独り言
飯を食べ終え(少年の分は俺の奢りだ)レストランを後にする
少年はムンナが気になるらしく、もう一度様子を見てから次のジムのあるシッポウシティに行くんだと
腹が膨れた手持ち達がボールの中でいびきをかいているため、1人でのんびり町中を歩き、育て屋のある方へ向かう
俺の同士がどっかで他人からポケモン巻き上げて布教活動に勤しんでいるというのに、平和なものだ
だが不思議と、あの胡散臭い布教も見事に心の隙間に入り込んでくるのだ
そりゃ、+より-の揺さぶりのほうがでかいだろうさ
俺みたいに後ろめたい思いを持っているならなおさら
「例えば…」
ポケモンバトルが弱い。上手く育てられない。暴力を振るったことがある。
進化したら愛情を持てなくなった。言うこと聞かない。気に入らない。
ホントウニトモニイキテイケルノ?
地面に転がっていた空き缶を足の爪先が触れた
カラカラと転がり、残った中身を撒き散らす
「ポケモン強くしてさ、負けなしならそれはポケモンの強ささ。トレーナーが強くなれるわけじゃねーのよね」
ヨーテリーと笑いながら走っていった女の子を見送りながら、近くのごみ箱に缶を捨てる
「あんなガキでも、幸せそうにポケモンと暮らしてんのに。なぁ?」
俺の独り言に、あいにく答えてくれる奴は、今はいない
☆☆☆
「王子様に焼林檎を渡したのは失敗だったな…」
空を飛ぶが出来ないのはものすっごく辛いということを
しばらく旅なんかしてなかったし忘れてたよ…
育て屋が遠い
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