サボりはダメよ、仕事人!

サブウェイの入口の階段を手前に、柱にもたれるようにベンチに座りながら、思わずもらす溜め息は重い

「どうしてこうなった」

いつもサブウェイ内にいるジャッジさんが風邪を引いたらしい

そこまではまぁいいのだが

『だって、狂助個体値見られるもん』

メロリスが笑いながら膝の上を転がる

それに可愛いーと声をあげる女性トレーナーを見送りながら、溜め息

「ジャッジさんの代わりて、そもそもあの人ここの職員だったのか」

『最近採用されたって、朝礼で言っていたじゃない。』

君、立ったまま寝てたけど。と呆れたように続けたサクマは、本日はバトルが出来ないとあってか暇そうだ

背中の炎も消えていて、つまらなそうに伸びたお腹を撫でると、擽ったいと逃げていく

「てかジャッジていくら貰えんのよ」

『一目みて正確に解るんだし、たぶんすごい才能だよ。高いんじゃないの?マスター』

飛び出し抱きついてきたアーリズを受けとめながら、ふぅすけの綿毛を枕代わりに寝転ぶ

もぞもぞと枕が身動ぎするのを手で押さえて、帽子を目深にかぶる

「まぁ、有給休暇と思えば、」

悪くない、と続けようとしたのだが

「ねぇノボリ!僕、狂助のサボり見つけた」

「狂助様…さすがに職務中に睡眠をとられるのはいかがでございましょう」

わぁ、ノボリさんの溜め息が鮮明に聞こえました☆

サクマが威嚇するのを宥めながら、早急に体を起こす

抱えたアーリズを力んで潰したらしく、呻き声が聞こえた

「狂助、慣れないことするとすぐに疲れてサボるから、ノボリと見に来たんだ」

やっぱりサボってたね

笑いながら頭を撫でてくるクダリさんの後ろで、ノボリさんが静かに溜め息

「狂助様、もう少しだけサボらず頑張って働いて下さいまし。」

誉め辛いではありませんか

怒られると思ってたら、優しくそう言われ、思わず間抜けに口を開いて見つめてしまった

「狂助、照れてる?」

「狂助様、顔が赤くなっておりますが、大丈夫でございますか?」

二人に覗き込まれて、アーリズの羽毛に顔をうめる

ふぅすけも頭に乗ってきたから、俺はたぶんモコモコだと思う

「…ボス、」

仕事サボらないんで、今はあんま見つめないでください

そう伝えた瞬間、視界が白に覆われ

何故かクダリさんに抱き締められて撫で回されることになる


☆☆☆
「あ、狂助気絶した」

「…少し度が過ぎた照れ屋でございますね。」

「……。」(気絶中)

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