弄られ症候群2
背後でバリンと音が以下略
例のごとく反射的に装着したゴーグルと、ポケットから取り出した小型酸素ボンベで生きるすべを確保
今日も出ました、時速60kmからなる殺人体当たりオルカアタックです。
クリック音(獲物を麻痺、または気絶させるために発する音なんです)で動きを封じてからでないのだけ、まだマシと言えますが
突然の巨大生物の登場に、普通の魚達が逃げ惑う
そりゃそうだ、だって♂のマッコウ鯨を除いて彼を恐れない生きものなんて、海にはほとんど存在しないといっても過言ではないですからね
「ざがばだざん」
彼の名を呼ぶと、聞き取れたのか、四つの目がちらりとこちらを見る
黒いマントみたいなものが水流で揺らいで、白いスーツを見え隠れさせていた
「ナガレ、悪いが付き合ってもらうぞ」
「ばだじごどがのごっでばずぅぅ」
「あの化け物からの命令だ」
サカマタさんは、館長を化け物と呼ぶ
プライドの高い彼からしたら、やはり人間の下で働くなんて嫌なんだろう
ましてや館長もあの性格だからな…
今日も溺れさせられたあとですしね!
「どごびいぐんでずがぁ」
「あの化け物が魔力のズレを感じたらしい。その場所までだ」
でら急いでいくぞ。と、一度水槽から引き上げられるが、水族館の裏へ引っ張られていく
水族館は沢山の水や餌を必要とするため、物資の確保の為に海に隣接して作られることが多いです
それはここも例外でなく、つまりは彼の目的地は無限に広がるそこであると推測される
「げほがほ…サカマタさん。まさかとは思いますが、海を渡るつもりで?」
ちらりと送られた視線にすべてを悟る
「待ってください、せめてまともな酸素ボンベをあぁぁぁぁ」
ザボン!
着水までの僅かの間に、身投げする人の心境の解析を行い現実逃避した私に拍手
ちなみに、目的地までサカマタさんの愚痴を聞いてましたよ
彼が人間ならハゲてるんじゃないでしょうか。
☆☆☆
ちなみに酸素ボンベを持たせないのは、館長の命令です←
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[mokuji]
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