?!大丈夫?!」

そう言って倒れたコニーを抱き起こすミラ。
一瞬意識がぶっ飛んだコニーが再び目を開けるとそこにはドアップのミラ。


「…がふぅっ!」


…コニーにはそれは刺激が強過ぎた。
軽くコニーの指先は痙攣している。そんな騒ぎを聞きつけ、エルヴィンを始めとするリヴァイ達大人組がやって来た。
ちなみにそのやり取りを見ていたペトラは腹を抱えて笑っている。


「…なんか軽く殺人現場だな。」


エルヴィンがそう言うのも無理は無かった。
鼻血をダラダラたれながしてグッタリとするコニーに、必死に口の周りを拭くエレンとジャン。


「一体何が起きたんだ。」


ずっと黙っていたリヴァイが漸く口を開いた。
周りを見たリヴァイがある一点を見て目を見開いた。

「ミラ…その格好…」

「あ、リヴァイさん!」

そう言ってリヴァイに駆け寄るミラ。
可愛い。リヴァイはそう思った。そう、二人きりなら可愛い可愛いと言ってキスをして美味しく頂いただろう。だが、ここは外でしかも同僚がウジャウジャいる。


「コニー君が急に血を噴いたんです。」


それはそうだろう。自分の顔がある種の凶器だとは認識している。だが、目の前の恋人のもある意味殺人兵器だ。
確かに年若い彼等には刺激が強過ぎるだろう。その豊満な胸が強調された水着は最早凶器だ。


「その水着は…」

「ペトラと選んだんです…。似合いませんよね、すみません。」


そう言ってションボリと肩を下ろすミラ。なわけがあるか。殺人的に可愛いぞ。と言いたいが、それより未だに笑い続けるペトラを睨めばペトラはニンマリと笑った。…いや、いい仕事はしてるが。


「いや、似合っているんだが、…ガキには刺激が強いな。」


そう言って自分の着ていたパーカーを彼女に羽織らせた。…いくらかは威力が落ちるだろう。


「それを着とけ。…今日海を楽しみたいならな。」

「…?はい、わかりました。」


よく分からないと言った表情のミラだったが、素直にリヴァイの上着を着たミラ。
いくらリヴァイの上着でも、ミラが着ると少し丈が長く、袖も余っていた。


「…っ、」


今度はリヴァイが鼻血を噴きたくなった。
自分の身長が低めなのは自覚はある。そしてミラがそんな自分より小さいのだって、知っていた。だが、これはどうだろう。
目の前で此方を見上げて首を傾げる恋人の可愛さときたらやはり凶器だ。

思わずリヴァイは手で口元を抑えた。でなければ、やってられない。


「…ミラっ!」


そうこうしていると後ろからエルヴィンの声が聞こえて振り向けば、何やらエルヴィンが自分のパーカーを持って何やら息巻いていた。


「私のパーカーも着なさい!」


微妙に目が血走ってるエルヴィンは正直恐怖でしかない。


「…え、リヴァイさんのだけでいいです…。」


「いいから!所謂彼シャツだろう!」

「いや、これパーカー…」

「さぁ!さぁ!早く!」

「エルヴィンさん?!」


ミラがそう叫ぶのも無理は無い。何故ならエルヴィンはもう既にダラダラと鼻血を垂れ流していた。


「さぁ!ミラ!着なさい!」

「ひいい!」


鼻血を垂れ流して迫る大人。…恐怖どころかホラーでしかない。
思わずリヴァイの後ろに逃げ込んだ。

「リヴァイさん!助けて!」

「……っ!」


リヴァイは目の前の親友を見て泣きたくなった。けれど後ろで震える可愛らしい恋人を思えば答えは一つしかない。

リヴァイは一瞬迷う素振りを見せ、ミラを軽々と抱き上げると颯爽と走り出した。


「待て!リヴァイ!」

「待てるか!」

「せめてミラを置いていけ!」

「変態にミラを渡せるか!」

「変態で何が悪い!」

「開き直るのかよ?!」


砂浜で追いかけっこをする中年といい年した恋人達。
同僚達はどこか渇いた笑いを浮かべ、散り散りとなった。
それが夕暮れまで続き、エルヴィンとリヴァイの体力が尽きるまで続けられたのは言うまでもない。











今日はビキニの日らしいのでビキニネタです。

















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