煌びやかな光の中、沢山のフラワーシャワーを浴びて。一歩踏み出せばそこは夢の舞台。
誰だって憧れるアイドル達。そんな彼らのスケジュール管理を主に行う…いわゆるマネージャーである私ことミラはこのKTKプロダクションに所属するマネージャーだ。
私はエルヴィン社長に渡された書類に目を見開いた。
「…え?この新人のマネージャーですか?」
「あぁ。ミラの腕を見込んで頼みたい。そのかわり一人担当を減らそう。」
「ありがとうございます。…けど、SIN☆GEKIですか。まぁ、女性受けは良さそうですよね。さっそく営業かけてみます。」
「あぁ、頼むよ。いろいろと個性的な子達だからミラが指導してくれたら助かるよ。」
「わかりました!挨拶から徹底的に指導してみせます!」
「やっぱりミラに担当を回して正解のようだね。」
「いやん、エルヴィン社長ったら!褒めたってやる気しか出ないですよ!」
「なら、もっと褒めなくてはね。」
そう言ってエルヴィン社長はニッコリと大人スマイルをした。あぁ、今日も笑顔が眩しいです。エルヴィン社長!
もっとエルヴィン社長と居たい気持ちをグッと抑え、私は社長室を後にすると手元の資料に再び目を落とした。
SIN☆GEKIはどうやら三人のアイドルグループだ。仔犬スマイルのがエレンくん。眼鏡をかけた中世的な顔立ちのハンジ。…え?ハンジの性別が不詳?まぁ、ミステリアスな雰囲気で売るならアリ、かな?
それで、センターのめっちゃ目付きが悪いのがリヴァイ。ふうん、彼がリーダーか。けど、なに、これ。めっちゃガン飛ばしてない?しかもこれ雑誌の紹介欄だよね?だったらスマイルだよね?なのにガン飛ばすって…。
ま、まぁとりあえず挨拶云々よりスマイルの練習ね、彼は。アイドルにとってスマイルは基本中の基本!すぐにエレンくんみたいな笑顔になってもらわなきゃ!…この目付きで笑顔ってちょっとした凶器にもなりそうだけど…。
そう思いながら、彼らの名前が書かれた控え室前に立つと深呼吸を一つ。…よし!
「おはようございまーす!」
そう言って入った中はとても異色だった。
ハンジは何か雑誌を見ながら興奮してるし、エレンくんは一生懸命に鏡を拭いてるし、リヴァイは腕と足を組んでエレンくんを睨みつけていた。
「えーと、今日からあなた達のマネージャーのミラです。今日のスケジュールはざっと言うとあと一時間後に雑誌のインタビューと軽い写真を撮ってその後は移動でボイスレッスン。その後はデビュー曲の打ち合わせになります。」
しーん。あ、エレンくんだけはこっち向いて聞いてた。
「えーと、みんな聞いてた?」
「は、はいっ!」
「エレンくんはオッケーね。いや、他の二人…。」
そう言ってそうっとハンジの肩を叩けばハンジはガバッと私に振り向き、興奮しながら私に向き合った。
「ちょっとミラ!この巨人特集すごいよ!もしかしたら巨人には感情表現があるのかも知れない!ただでさえ行動が読めないのに感情表現があるとなるとそれは凄い発見であり今までの常識が覆されてしまうんだよ!」
「…は?巨人…?」
「いやぁ、しかし巨人の爪とか落ちてないかなぁー。もういっそ毛髪でもいいよ。あ、毛根付きがいいなぁ。」
うっとり、とハンジは頬を染めていた。いや、可愛らしいとは思うけどハンジの口からでる言葉に頭を抱えたくなった。…巨人って?
ダメだ。ハンジは今話にならない。なら一番話が通じそうなエレンくんに…と思い、振り返るとなんとエレンくんはリヴァイにお尻を蹴られていた。
「な、何してんの?!」
「あぁ?」
「アイドルの資本は体!なのに蹴っちゃダメでしょ!めっ!」
そう言ってリヴァイに人差し指を立てて言ったらみんなキョトンとしていた。ハンジもいつの間にかこっち見てるし…。
何でだろうと思い、リヴァイを見た。私よりは大きいけど多分160くらいだよね?しかもアイドルってんだし私より年下の筈…。
しかし、リヴァイは私の頭上でヒクヒクと顔を引きつらせ、ニヤリと笑った。…めっちゃ怖い。
「女…てめえ…。」
エレンくんに向いていた体をくるりとこちらに向けて、リヴァイは私の頭をガシッと掴むとまるで身長を縮めるかの如く上から下へと力を下ろした。
「痛い!痛い!痛い!縮む!これ以上縮んだらヤバイから!」
「あぁ?…躾に一番効くのは痛みだって知ってるか?なぁ、ミラよ。」
「知ってたまるか!ってかマジで痛い!縮むから!マジで縮むから!」
ギリギリとそれはそれは頭が砕けるんじゃないかってくらいの力で頭を握られ、しかも上から下へと力を込められたら流石に涙目になる。
「ったくピーピーうるせえな。」
いやいや、あなたがやってんですからね?!
そう思っているとポイッと頭を持たれて投げられた。
この人投げた!人のこと投げた!
キッと睨みつけるとガンッとお尻を蹴られた。
「どうやらこの駄犬は主人が誰かわからねえようだからしっかり躾する必要があるなぁ、ミラよ。」
「ひぃぃぃ!」
「幸いな事に時間はあるしなぁ?」
「いやぁー!」
ところ変わって社長室。リヴァイはエルヴィンと久しぶりに対面し、優雅に午後のティータイムを楽しんでいた。
「そういえばリヴァイ、ミラはどうだい?なかなか頑張り屋ないい子だろう?」
「ミラ…あぁ、ミラか。あぁ、あれはなかなか見所があるぞ、エルヴィン。」
「そうか、よかったよ。なかなか君のマネージャーは長続きしないからね。やっぱりミラに任せて正解だったかな。」
「まさか一日もしないうちに服従するとはな。あれはなかなか見所があるぞエルヴィン。誰が飼い主で誰が犬なのかわかっている。」
「…リヴァイ、」
「いや、もう少し手がかかるかと思ったが思いのほか素直な性格で助かった。」
ニヤリと笑うリヴァイを見てエルヴィンは後悔した。あぁ、ミラをあてがったのは失敗だったと。
するとリヴァイの携帯が鳴り、携帯越しに聞こえるミラの声が最早悲鳴となっていた。
「(すまない、ミラ…。)」
エルヴィンは胸の中でそっとミラに謝った。どうか願わくはミラが倒れないようにとエルヴィンは思い、目を閉じた。
電話を切ったリヴァイの表情が柔らかったのは誰も見てはいなかった。
やからしました!アイドルパロ\(^o^)/
アイドル設定が生きてないアイドルパロ!
けど後悔はしていない!むしろ楽しかったです(^ω^)