見た目と中身
何やら大所帯で揉めているのを見付けてか、ツタージャを肩に乗せた少年も合流した
なんとか涙をおさめた少女達に、心なしかぐったりとしたメガネ少年がゆっくりと息を吐く
なんていうか、巻き込まれ体質なんだろうな
第一声がめんどーだけどと始まってはいたが、本当に面倒だったならそもそも関わらない
正義感が強いというか、責任感が強いというか…
取り敢えず言えることは、馬が合わなさそう。
「えっと、チェレン、これはどういう状態なの?」
みんなが無言を貫くのを見兼ねてか、ツタージャ少年が尋ねると、メガネ少年ことチェレンとやらは、俺を睨み上げて、あなたが説明してくださいと威圧的に言い放った
まぁ、それが一番早い
泣き止んだとはいえまだしゃくり上げる女の子を喋らせるのもあれだし
メガネ少年のチェレンはそもそも状況を聞きたくて巻き込まれにきたところだ
要約してポケモンが奪われたこと、その犯人を追ってきたことを伝えると、チェレンの目の色が変わった
「なんでそれを早く言わないんですか!ベル、どっちに行ったの、覚えてるでしょ」
まくし立てられたベルが答え終わるか否かで、飛び出していくチェレン
クールそうな見た目なわりに、熱いタイプらしい
あっという間に遠退いていく背中を眺める
『――。』
「ん、あぁ」
パートナーが行こう行こうと促してくるが、下手に今プラズマ団と関わって、一般人に、自分はプラズマ団団員宣言などしたくはない
どうしたものかと悩んでいると、ツタージャ少年と目が合う
「あの、カナタさん」
「なにツタージャ少年」
「……いえ、僕はチェレンを追い掛けます。ベル達をお願いします」
何かを聞きたそうな、変に煮え切らない態度ながら何も言わず、チェレンを追い掛けて走っていく
その肩でツタージャが俺を訝しげに睨んでいたが、気にしないことにした
都合の悪いことは、考えないのが吉だ
…ところで、半泣きの少女二人を道路のど真ん中で連れている俺って、また不審者に逆戻りしてね?
☆☆☆
「…カナタさんってポケモンを助けるためにここまで追い掛けて来たのに、この先には行きたく無さそうだった。何かあるのかな」
彼を見たときの違和感をツタージャに話すと、
『あいつは何か隠してる気がして、気に入らない。』
と鼻を鳴らす
悪い人では無さそうなんだけどな
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