進め、走れ

さてどうしたものか

育て屋で助けると言った以上、追い掛けねばならない

が、悪役は同士であり、俺は正義ではない。つまりは俺も悪役なのである

俺の手を引いて何やら訴えるパートナーが、同士が逃げたほうを指差して鳴く

『――。』

「取り敢えず進むか…」

幸いここらは一本道、見失いもしないし、難なく追い込める地形だ

同士をある程度まで追い掛けて、その近くにいたトレーナーに押しつけて逃げちまえば良い

自分で救うだなんて考えはあいにく毛頭もない

今更、正義面する気はないし、出来るとも思わない

現在の状態で、隠れ蓑を無くして生きては行けないのだ

今プラズマ団を敵に回すのは得策ではない

それでもいつもより大股で、早めに流れていく景色は、意識してない部分で焦っているのだろうか

王子様ならともかく、同士達のポケモンに対する扱いは優しくない

夢の煙を手に入れる際、暴力に頼ったのが例だ

育て屋に預けたトレーナーに信頼が置けるのかと問われても疑問だが、目の前で暴力をふるった奴らよりはマシ…だといい

気付けば走りだし、見えもしない背中を必死に追っていた

過去を後悔しちゃいけない

やった事を忘れちゃいけない

自分の幸せを望んじゃいけない

ポケモンを不幸にしちゃいけない

いろんな「してはいけない事」の中に

「彼らの幸せを願ってはいけない」なんて項目はないはずだから

なんに対しては知らないが

「間に合え」

視界が歪んだのは、目に入った風が痛いから。



☆☆☆
今までの後悔は星の数…

「したいこと」と「したらいけないこと」

どちらが多くて反比例してんの?

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