上中下と、仕事人!
先に連絡を入れたためか、ギアステーションの入り口で、見慣れた白と黒のペアルックが並んでいた
変な話、仕事着で地上に出ているボス達は見慣れないのだが…
隣でガブリアスのボンちゃんに乗った少年がそわそわしている
そういや、電話しかしたことなくて、顔は知らないんだっけか
「ほら、あの二人がノボリさんとクダリさんだよ」
そう教えてやれば、急に緊張してきたのか、地面に下りてボンちゃんの背中に隠れてしまった
ボンちゃんは首を回して、その様子を穏やかに不思議そうに眺めている
「アタル、ようこそおいでくださいました」
ノボリさんがボンちゃんの後ろを見やり、優しく頬を緩ませる
アタルと呼ばれた少年が、顔を紅潮させておずおずと首から上だけを背中から出すと、ボンちゃんが小さく笑った気がした
「はじめまして、でいいのかな…ノボリ兄さん」
ゆーっくりと出てきた少年をクダリさんが一瞬の早業で抱き締める
「ボス、そろそろその抱きつき癖、治したほうがいいですよ」
「それで治れば苦労はしておりません」
ノボリさんが隣でため息を吐くのを見ながら、少しクダリさんから距離をとる
ハグはごめんだ
ボールの中でふぅすけとメロリスが笑っている
「アタル、話しはするけど逢うの初めて!思ってたより小さいね!」
「小さいって…まぁ平均より背が低いのは認めるけど、ひどいよクダリ兄さん」
身を捩って腕から抜け出した少年は、ボンちゃんの背中に避難し、それを見たクダリさんはケタケタ笑い、こちらを見る
「アタルを案内してくれてありがと」
いえ。と言いつつ、ふぅすけを出して抱きしめ、防御の姿勢をとると、さらに口角をあげるボス達は絶対にSだと思う
そういえば紹介がまだでございました。と真顔で手を打ったノボリさんの手が、俺を指す
「アタル。紹介します、彼がこちらで働いてみえる駅員の狂助様でございます」
「いや、ボス、俺は狂助って名前じゃ…」
「あなたが噂の狂助さんだったんですか!」
興奮したかまた紅潮した頬で笑う少年は可愛い
可愛いが…
「いやいやいや噂のってなんですか」
「強いサボり魔って教えた」
「クダリさんんん!?ただのニート見たいな言い方しないで下さいよ!!」
「サボり魔なのは事実でございます」
「あー、いやー」
ボス二人に打ちのめされ、ふぅすけを抱えなおして顔をうめる
事実だが、何言ってくれちゃってんの…
「やっぱり狂助さんは想像どおりの人ですね」
兄さん達も!と笑った少年が、同性なのに可愛すぎて困った
恐らくこの人達の血筋は美男美女ばかりなんだと思う
「マジでどんな想像されてるんだよ」
疑問は残るが、聞くのは怖い
☆☆☆
「ところで狂助様、仕事は大丈夫でございますか?」
「へ?あ、遅刻だぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「アタルの案内してくれたから、狂助の遅刻無しにしてあげるね」
☆☆☆
ノボリとクダリの間でアタル、上中下。
てか、狂助空気(笑
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