色違いと、仕事人!

サブウェイ内で、見慣れた後ろ姿を見つけた

つなぎの腕にあたる部分を腰上辺りで結び、長い髪を一つに結んでいる

両足の裾は布が弱り破れており、やはりモノズが噛んでいた

肩に乗ったヤミラミがこちらを向いてきぃぃ…と鳴く

「おい、何してんだ」

「あぁ、狂助!探しとったんや」

声を掛けたとたん、笑顔な変態孫娘

「ちょっと問題児がおるんやけど、助けてくれん?」

その笑顔は直ぐに苦笑に変わり、差し出したボールの中身を一向に出そうとしない

「ちょっと休憩室かどっかいけへんかな」

困った様子の孫娘の肩の上でこちらを見るヤミラミの視線が痛く、頷く

「…こっちだ」

案内するために背を向けた後ろから

「ようやったでハディス!」「きぃぃ!」なんて会話が聞こえたなんて気のせいだ


休憩室でコーヒーを飲んでいたノボリさんと一緒に、孫娘の持っているボールを見つめる

「で、どうしたんだ?」

「育て屋に預けっぱなしにされててな、預かり期間が過ぎたで親が私になったんやけど…」

ボールを開く

座っていた孫娘の膝のうえに現れたそれは

「ミネズミ、の、色違い、でございますか」

目を僅かに大きくしたノボリさんに、苦い顔で頷く

「この子、それのせいか、ちょっとやる気無くしてまっとるんよ」

なんとかなりません?と困り果てた顔を仰いだミネズミは短い腕を組んでグギュと鳴いた

「何を言うてもこの通りで、私じゃどうにもならへんのです」

ミネズミは青い目を閉じてそっぽを向いてしまい、さすがのノボリさんもちょっと眉を寄せる

しばらく思案顔で顎のしたに人差し指を付けていた彼は、微かに目線を上げて孫娘を見る

「バトルをさせてみては、いかがでございましょう?」



「ミネズミ、電磁波」

「ギギギアル、構わずギアチェンジでございまし」

「怯むな、怒りの前歯!」

「ボルトチェンジでございます!」

「屈んで避けろ!」

揺れる車内で、ミネズミが小さな身を翻せば、眩しい閃光が駆け抜け過ぎる

先程までの態度は何処へやら、イキイキと青い目を輝かせる姿は、色は違えどやっぱりポケモンらしい

孫娘に代わって指示を出しながらそう思う

元気そうでなによりだ

「ミネズミっ!」

「勝負ありでございます」

孫娘の焦った声が響き、ミネズミが目を回して倒れる

「あぁ、ミネズミ負けてもた。狂助のせいやわ」

「なんでだよ。おまえが指示してやれば良かっただろ」

「私は育て屋やで、バトルは専門外やわ」

ミネズミを抱き抱え笑う孫娘を見ながら、ギギギアルを戻したノボリさんも笑う

「さすが育て屋と申しましょうか、よく育てられております。狂助様の指示も的確でございました」

あなたもよく頑張りました。と頭を撫でられ、ミネズミも嬉しそうに鳴く

ありがとうございました。と頭を下げた孫娘に、ミネズミは不思議そうに首を傾げる

「この子とうまくやれそうで安心しました」

と笑う彼女のズボンを、やっぱりモノズが噛んでいた


☆☆
色違い記念!生意気な男の子が二匹も出た件←
狙った子が出た事ありませぬ

[ 42/554 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -