兵長と年の差婚 | ナノ


ごほ、と咳込み未だに軋むように痛む膝を撫でながら深く布団を被る。
寒暖の差が厳しくなってきた今、風邪に気を付けろとリヴァイに言われたばかりなのにミラは見事に風邪をひいてしまった。しかも幼い頃から風邪をひくと熱が高くなりやすい体質のせいかたかが風邪とミラの場合は笑えなかった。
熱は上がりやすく、喉も腫れやすい。上がりすぎた熱のせいか体は熱いのにガタガタと震える。
今朝もしきりに心配するリヴァイを何とか見送ったまではよかったが、高熱と怠さでリヴァイが玄関を閉めた瞬間にへたり込み動けなくなる始末。いくら風邪をひいているからと言ってリヴァイを見送らない理由にはならない。二人の生活のため、リヴァイは毎日働いてくれている。ならば妻である自分がせめてリヴァイが安らげるようにしてあげなくては。
ほんの一瞬でも心休まる場所でありたい。だからこそ風邪なんかで家事を疎かにするなんてミラには考えられなかった。
リヴァイには「せめて風邪ひいてる時はまかせろ」と言われたが、一度甘えてしまえば次が生まれてしまう。彼に甘えたい気持ちはもちろんあるが、甘える所は間違ってはいけない。だからこそミラはリヴァイの申し出を断り、フラフラと朝食を作った。さすがに手伝いはお願いしてしまったが。


さて、いつまでもここに座っている訳にはいかない。お洗濯に食べた食器の片付け、部屋の掃除。ああ、天気がいいから布団も干してしまいたい。
一日の流れを考えながらフラフラと立ち上がり、手始めに洗濯機を動かす。そして洗濯機が動いている間に食器を洗い、布団を干してしまう。


しかし、高熱の身に家事は辛いもので。
布団を干してミラは床にへたり込んでしまった。


「ちょっと、五分、だけ……」


そう言ってそのまま床に寝転び、ゆっくりと目を閉じた。
















やはり、心配だった。リヴァイを心配させないように健気に笑顔で送り出すミラだが、その身体はかなり辛いだろうと感じていた。
昨夜も何時にもまして「寒い寒い」と言ってぎゅうぎゅうと抱きついて来たのだから。
しかし抱き締めた身体は熱く、息も切れ切れ。心配になって触った喉はやはり腫れていた。
真面目なミラの事だ。恐らく無理をしているに違いない。

だからこそ、出勤したはいいがやはり心配になって有給を使って休む事にしたのだ。
届けを出されたエルヴィンは目を見開いていたが、理由をしっかり話せばあの人の良さそうな笑みを浮かべていた。


「しっかり看病してあげるといい」



そう言ったエルヴィンに「助かる」と言ってそそくさと会社を出る。

甘えたいのに甘え下手なミラ。幼い頃の環境のせいか誰かに頼る事が下手なせいで今朝のような事になる。
酷くなっていなければいいが。そう思い、急いで会社を出た。

風邪をひいた時の甘え方というのをしっかりと叩き込んでやるか、などと人には見せられないような笑みを浮かべ愛する妻のもとへと急ぐ。


床でぐったりと倒れているミラを見てリヴァイが驚くまであと15分。
そんなミラに「風邪をひいたら汗をかくと早く治るぞ」ともっともらしい事を言って押し倒すまであと、25分。












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