悪友は変人だっ、仕事人!

20両目とあって、来る人も少ない

さっきまでクダリさんが遊びに来ていたけど

「ボスも心配性だよな」

包帯のせいで乱れた後頭部の髪を直しながらパートナーを見上げると、口元を緩めながら

『良いリーダーはしっかりと後ろを見られる。いい職場じゃないか』

と頭を撫でられた

「…くすぐったいわ」

座席に座ったままその手を退けると、隣でミックスオレを飲んでいたサクマが意地悪く笑う

『クスクス、どっちがくすぐったいの?』

「うるせっ」

ボスの態度に対してか、オズに髪を撫でられたことに対してか。と続けるサクマは誰に似てこんな性格になったのか

真剣に考えていると、ドアが開き、目をやると知った顔があった

足元から顔を覗かせたモノズが、ズボンの裾を噛んでいたが、慣れているのか、まったく気にせず注意もせず

そいつは大きな目を細め、一つ結びの髪を揺らしながら、片手を上げて挨拶してきた

「やぁ、久しぶりやね」

「…何しに来たんだ」

「1両目から勝ち抜いて会いにきたのにひどいな。なんや、元気そうやん」

プラズマ団の一件から数日後

頭の包帯は残っているが、仕事復帰した俺は、トレイントレーナーとしてダブルトレインに乗っていた

『誰?』

君に馴々しいけど。と背中の滑らかな毛皮から炎をちらつかせ始めたサクマを宥めつつ、説明してやる

「あー、育て屋の孫娘で、変態型やマイナーポケモン好きの変態」

変態て(笑)と笑うそいつに

「育て屋はどうしたんだ」

と尋ねると、

「久しぶりに休んできたわ」

とあっさり返してきた

「アルテ、離してくれる?」

『……。』

かぱっと口を開けたモノズの頭を撫でながら、俺を見る

「ケガ、たいしたことなくてよかったやん。うちの子らも心配しとったよ」

「そいつはどうも。手持ち達は留守番か?」

「パートナー以外は新しい子の育成中」

そう笑った手を、モノズのアルテが噛んでいた

「まぁ元気そうやし、バトルしよに」

「あぁ、負けるとボスに怒られるしな。サクマ、オズ、どうする?」

『僕がいく』

『俺はいい』

一歩踏み出したサクマと、戻るオズ

入れ代わりに、メロリスが出てくる

「じゃあサクマとメロリスで」

「バトル久しぶりやわっ!いこか、ロメオ、ハディス」

投げられたボールから出てきたのは、カイリキーとヤミラミだった

「先攻をどうぞ」

仕事モードで言えば、好戦的な光が目に宿る

「マジ?ロメオ、パチリスにメロメロ!」

『はぅん!なにあのカイリキー格好良いんだけど』

「メロリス!?」

なんか色々納得がいかないんだが!

メロリスの貞操の危機を覚えたため、サクマに指示を出す

「サクマ!カイリキーに火炎放射だっ!」

「ハディス、メタルバースト!」

メタルバーストは食らったダメージを何倍かにして返す技だ

「サクマ!!」

一発KOされたサクマの奥で、ヤミラミも倒れていく

あのヤミラミは根性と信頼関係をしっかりと築いていたらしい

「私も本気やで、負けやんよ?」

「あー…」

嫌な友人に会ったもんだ

仁王立ちする姿を見ながら、お前は女かと聞きたくなった

『あぁぁあ、格好良い!僕攻撃できないっ!格好良いぃぃぃぃぃ!』

メロメロが治らないメロリスの向こうで、カイリキーがポーズを決めている

『あんなのにやられた…』

「大丈夫だサクマ、あれは仕方ない」

拗ねた顔のサクマを労りながら、次はどうしたもんかと思案する

「ロメオ、今日もイケメンやなっ」

『カイリキー素敵っ』

「メロリス落ち着け。カイリキーもウインクすんなし」

とりあえず、友人に胸は見当たらない

☆☆☆
「あー、負けたやん」

「カイリキー強いな」

「パートナーやからね。イケメンやし頼れる」

「でもメロメロって」

「あれは趣味(笑)」

☆☆☆
後の私である

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