誕生日と、仕事人!
「やぁ、こんにちは」
いつものバトルサブウェイに、今日は懐かしい後ろ姿が一つ
「…何してんだN」
どのトレインに乗るのか迷っていたのか、円形のサブウェイ内の淵に沿い、くるくる回っていた緑のフサフサに声を掛けたのだが
へにゃんと笑ったそいつは珍しく一人のようで
いつものジャローダ連れた友人はどうしたのよ
聞く迄もなく察したらしいNがまたへにゃんと笑う
「今日は狂助に会いに来たんだ」
「狂助呼ぶな…って俺?」
自分を指差せば、コクコクと大きく首を縦に振るN
「一体何よ」
なーんとなく嫌な予感がするんだが
「トモダチの誕生日って何を上げたらいいの?」
あぁ、なんかピュアな目が痛い
「オタマロ達にも聞いたんだけど、あまり参考にならなくって」
君ならとても良い意見をくれるかなって思ったんだけども
と笑ったNに、メロリスとふぅすけが飛び付いていく
『狂助はねぇ、とぉぉってもぉぉ照れ屋さんだからぁ』
『物をあげたりするのも苦手だから、あまり参考にならないとボクは思うよ』
二人が何を言ったか知らないが、碌でもないことだろう
ほら、Nが笑ってやがる
「プレゼントとか考えるだけ無駄だと思うぞ」
あいつの一番欲しかったものはお前なんだし、それは叶ったんだから
「物とかじゃなくって、自分の思い出の場所に連れていってやるとか、そーゆーのが嬉しいと思うぞ、あいつは」
そう言ってやると、Nは不思議そうに俺を見つめた後、にっこりと笑った
「狂助、今すっごくやさしい顔してたよ」
その顔、そっくりだ
と誰かは告げず、嬉しそうに笑ったNの腕のなかで、メロリスとふぅすけが何故か誇らしげにしていた
『狂助はぁ、とってもぉやさしいよぉ』
『ボクらのトレーナーなんだから!』
☆☆
『すーっごい照れ屋さんだけどぉ』
『度が過ぎた照れ屋だけど!』
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