遊園地だね、仕事人!
昼過ぎのライモンシティ
日も高く暖かい今日は確かにお出かけ日和だがな…
「どうしてこうなった」
思わず呟くと、数人の子供に囲まれて困惑顔のサクマが投げ遣りに
『君のボス達から、この前のお礼なんでしょ。一応』
てか早くボールに戻してよ
文句を言いながらも攻撃はせず、何だかんだで背中をよじ登らせてやっている姿は微笑ましいの一言だ
隣でオズも玩具にされているが、慣れたもので、子供達を背中に乗せて近くを歩いてやっている
ライモンシティの遊園地の入り口付近のベンチに腰掛けた俺に、恨めしそうな視線を送るサクマをそのままに
自販機で買った缶コーヒーを一口。間違えて買ったブラックは苦い
微糖がよかった
ポケモンしか興味のない俺に彼女なんていないのに、なんで遊園地入り口待機かと言えば
「わぁ、狂助お洒落」
「お待たせいたしました、狂助様。」
「……。どうも」
普段もだが、スタイル良し顔良しの人間の私服ってのは破壊力がある
なんだこのイケメン。
カラフルなパーカーが目立つクダリさんと、黒のベストをシックに着こなすノボリさんが、今日の待ち人だった
前のマルチトレインでトレーナーをした時、見事全抜きしたお礼として、ボスたちと遊園地に行くことになったのだ
友人?あぁ、今日はNとデートするらしいぞ
「わぁ、あの子狂助の手持ち?前、見なかった」
ニッコリと笑って興味津々といった感じのクダリさんを、ノボリさんが嗜める
「あれはバクフーンのサクマです。他の地方のポケモンで、炎タイプ…サクマ、オズ、ボスたち来たから行くぞっ」
『遅いよ…』
『……わかった』
疲れた顔で毒づくサクマとは対照的に、オズは名残惜しそうに鳴く
それを見たノボリさんが、薄ら笑った気がした
「さて、参りましょうか」
イケメンは何を言ってもイケメンだし得だと思う
クダリさんに抱き締められて困惑しているサクマを視界の端に収めながら、そんなことを考える
休日はまだ始まったばかり
☆☆☆
「狂助、お化け屋敷入ろ!ここのお化け屋敷、死ぬほど恐いって」
「え゛…いや俺は…」
「狂助様はお化け屋敷が苦手でございますか?」
「わぁノボリさんがそんなに良い笑顔なの私初めて見ましちょっと待って下さあぁぁぁぁ」
☆☆☆
ちなみに高いところも得意じゃないから、サブウェイ(地下)で働いているとか
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