意外に照れる、仕事人!

駅のホーム

いつものベンチで、手持ち全員の毛繕いとマッサージを終え、伸びをする

そして、毛繕いをした後のサクマに抱きつくと、顔を逸らしながらため息を吐かれた

『離れなよ馬鹿』

「いやー、サクマってモフモフだよな」

『いい加減にしないと燃やすよ』

「あと半日だけ」

『はぁ…』

いつも艶があって滑らかで光沢もあって完璧な毛皮は、手入れ後とあってさらに気持ちがいい

大抵照れたサクマに前髪を焦がされる手前で止めざる得ないんだけど

僅かに困惑顔のサクマの背中に、飛び乗ったふぅすけを巻き込みモフモフする

最高の癒しなんだけど

『もぅ満足でしょ』

『うふふ、ほんとにぃ僕らを抱き締めるの好きだよねぇ』

腕の中でへにゃんと笑うふぅすけに気を取られていると、サクマが腕から抜けて隣に座る

ちょっと残念

『マスター、俺も』

代わりに飛び付いてきたアーリズの羽に指を通して堪能していると、メロリスがニヤニヤしながらサクマの膝に乗っていた

『僕達とかに抱きつくのは好きだけど、抱きつかれるのは苦手なんだよね』

『へぇ』

小声でメロリスが何を伝えたのか、サクマは良いことを聞いたといわんばかりの顔

たぶん、俺には良いことじゃない

「お、俺仕事しなきゃならないからちょっと行くわ」

『アーリズ、止めて』

『OK』

「ぎゃー!!」

逃げようと上げかけた腰はアーリズに押し戻されてベンチに逆戻りし、何故か手持ちに抱きつかれる俺

「何これなんの羞恥プレイなの?」

頬に集まる熱をみたからか、ニヤニヤする手持ちたち

イタズラが成功したみたいな顔のアーリズの背中を軽く叩き、サクマの首元に顔を埋める

「くそ、メロリスめ、余計なことを教えたな?」

『クスクス、前のお返しなんだから』

笑っていたメロリスは、俺の腰のボールを取出し、成り行きを見守っていたオズと兵長を呼ぶ

出てきた二人も何故か少し笑っていた

『オズ、マスターに抱きつかなくていいの?』

長い首を捻ったアーリズがオズを仰ぐ

いつの間にかでっかくなって、あんま抱きつけなくなったな

オズがキバゴやオノンドだった時に、よく抱き潰して怒られた気がする

今でも時々飛び付いて怒られるけどな

『…一回本気で抱き締めたら、1週間照れてボールから出してくれなかった』

オズがボソッと何かを真顔で呟いて、それを聞いた全員が俺を見る

なんか知らんが、「え?」みたいなその顔何

また何を言ったんだパートナー

なんて思っているうちも、その空気は崩れない

「…なんだよ、」

視線が痛くてサクマの毛に再び顔をうめると、短い手で肩を撫でられた

兵長までがカシャンカシャンと顎を鳴らしながら足にくっついてくる

手持ち達と団子状態のまま座っているのをクダリさんに目撃され、飛び付かれる五分前の話


「わ、狂助楽しそう!僕も」

「うわぁぁぁ」


☆☆☆
「……。」
『拗ねるな、ほら来い』

その後、ホームでむくれた顔をしながら、オノノクスの背中に飛び付く駅員が見つかったとか

「ノボリ、狂助照れ屋さん。抱きついたら顔真っ赤にして気絶した」
「!?」

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